軍師官兵衛第33話「傷だらけの魂」その背景～刀狩令と喧嘩停止令～

それぞれの内省的な話ばかりに時間が割かれ続けており、
引き続き、掘りたくなることもないんですが、
天下惣無事令が出されたということで、
教科書風の内容になりますが、
喧嘩停止令について考えてみたいと思います。

豊臣秀吉の政策で中学のテストに出そうなのは、
太閤検地、刀狩令と惣無事令でしょうか。
太閤検地はさておくとして、
惣無事令は各大名間の諍いを
私の判断による武力解決を禁じ、
天皇の判断を仰ぐべしとしたものです。
天皇とはしているものの、秀吉は関白ですので、
実質には豊臣政権の判断に従うことになります。

刀狩令は惣無事令よりも数年後になりますが、
百姓身分の者に対し刀などの保有を禁じたもので、
ここから農民と武士の境界線が明確になっていきます。

これら惣無事令や刀狩令などを総称して、
後に豊臣平和令などと呼ばれるのですが、
その中には、この2つの他に海上賊船禁止令の他に、
喧嘩停止令もありました。

海上賊船禁止令も刀狩令と同時期に発せられ、
海上輸送路の安全性の確保と、
刀狩同様の武士と漁民を明確に分ける目的があります。

喧嘩停止令は惣無事令以後、
刀狩令と同時期かそれ以前に出されていたと考えられる法令で、
農民の武力行使を禁止しています。
刀狩令では、刀の他に槍や鉄砲などの保有を禁じているんですが、
実際に農民から取り上げられたのはほとんど刀ばかりでした。
槍などはそのままだったようです。
したがって、現在ではこの刀狩令の性質は、
農民から武力を奪うこと以上に、
帯刀権を武士の特権とし、兵農分離に目的があったと考えられています。
喧嘩停止令の時期が不明なので、
はっきりしたことはわかりませんが、
刀狩の目的が兵農分離であり、
刀以外の武器がまだ農民の手に残っていたならば、
村の境界線や井戸の帰属先について
トラブルが起きる可能性が残されていました。
よって刀以外の武器があったとしても、
農民がそれを使用して武力行使に及ぶことを禁止した訳です。
惣無事令と喧嘩停止令、似ていますよね。