今週のビーバップ!ハイヒールは、
歌のルーツを紹介する人気企画。
今回が6回目となります。
今回は特にデビュー前に焦点を当てた内容となっていました。
名曲はデビュー前に生まれる!~あの出来事があの歌を生んだ~
カシコブレーンは今回も音楽評論家の富澤一誠さんでした。
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誰もがよく知る名曲、中島みゆきさんの「時代」。
この曲が発表されたのはちょうど40年前の1975年のこと。
なかなかスタンダードが生まれにくい日本の音楽業界の中で、
数少ないスタンダード曲となっています。
後にこの曲を歌ったアーティストを列挙しますと、
研ナオコさん、西城秀樹さん、桑田佳祐さん、中西圭三さん、
徳永英明さん、一青窈さん、秋川雅史さん、クリス・ハートさんなど、
錚々たる名前を並べることになります。
この曲がなければ、
歌手 中島みゆき
シンガーソングライター 中島みゆき
はいなかったのではないでしょうか。
今はこんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には なれそうもないけど
そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから 今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう
まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐりあうよ
旅を続ける人々は
いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は果てしもなく
冷たい雨が降っていても
めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
まわるまわるよ 時代はまわる
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
彼女は札幌市の生まれでしたが、
11歳の時、帯広へと移り住みます。
彼女の実家は「中島産婦人科」で、
父が産婦人科医でした。
地元でもよく知られた開業医でしたが、
その暮らしは裕福ではありませんでした。
「医は仁術」を地で行くような医師で、
経済的に苦しい患者からは診療費を取らなかったこともあったようです。
そんな家庭に育った彼女は生真面目で、
曲がったことが嫌い、
高校時代、自習時間でクラスが騒がしいと、
周りを注意するような生徒でした。
仲間たちが誰かの陰口を叩いていると、
その場にいない人のことを悪く言うのは卑怯だと批判しました。
常に正論を口にする彼女はクラスで孤立するようになりました。
それは彼女自身が一人になることを選んだのかもしれません。
誰とも話さなければ、誰とも衝突することはありません。
この頃の孤独な高校生活について、
1986年のPHP6月増刊号の中で、
このように話しています。
今から考えると
変に考え込みすぎちゃったのかもしれないけど…
いなくてもいいんじゃないだろうか?
っていうのを通り越して
いないほうがいいんじゃないだろうか?
というところまでいっちゃったわけ…
自分は必要のない人間なのではないか、
そう思い悩むうち、彼女は決意しました。
それは高校の文化祭でのこと。
講堂の壇上に彼女がいました。
父親に買ってもらったギターを抱えて。
講堂はざわつきます。
普段誰とも話さない暗い子がこれから弾き語りをするというのです。
彼女は歌いました。
私が本当にいない方がいいような存在だったら
私が出て行ったらみんな帰ってしまうはずだ
そんな風に思ったわけ…
歌ったのはオリジナル曲の「鶫の唄」。
今も音源としては未発表の曲です。
歌い終えると、拍手に包まれます。
そして、彼女が講堂から出ると、
今まで口を利いたこともないクラスメイトたちからの激賞に包まれることとなりました。
大学へと進んだ彼女は仲間と飲み歩き、
人が変わったように饒舌な女子大生となっていました。
しかし、一人になった時、それは訪れます。
あれは本当に自分なんだろうか?
なんであんな馬鹿なことをしたんだろうか?
明るく振る舞えば振る舞うほど、
自己嫌悪に襲われ、
彼女が内包する明と暗。
そんな彼女の支えとなったのも、
あの時と同じ歌でした。
歌を書き、歌を歌うことで、
バランスを保っていたのでしょうか。
彼女は数々の音楽コンテストに応募し、
軒並み好成績であったことから、
「コンテスト荒らし」の異名で知られました。
そして、第9回ヤマハポピュラーソングコンテストにも出場、
通称ポプコンは、それまでも多数のアーティストを生み出していたコンテストで、
プロへの登竜門として認識されていた最高峰の大会です。
この時、彼女は「傷ついた翼」を歌い入賞、
主催者のヤマハから、
東京に出てきてデビューしようという話を受けますが、
その後、彼女は実家の病院を手伝っています。
私の場合すごくムラがあるのね
今すごくのっていても
2時間後には落ち込んでいたり…
あの時はそれがあまりにも激しすぎて
もうどうにもならなかったわけ…
彼女にとって歌とは、
自分自身を守るためのものだったのかもしれません。
自分自身が自分自身でいるための手段、
それが彼女の歌だったのでしょう。
しかし、ある日、彼女の父が脳出血で倒れます。
昏睡状態で、明日どうなるかわからないような状態でした。
裕福ではない中島家。
中島家を支えられるのは彼女だけでした。
その時、彼女は再び決意しました。
私、もう一度ポプコンに出ます
第10回ポピュラーソングコンテスト釧路・帯広大会、
歌われたのは「時代」でした。
そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから 今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう
めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
まわるまわるよ 時代はまわる
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
この大会で彼女はグランプリを受賞、
そして、第6回世界歌謡祭でもグランプリ、
中島みゆきの名は知られていくことになるのでした。
ここまで、番組の内容に加筆しつつ、
番組の主旨とは異なる部分もありつつもお書きしてきましたが、
受賞やその後の評価を別にしても
「時代」は中島みゆきさんにとって特別な曲なんだと思います。
ファンなら誰もが知っていることですが、
この「時代」は彼女の2ndシングルで、
デビュー曲は「アザミ嬢のララバイ」なんです。
このあたりが複雑で、「時代」が初めて披露されたのが
1975年7月29日の第10回ポピュラーソングコンテスト釧路・帯広地区大会。
これでグランプリを獲得し、
続けて9月7日に同じく北海道大会でもグランプリ、
そして、10月12日に同大会つま恋本選会でグランプリとなっています。
父・眞一郎さんが倒れたのが9月16日、
そして、デビュー曲「アザミ嬢のララバイ」の発売日が9月25日ですので、
第10回ポプコンの期間は、
彼女や中島家にとってたいへんな時期だったようです。
曲自体はそれよりも数カ月前には完成していたようですが、
この歌にはひと言では言い表せない
様々な思いが込められているのだと思います。
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