8月28日の『水曜日のダウンタウン』で、
新型コロナウイルス感染拡大防止策を笑いものにしていて、
医療現場や介護現場のスタッフたちが怒りの声を上げています。
このウイルス、その感染症に対する解像度が低いと、
このような認識なのでしょう。
知ろうとしないと、情報はアップデートされません。
今さら、あの頃のようにするべきだとはいいませんが、
昨年5月に感染症法上の位置づけが5類になって以降の1年間で、
1万6043人がこの感染症で亡くなっています。
診断後、約30%がなんらかの後遺症を抱えています。
コロナ禍は終わっていないのです。
各現場で感染拡大を防ぐ努力は続けられていて、
一般でも、感染すれば免疫機能が弱体化し、
新型コロナウイルスを含め、多くの感染症にかかりやすく、
重症化しやすくなる可能性が増します。
感染すればするほど、後遺症のリスクは増します。
感染リスクを下げる努力は必要なのです。
ポール・ビニー(敏弐)「市川團十郎 暫」
さて、エムポックス(旧称:サル痘)について、
世界保健機関(WHO)は8月27日に
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」だと宣言しました。
1970年にザイール(現コンゴ民主共和国)にてヒトで初めて感染が確認、
エムポックスウイルスによる感染症で、
天然痘ウイルス、牛痘ウイルスなども含まれるオルソポックスウイルス属です。
中央アフリカから西アフリカにかけて流行し、
日本では感染症法上の4類感染症に指定されています。
症状は発熱と発疹で、死亡することもあります。
当初、アフリカ以外ではゲイの間で多くの感染者が見られたことから、
日常生活におけるヒト-ヒト感染については、
さほど危険視されていませんでしたが、
ウイルス変異により、ヒト-ヒト感染が増加。
実は、コンゴ民主共和国などでは、
毎年数千人が感染し、数百人が死亡していたそうです。
これらの地域では、特に、15歳未満の子どもの感染者が目立つとのこと。
感染者が出続けていることで、変異しやすい状況になったのでしょうか。
このウイルスは、コンゴ盆地系統群のクレード1と、
西アフリカ系統群のクレード2がありますが、
今、問題になっているのは、より致死性が高いクレード1で、
そこからクレード1bが派生し、アフリカ以外で感染者が確認されるようになりました。
8月15日、スウェーデンでアフリカ大陸外で初めてクレード1b感染者が確認され、
8月22日には、タイで確認。アジアで初めてクレード1bの患者となりました。
この状況に対し、フィリピン政府は入国者に、
過去30日以内に「発疹・水疱・水ぶくれ」の症状があったかを申告する
義務を課すことにしました。
現時点でわかっているのは、感染経路は
性行為や皮膚病変(発疹部位)への接触、
近距離での会話や呼吸とのこと。
ただ、新型コロナウイルスほどの感染力はないとされます。
いずれ、クレード1bが日本に入ってくる可能性があります。
既に入っている可能性もあります。
予防策はマスクする、手指消毒するなどで、
私たちがコロナ禍で学んできたことと共通です。
幸いにも、私たちは既にそのワクチンが利用可能であり、
天然痘ワクチンで85%の発症予防効果があるとされます。
流行の中心地であるコンゴ民主共和国でワクチンが不足していますので、
日本政府は、ワクチンを供与するとのことです。
命や重篤な症状もそうですが、
外見に及ぶ著しい皮膚症状は偏見を持たれる可能性があります。
以後、この問題についての情報に注目しておいてください。
話は変わりますが、
ガザ地区でポリオ患者が発生しました。
5歳未満の子どもがかかりやすい感染症で、
これまではワクチンで予防できましたが、
戦火により、ワクチン接種ができない状況です。
ワクチンで予防する以外に治療法はない感染症で、
WHOはガザの子ども数千人がポリオに感染するのは時間の問題だと認識。
流行を阻止するためには、
対象とする人口の約95%が接種を受ける必要があるとしています。
ワクチン接種のために一時休戦で双方が合意したとのことですが、
はたして、どうなるのでしょうか。