昨年ぐらいだったか、
大阪の夕刻のニュース番組を見ていましたら、
見覚えのある病室が映っていまして、
その後に映し出された病院の外観は、
たしかに父親が入院していた関西医大附属滝井病院でした。
それでしばらく見ていたんですが…
この病院で、目を疑うような食物アレルギーの治療が行われていたんです。
たしかあの時は、牛乳だったでしょうか。
その食物アレルギー患者の子供に、
牛乳を与えて、アレルギーを改善しようと試みていました。
昔、食物アレルギーに理解のない人は、
それを好き嫌いと混同し、
慣れれば食べられるようになる
などと言っていたりしていました。
もちろん、これは誤りですが、
今、そのアレルギー症状を引き起こす原因であるアレルゲンを
あえて患者に与える最新の治療法があるんだそうです。
今回、NHKスペシャルで同様の治療法が扱われていましたので、
記事にしてみたいと思います。
今回の記事は食物アレルギーの治療法についてのみご紹介しますけれど、
この時のNHKスペシャルでは、
アトピー性皮膚炎と花粉症の治療法についても扱われていました。
以下は、命に関わる事態を引き起こす可能性のある情報です。
専門の医師の診断と指示なく行わないで下さい。
祐輔くんは7歳の男の子。
彼は重い卵アレルギーを抱えていました。
私たちには外部からの異物に対するシステムとして、
免疫システムが備えられています。
この免疫で重要な役割を担っているのが、
IgE抗体とそれに結合したマスト細胞です。
理由は不明ですが、祐輔くんの場合、
免疫系が卵蛋白を異物と見なし、
IgE抗体がそれを捕らえ、
それを排除すべく、マスト細胞が爆発、
内部の炎症物質が皮膚や粘膜を刺激、
かゆみやじんましんなどのアレルギー症状となります。
祐輔くんが入院しているのは、
神奈川県立こども医療センター。
ここで卵アレルギーを改善しようとしています。
あえて、卵を食べることで。
それが
免疫療法
です。
まず最初に行われるのは、「負荷試験」。
祐輔くんがどれぐらいの量の卵で症状が出るのかを確認します。
その間、ずっと見守っていなくてはなりません。
生卵白乾燥粉末5mgでの反応を見ます。
5mgでは祐輔くんに症状は出ませんでしたので、
次は10mgを与えます。
10分後、異変が見られました。
口の中が痒いと訴えています。
脇腹にもじんましんが出ているようです。
続いて、首、またまぶたを指で掻き始めました。
祐輔くんが食べられた量は、
この10mgでした。
次の日から祐輔くんの治療が始まります。
目標は60gの卵を食べられるようになること。
卵1個です。
治療ではまず、反応が出た量の10分の1、
生卵白乾燥粉末1mgを与えます。
そして30分、経過 観察し、変化が見られなければ、
1.2倍の量、1.2mgの生卵白乾燥粉末を与えます。
これを1日、最大5回行います。
アレルギーがなぜ起こるのか、
その詳細が不明なように、
この免疫療法の詳しいメカニズムも不明なままです。
しかし、これには免疫系の不思議なシステムが関わっているのでしょう。
祐輔くんの場合、10mgの卵蛋白で免疫が過剰に反応しました。
そこで、それよりもずっと少ない量の卵蛋白から食べ始め、
徐々に量を増やしていくことで、
次第に卵を異物だと認識しなくなるというのです。
これを「耐性」が付くと呼んでいました。
耐性がついてしまえば、それよりも多くの量を食べても、
アレルギー症状が出なくなると考えられています。
この免疫療法のパイオニア、
同センターアレルギー科・栗原和幸部長は
4年前からこの治療法を実践しているようです。
現在まで60人に実施、その成功率は98%にもなるとか。
栗原先生は仰います。
これは薬による治療と違って、唯一の根治療法
だと。
薬の場合は、あくまでも症状を抑える対症療法です。
祐輔くんの治療は18日目に入っていました。
免疫療法は順調に進み、
この日は卵の量は8gになっていました。
これぐらいの量ですと、
これまでの粉末ではなく、スクランブルエッグにも出来ます。
しかし、祐輔くんはそれを拒否。
「こわい」「いやだ」とうつ伏せになって泣いています。
だって前、僕食べたんだから!
嫌いだったんだよ!
