http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11899620969.html
私がこの問題について感情的になるのは、
元が差別意識、支配する者と支配される者という
支配者側からのロジックとして用いられようとしていた、
という事実も影響していると思います。
しかしながら、こういった感情は、
真実を求めるにおいて邪魔なものではあります。
この問題について、
ここ数十年間、まともな研究というものは、
ほとんどなされていないのではないでしょうか。
研究するに値しないということでしょうか?
あれば、世間が注目する問題ですので、
目に入ってきていると思います。
先日の縄田先生の論文はとても貴重なものでした。
その理由について、
昨夜お書きした古川竹二の説が徹底的に否定されたためではないか、
そう考える人もいます。
実は古川とともに、古川説を広めていた古畑種基が
一転して古川説を否定していて、
その影響が今だ強く残っているのではないか、
というのです。
昨夜の記事も、こちらを参考にしていて、
ここにはこの問題の歴史のあらましと、
「血液型と性格には関係がある」話が書かれています。
竹内久美子さんは動物行動学を学ばれた方で、
この分野を(特に人間について)エンタテインメント性を持たせて、
たくさんの本を書いておられます。
これは元々、20年も前に書かれた本ではありますが、
この分野は与太話以外、まともな話は聞こえてきませんので、
今でも面白く読める内容となっています。
但し、病理学、免疫学上での進歩はあるはずですので、
その点の留意は必要です。
私にとっては、この本文もさることながら、
導入部のカッコウのヒナのお話はとても興味深く、
寄生と共生の境界線、善と悪、
性善説と性悪説についても考えるきっかけとなった
思い出深い一冊です。
今夜はこの本からの内容となります。
まずABO式血液型とはどういう分類法なのでしょうか?
1900年にラントシュタイナーがこの分類法を発見から半世紀以上経って、
それが赤血球の表面の糖の鎖、
糖鎖の違いによるものだということがわかってきました。
まずO型の糖鎖というものがあるとします。
このO型の糖鎖の他にA型固有の物質が付いていればA型に、
同じくB型固有の物質が付いていればB型に、
A型固有の物質、B型固有物質両方が付いている場合はAB型となります。
ただこの血液型物質は、赤血球のみで見られるものではなく、
唾液などのあらゆる体液、
腸管などの粘膜などにも存在しています。
「JIN-仁-」完結編 第4話 "江戸から消える" その背景 ~輸血と血液型~
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-10887060059.html
ここで輸血の話をお書きしていますけれど、
異なる血液型の輸血は受血者の命を奪います。
それは、自分とは違うモノが体内に入ってきたからで、
受血者の体内ではその異物が攻撃されていて、
その拒絶反応により、受血者の体に悪影響を及ぼします。
つまり、赤血球上の糖鎖は、
免疫系としての役割を担っているということでもあります。
ABO式血液型とは、血液型とは呼んでいるものの、
自己と他者を見分けるための旗印、
抗原の型といえそうです。
その抗原の型が複数存在しているのはなぜでしょうか?
実は、菌やウイルスなどがこの糖鎖に擬態している場合があります。
結核菌の中にはB型物質を、
肺炎双球菌はA型物質をまとっていることがあり、
それらに対してそれぞれB型、A型の人は、
抵抗力が他よりも弱いことになります。
人類の祖先は元々、O型だったのかもしれません。
ただ、何かしらの病原体に対し、
弱い状態だけですと、その一つの病原体の蔓延により、
人類は絶滅していた可能性があります。
ある時、突然変異で違う型の糖鎖を持つ者が生まれ、
有性生殖により、両親の子は
父母どちらかの糖鎖を持つことになるでしょう。
いずれかの糖鎖に擬態した病原体に侵入されたことで、
命を落とし、次代に子孫を残せなくても、
他のの子が子孫を残すことになります。
そこに父母の遺伝子の半分のコピーは生き続ける訳です。
ところで、アメリカ先住民は、
ほとんどがO型であることが知られています。
なぜ、そうなのかという理由は、
一般的には、過去に絶滅に近い状態の時期があり、
たまたま、生き残ったのがO型の人ばかりで、
よって、その子孫もO型なのだ、という説明がなされます。
しかし、本書では梅毒の流行が
その原因なのではないかという可能性について触れています。
細菌・梅毒トレポネーマの感染により発症する梅毒には、
O型が強いとされ、アメリカ先住民にO型が多いのは、
他の血液型の人が過去の梅毒大流行により死滅したためではないか、
そう考えています。
梅毒は主に性交渉により感染しますが、
ここに血液型により、行動の傾向に差が生じるのではないか、
能美親子はO型の特徴を
「社交的」「男女関係に積極的」だとしています。
他の血液型が梅毒を恐れる度合いよりは、
O型は梅毒を恐れず、異性と交わることが出来ます。
社交的、男女関係に積極的という性質がO型にあるとすれば、
このような梅毒という淘汰圧により、
獲得されたのではないか、と述べています。
ただ、コレラ菌によるコレラについてはO型が弱い傾向があるらしく、
コレラが特に流行したのは中世から近世にかけてのヨーロッパですが、
コレラも人と接しないほうが感染は防げますので、
もしかすると、この地域の土着の子孫のO型は「社交的」ではなく、
「人付き合いに慎重」という傾向があるかもしれない、
としていますが、本書ではその確認をしていません。
その他、他のいくつかの病気と
血液型ごとの罹りやすさの差などが書かれてあるんですが、
彼女の著作は読み物としての部分が強く、
著者も記しているように推論の域を出ません。
非常に面白い本ではありますので、
ご興味がございましたら、読んでみて下さい。
実際、このABO式血液型と疾病の関係が事実だとしても、
説明できない事柄が多いと思われ、
本書では「本命」の話がこの後に続くんですが、
それが血液型と性格の関連性を思わせる「本命」であるとしても、
残念ながら、20年前の時点で
その「本命」の研究はまだこれからの段階。
紙幅は少なくなっています。
蛇足になりますが、私の考えと、
その「本命」についてお書きして、
この問題について書き終えたいと思います。