軍師官兵衛第42話「太閤の野望」その背景～文禄の役～

本作の石田三成が小者感満載なので、
関ヶ原の戦いでの三成の敗因が今からよく見えますね。
まだまだ慶長の役が残っていてこれですから、
これからの彼が思いやられます。

文禄の役は1592年、文禄元年に出兵したことから、
そのように呼ばれています。
宇喜多秀家を総大将に15万が海を渡りました。
4月12日、上陸した豊臣秀吉の軍は釜山城を攻撃、
瞬く間に陥落させてしまいました。
14日、東莱城攻略を開始、2日間でこちらも落ちています。
これだけ圧倒的な力の差は、
鉄砲の技術、知識の違いから生まれているのでしょうか。
当時、朝鮮には銃器に対する知識も備えもありませんでした。
東莱城に兵が向かっていることを知った城兵は
長い板で鉄砲玉を防ごうとしたものの、
そんなもので防げるものではありません。
それと、この後、5月3日に首都・漢城が陥落するわけですが、
この時、城門は閉じていたものの、兵はおらず、
蛻の殼だったとか。
これは空城の計などという罠ではなく、
ただ単に朝鮮国王・宣祖が平壌に逃げてしまっていたからでした。
しかし、民はそのままでした。
しかも、兵たちは漢城周辺の家畜などを奪って逃げていて、
これでは、民心の王に対して不信感を抱くのも当然です。
豊臣の軍は行く先々で、民から食べ物を与えられるなどして、
その行軍を助けられています。
その後、平壌も押さえていますが、
豊臣の軍には致命的な弱点がありました。
水戦です。
日本から続く長い補給路には海があります。
そこを襲われるわけにはいかないのに、
その備えがありませんでした。
この時、登場する朝鮮軍の英雄が李舜臣ですね。
この夏だったかに彼の活躍が映画化され、
日本や中国の人がそのファンタジーぶりに驚いたとのことですが、
朝鮮から見れば、彼がこの戦における英雄であるのは間違いないでしょう。
豊臣軍は豊臣軍で、最初に李舜臣の水軍に襲われてから、
まともな水軍の陣立てが出来るまで2ヵ月もかかっています。
これでは、半島に渡った兵たちが飢えるのも当然で、
そうこうしているうちに、宣祖は明に援軍を要請、
明の軍が参戦してくると、豊臣軍の雲行きも怪しくなっていきます。
8月29日、50日間の休戦を明との間で約束、
ただし、これが嘘で休戦協定の交渉を進めながら、
豊臣軍の壊滅作戦を進行させていたのでした。
平壌城を明軍が襲撃、ここから先の豊臣軍は
防戦一方、前線を下げ続けるのみの戦しか出来なくなります。
こんな状態で兵を退いておきながら、
秀吉は自分たちに都合の良い和平案を押し通そうとしていた訳ですから、
彼には何も見えていない、
あるいは真実を伝えるものがいなかったということなのでしょう。
そして慶長の役が起きることとなります。

動画は「虎拳」「とらとら」など呼ばれているお座敷遊び。

襖、屏風などの障壁を挟んで左右に分かれ、
それぞれが加藤清正、虎、おばあさんのいずれかを選択し、
その動きで前に出て姿を見せます。
加藤清正は虎に勝ち、虎はおばあさんに勝ち、
おばあさんは加藤清正にに勝つという三すくみで、
負けたほうは酒を飲むなどの罰ゲームを受けます。

これは加藤清正の虎退治の逸話から出ていると思うんですが、
どうも、清正自身虎狩りを行っていなかったとか。
文禄の役休戦中、黒田長政をはじめ、
多くの武将が虎狩りをしていて、
それは虎の肉が滋養強壮によいとされ、
秀吉が虎狩りを奨励していたとか。
長政は後に徳川家康に虎肉の塩漬けを贈ったという記録も見られます。
清正の虎退治については、黒田二十四騎の一人、
林太郎右衛門の逸話が清正のものとして、
江戸時代から広まった模様です。