軍師官兵衛 第31話「天下人への道」 その背景 ～賤ヶ岳で見せた？ 官兵衛の父の顔～

道糞・荒木村重が再登場しました。

軍師官兵衛 第23話「半兵衛の遺言」 その背景 ～有岡城落城から荒木村重のその後～
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11877423084.html

もしかすると、新発見の手紙のエピソードも
生かされたりするのでしょうか？

さて、とんでもなくすっ飛ばした展開となりました。
清洲会議、賤ヶ岳の戦い、北ノ庄城の戦いと、
あっという間に通り過ぎてしまい、拍子抜けです。
これらは既に過去の大河ドラマでも度々描かれており、
だから、今回は「まあ、いいか」ということなのでしょうか？
時代劇を見ている人は、
既にわかっている展開を楽しみにしている割合が高いはずですので、
こういう節目節目はしっかりと描いておいた方が、と思います。
清洲会議なんかは、官兵衛のエピソードを
いくらでも創作出来そうですし、
賤ヶ岳では黒田隊が対柴田軍の最前線にいた訳ですから、
脚本家の腕の見せ所だったようにも思います。
もしかすると、予算の問題だったのかも？

清洲会議では昨年のこの映画が記憶に新しいですね。

こちらでは「清須会議」の表記を採用していて、
三谷幸喜監督得意のシチュエーションモノ。
名優の方々の力もあり、
この日本初の"会議"を見事にコメディ化しております。
少し知識があったほうが楽しめるかもしれません。
あと、こちらでお書きしたような

軍師官兵衛 第26話「長政初陣」 その背景 ～黒田長政の名は織田信長から・偏諱とは～
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11888731549.html

当時の呼び方を守っているため、
各個人に対し、複数の呼び方、たとえば羽柴秀吉でしたら、
呼ぶ人の立場により、「羽柴」「筑前」「藤吉郎」などと変化し、
前田利家の「犬千代」、勝家の「権六」など、
リアルさはありますが、やや分かりづらい点でもあります。
これも知識があった方が楽しめると思います。
これについては原作を読む方が手っ取り早いかもしれませんね。




話を今回の大河ドラマに戻しまして、
たしかに、これらの戦などに黒田官兵衛が大活躍した、
という話はないようです。
ただ、賤ヶ岳では、捨てるに惜しいエピソードも伝わっていますので、
賤ヶ岳の戦いとそのお話をお書きしておきます。

山崎の戦い、清洲会議、織田信長の葬儀と、
織田家家中にて、トップとしての自らの地位を確立し続けてきた羽柴秀吉は、
1582年12月、長浜城を攻めます。
元はといえば、この城は自身の居城で清洲会議にて勝家に譲った城で、
勝家はこの城を息子(甥で養子)・勝豊に任せることに。
その出迎えには秀吉自身が歓迎の宴で勝豊をもてなしてもいたんです。
その長浜城を包囲した秀吉。
それは、冬の越前北ノ庄の勝家は雪で動けないはず。
それを見越しての長浜城包囲でした。
この頃、勝豊は既に病身であり、
秀吉の軍が5万の大軍であったため、
数日の後に降服してしまいました。
続いて秀吉は岐阜城の織田(神戸)信孝を包囲し降服させ、
明けて正月から伊勢で挙兵した滝川一益を攻めて、
これを数ヶ月かけて破ります。
その頃、柴田勝家は雪中行軍の末、近江に来着。
賤ヶ岳の戦いとなります。

羽柴秀吉の軍は5万、
柴田勝家とその味方は2万が睨み合うことになりましたが、
一度は秀吉に帰順していた織田信孝が滝川一益と結び再び岐阜城で挙兵し、
秀吉はその対応で、近江には少数の部隊を残して、
自身は美濃へと向かうこととなりました。
この時、手薄となった羽柴軍に柴田軍が攻撃を仕掛けます。
まずは大岩山砦を佐久間盛政が攻め、
守将の中川清秀隊はこれを抑えきれずに敗れ、
清秀自身も戦死、
続いて、黒田官兵衛の部隊が敵の猛攻に晒されました。
この頃には羽柴軍の中から柴田軍に寝返る者も出てきていて、
官兵衛も敵の攻撃を凌ぐのに精一杯の状態、
そんな時、官兵衛は股肱の家臣・栗山善助に
前線で戦っている嫡子・長政の供を命じました。
そんな表向きの命令とは別に、
善助は密命も受けていて、それは長政を戦場から
「逃がせ」というものでした。
官兵衛からしてみれば、猪武者の気がある長政が
敵中に突撃して討死してしまうことを恐れたようです。
善助は官兵衛の命名どおり、
長政を戦場から遠ざけようとしますが、
長政がそれを訝り、善助が自分を逃がそうとしていることに気付きます。
戦場に私情を持ち込み、
自分の息子だけを逃がすような命令を父が下すはずはない、
父からは「敵に背を向けるな」と教わっている、
そんな命令は善助の聞き間違いに違いないと断じ、
戦場へと引き返していきました。
そんな長政を見て、善助は黒田家の跡取りとして見事だと、
涙を流したと伝わっています。


事実かどうかはともかく、
捨てるには惜しいエピソードだと思います。
この後、一気に秀吉が戻ってくる中国大返しならぬ「美濃大返し」など、
その後の賤ヶ岳については、

江～姫たちの戦国～ 第10回 「わかれ」 その背景 柴田勝家伝～賤ヶ岳の敗因～
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-10838545422.html

この後半あたりをご覧下さい。