藤井聡太四段の公式戦初戦から28連勝となり、
歴代最多の神谷広志八段と並びました。
少しでも将棋が好きな人にとっては、
将棋という競技が注目されるのは嬉しいことだと思います。
そういえば、火曜日の「踊る!さんま御殿」で
女流棋士の竹俣紅(たけまたべに)先生が藤井四段を
「藤井先生」と呼んだことについて
共演者から意外そうな声が出て
「女流棋士はそう呼ばないといけない」というような説明があったと思います。
この時番組を見ていて「誤解を呼びそうな説明を…」と思っていたら
案の定、知ろうともしない人の批判が散見されました。
竹俣先生も少し「女流」について説明を試みられている風でもあり、
もしかすると、カットされたのかもしれませんが、
そもそも、藤井先生と女流棋士では
棋士としての基準が異なるのです。
元々、将棋の世界でプロになろうと思えば、
その間口は極めて狭い関門をくぐり抜けねばなりません。
プロ棋士を志す人は、まずプロ棋士の推薦を受けるか
小中学生が対象の日本将棋連盟主催の大会で好成績を収め
連盟から新進棋士奨励会という組織の入会試験を受験します。
これに合格することで、奨励会への入会が認められます。
奨励会は棋士の養成機関です。
この奨励会は三段までが所属し、
三段になると、
半年サイクルで行われる三段リーグというリーグ戦に参加できるようになり、
その上位2名が四段へと昇段、
ここで初めて、プロ棋士と呼ばれるようになります。
半年で2名ですから、年間でも4名しかプロ棋士になれないという
ほとんどの人が夢を絶たれてしまう世界です。
プロ野球のドラフト会議では
各球団が6~8名ほどを指名し、
年間70~80名程度のプロ選手が誕生します。
プロの野球選手になるのも厳しいのに、
将棋の世界では、それがわずか4名だけなのです。
藤井先生は10歳で奨励会に入会、
初段から三段までを最年少記録のスピード昇段、
加藤一二三先生、谷川浩司先生、羽生善治先生、渡辺明先生に続き、
中学生でプロ棋士となりました。
連盟では、奨励会に空席を設けるため
また、望みも薄いのに将棋にこだわり続けさせてはいけないと
年齢制限を設けています。
23歳の誕生日までに初段、
あるいは26歳の誕生日までに四段にならなければ
問答無用で退会させられます。
いわゆる「つぶしが利かない」状態になってはいけないということでしょう。
以前は31歳までだったはずですが、
それでは遅すぎるという判断でしょうか。
奨励会には男女の規定はありません。
男子が多いのは事実ですが、
女子も入会しています。
ただ、現時点で三段リーグを勝ち抜いた女性奨励会員は出現していません。
女流棋士はこの制度とは別の基準になります。
奨励会を2級以上で退会した女性は女流プロ扱いとなります。
したがって、日本将棋連盟における女流棋士とは、
「女流作家」「女流文学」などの一般的な「女流」の意味が異なっています。
現在、女流棋士であることと、
奨励会員は掛け持ちが可能で、
年齢制限前であれば、四段を目指すことが可能です。
そのほか、プロ棋士になるには
アマチュアか女流で相応の成績を収めれば
「フリークラス編入試験」の対象となり、
プロへの道が残されますが、
これはこれで狭き門となっています。
私などは藤井四段よりも遥かに年上ですが、
彼を藤井先生と呼ぶことについて何の違和感もありません。
将棋の世界で奨励会を突破したというだけで
私にとっては先生なのです。
羽生善治三冠の奥様は(旧姓畠田)理恵さんですが、
Twitterで四段のことを「藤井先生」と呼び
その活躍を讃えておられます。
奨励会を指してよく使われる言葉が
鬼の住処
というもの。
東京と大阪に全国から将棋の天才たちが集まり、
しのぎを削り、そのほとんどがプロになることはできません。
藤井先生が傑物なのは間違いありませんが、
奨励会を突破したというだけで、
とんでもない世界をくぐり抜けるだけの能力を持っている
とんでもない先生たちということなのです。
さて、藤井先生の件では
「名人になるとすればいつ?」なんて話も聞かれます。
まず、将棋のタイトルについてお書きしておきますと、
7つのタイトルが特に重要となっており、
「七大タイトル」と呼ばれます。
竜王戦、名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり
先々月、ここに叡王戦を格上げし、
「八大タイトル」になりました。
大きなタイトルが8つあるといっても
それぞれ格が違っていて、
賞金額に比例しているようです。
最大のタイトルが竜王戦で、次が名人戦。
この2タイトルが別格であり
名人戦のほうが将棋を知らない人にも知られていて、
竜王戦と名人戦は同格と見る向きあります。
名人戦を戦うには順位戦を勝ち抜いていく必要があります。
順位戦はA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組に分かれていて
四段になったばかりの棋士はC2で指すことになります。
C2の上位3名がC1に、
C1の上位2名がB2に、
B2の上位2名がB1に、
B1の上位2名がA級に進むというルールで
もちろん、不成績の棋士と入れ替えになります。
そして、A級戦のトップが名人に挑むことになるのです。
気の遠くなるような話ですが、
C2の棋士が名人への挑戦権を得るには
最短でも5年かかります。
現時点での最年少名人は谷川先生の21歳。
可能性としては、あり得るとは思いますが
私のような楽しむ側は長い目で見る必要がありますし
息の長い棋士になって欲しいと願っています。
歴代最多の神谷広志八段と並びました。
少しでも将棋が好きな人にとっては、
将棋という競技が注目されるのは嬉しいことだと思います。
そういえば、火曜日の「踊る!さんま御殿」で
女流棋士の竹俣紅(たけまたべに)先生が藤井四段を
「藤井先生」と呼んだことについて
共演者から意外そうな声が出て
「女流棋士はそう呼ばないといけない」というような説明があったと思います。
この時番組を見ていて「誤解を呼びそうな説明を…」と思っていたら
案の定、知ろうともしない人の批判が散見されました。
竹俣先生も少し「女流」について説明を試みられている風でもあり、
もしかすると、カットされたのかもしれませんが、
そもそも、藤井先生と女流棋士では
棋士としての基準が異なるのです。
元々、将棋の世界でプロになろうと思えば、
その間口は極めて狭い関門をくぐり抜けねばなりません。
プロ棋士を志す人は、まずプロ棋士の推薦を受けるか
小中学生が対象の日本将棋連盟主催の大会で好成績を収め
連盟から新進棋士奨励会という組織の入会試験を受験します。
これに合格することで、奨励会への入会が認められます。
奨励会は棋士の養成機関です。
この奨励会は三段までが所属し、
三段になると、
半年サイクルで行われる三段リーグというリーグ戦に参加できるようになり、
その上位2名が四段へと昇段、
ここで初めて、プロ棋士と呼ばれるようになります。
半年で2名ですから、年間でも4名しかプロ棋士になれないという
ほとんどの人が夢を絶たれてしまう世界です。
プロ野球のドラフト会議では
各球団が6~8名ほどを指名し、
年間70~80名程度のプロ選手が誕生します。
プロの野球選手になるのも厳しいのに、
将棋の世界では、それがわずか4名だけなのです。
藤井先生は10歳で奨励会に入会、
初段から三段までを最年少記録のスピード昇段、
加藤一二三先生、谷川浩司先生、羽生善治先生、渡辺明先生に続き、
中学生でプロ棋士となりました。
連盟では、奨励会に空席を設けるため
また、望みも薄いのに将棋にこだわり続けさせてはいけないと
年齢制限を設けています。
23歳の誕生日までに初段、
あるいは26歳の誕生日までに四段にならなければ
問答無用で退会させられます。
いわゆる「つぶしが利かない」状態になってはいけないということでしょう。
以前は31歳までだったはずですが、
それでは遅すぎるという判断でしょうか。
奨励会には男女の規定はありません。
男子が多いのは事実ですが、
女子も入会しています。
ただ、現時点で三段リーグを勝ち抜いた女性奨励会員は出現していません。
女流棋士はこの制度とは別の基準になります。
奨励会を2級以上で退会した女性は女流プロ扱いとなります。
したがって、日本将棋連盟における女流棋士とは、
「女流作家」「女流文学」などの一般的な「女流」の意味が異なっています。
現在、女流棋士であることと、
奨励会員は掛け持ちが可能で、
年齢制限前であれば、四段を目指すことが可能です。
そのほか、プロ棋士になるには
アマチュアか女流で相応の成績を収めれば
「フリークラス編入試験」の対象となり、
プロへの道が残されますが、
これはこれで狭き門となっています。
私などは藤井四段よりも遥かに年上ですが、
彼を藤井先生と呼ぶことについて何の違和感もありません。
将棋の世界で奨励会を突破したというだけで
私にとっては先生なのです。
羽生善治三冠の奥様は(旧姓畠田)理恵さんですが、
Twitterで四段のことを「藤井先生」と呼び
その活躍を讃えておられます。
奨励会を指してよく使われる言葉が
鬼の住処
というもの。
東京と大阪に全国から将棋の天才たちが集まり、
しのぎを削り、そのほとんどがプロになることはできません。
藤井先生が傑物なのは間違いありませんが、
奨励会を突破したというだけで、
とんでもない世界をくぐり抜けるだけの能力を持っている
とんでもない先生たちということなのです。
さて、藤井先生の件では
「名人になるとすればいつ?」なんて話も聞かれます。
まず、将棋のタイトルについてお書きしておきますと、
7つのタイトルが特に重要となっており、
「七大タイトル」と呼ばれます。
竜王戦、名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり
先々月、ここに叡王戦を格上げし、
「八大タイトル」になりました。
大きなタイトルが8つあるといっても
それぞれ格が違っていて、
賞金額に比例しているようです。
最大のタイトルが竜王戦で、次が名人戦。
この2タイトルが別格であり
名人戦のほうが将棋を知らない人にも知られていて、
竜王戦と名人戦は同格と見る向きあります。
名人戦を戦うには順位戦を勝ち抜いていく必要があります。
順位戦はA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組に分かれていて
四段になったばかりの棋士はC2で指すことになります。
C2の上位3名がC1に、
C1の上位2名がB2に、
B2の上位2名がB1に、
B1の上位2名がA級に進むというルールで
もちろん、不成績の棋士と入れ替えになります。
そして、A級戦のトップが名人に挑むことになるのです。
気の遠くなるような話ですが、
C2の棋士が名人への挑戦権を得るには
最短でも5年かかります。
現時点での最年少名人は谷川先生の21歳。
可能性としては、あり得るとは思いますが
私のような楽しむ側は長い目で見る必要がありますし
息の長い棋士になって欲しいと願っています。