以前、卵を食べた時に、
辛い経験をしたのでしょう。
その記憶が、彼に卵を食べさせようとしません。
食物アレルギーを改善しようとすると、
このような苦しみを乗り越えなくてはならないようです。
医師と看護師、母親がなんとなだめて、
ケチャップで誤魔化し、
祐輔くんの口に運びます。
泣き顔で一口たべた彼は、
頑張って、もう一口食べると言っています。
この時、生まれて初めて、
卵を食べきったんだそうです。
治療は20日目。
この日はついに目標の卵1個分、
60gに挑戦です。
卵の量を増やしても、
祐輔くんに症状が出ることはありませんでした。
栗原先生と握手する祐輔くんは、
卵について、
おいしかった
と答えていました。
しかし、この状態を維持するためには、
退院後も、卵を食べ続けなくてはならないそうです。
お母さんは家族皆で頑張ると仰っていました。
これが最初の負荷試験で祐輔くんが口に入れた卵白の粉末です。
この10mgでアレルギー反応が出てしまいました。
それが20日後には、
卵1個ぶんを食べられるようになった訳です。
7年間も祐輔くんを苦しめていた卵アレルギーが、
たった20日間で、6000倍の卵でも症状が出なくなりました。
現在、このような治療法があるそうなんです。
私自身は食物アレルギーはないんですけれど、
以前、ニュース番組で見て、
もう一度詳しい話を知りたかったので、
この放送を見てみました。
なお、繰り返しになりますが、
栗原先生から大事なお話があります。
食物アレルギーの人が、
症状が出るかもしれない食物を食べるということは、
かなりの危険性を秘めていますから、
勝手に食べてみるということは絶対に避けて、
まずは主治医と相談し、必要な場合は専門医を紹介してもらって、
相談しながら、慎重に進めていくという事が重要です
現在、この免疫療法は全国20箇所で、
試験的に行われている段階です。
また、現時点では子供に限定されていて、
しかし、この治療法は世界的にも注目されているようです。
大阪の夕刻のニュース番組を見ていましたら、
見覚えのある病室が映っていまして、
その後に映し出された病院の外観は、
たしかに父親が入院していた関西医大附属滝井病院でした。
それでしばらく見ていたんですが…
この病院で、目を疑うような食物アレルギーの治療が行われていたんです。
たしかあの時は、牛乳だったでしょうか。
その食物アレルギー患者の子供に、
牛乳を与えて、アレルギーを改善しようと試みていました。
昔、食物アレルギーに理解のない人は、
それを好き嫌いと混同し、
慣れれば食べられるようになる
などと言っていたりしていました。
もちろん、これは誤りですが、
今、そのアレルギー症状を引き起こす原因であるアレルゲンを
あえて患者に与える最新の治療法があるんだそうです。
今回、NHKスペシャルで同様の治療法が扱われていましたので、
記事にしてみたいと思います。
今回の記事は食物アレルギーの治療法についてのみご紹介しますけれど、
この時のNHKスペシャルでは、
アトピー性皮膚炎と花粉症の治療法についても扱われていました。
以下は、命に関わる事態を引き起こす可能性のある情報です。
専門の医師の診断と指示なく行わないで下さい。
祐輔くんは7歳の男の子。
彼は重い卵アレルギーを抱えていました。
私たちには外部からの異物に対するシステムとして、
免疫システムが備えられています。
この免疫で重要な役割を担っているのが、
IgE抗体とそれに結合したマスト細胞です。
理由は不明ですが、祐輔くんの場合、
免疫系が卵蛋白を異物と見なし、
IgE抗体がそれを捕らえ、
それを排除すべく、マスト細胞が爆発、
内部の炎症物質が皮膚や粘膜を刺激、
かゆみやじんましんなどのアレルギー症状となります。
祐輔くんが入院しているのは、
神奈川県立こども医療センター。
ここで卵アレルギーを改善しようとしています。
あえて、卵を食べることで。
それが
免疫療法
です。
まず最初に行われるのは、「負荷試験」。
祐輔くんがどれぐらいの量の卵で症状が出るのかを確認します。
その間、ずっと見守っていなくてはなりません。
生卵白乾燥粉末5mgでの反応を見ます。
5mgでは祐輔くんに症状は出ませんでしたので、
次は10mgを与えます。
10分後、異変が見られました。
口の中が痒いと訴えています。
脇腹にもじんましんが出ているようです。
続いて、首、またまぶたを指で掻き始めました。
祐輔くんが食べられた量は、
この10mgでした。
次の日から祐輔くんの治療が始まります。
目標は60gの卵を食べられるようになること。
卵1個です。
治療ではまず、反応が出た量の10分の1、
生卵白乾燥粉末1mgを与えます。
そして30分、経過 観察し、変化が見られなければ、
1.2倍の量、1.2mgの生卵白乾燥粉末を与えます。
これを1日、最大5回行います。
アレルギーがなぜ起こるのか、
その詳細が不明なように、
この免疫療法の詳しいメカニズムも不明なままです。
しかし、これには免疫系の不思議なシステムが関わっているのでしょう。
祐輔くんの場合、10mgの卵蛋白で免疫が過剰に反応しました。
そこで、それよりもずっと少ない量の卵蛋白から食べ始め、
徐々に量を増やしていくことで、
次第に卵を異物だと認識しなくなるというのです。
これを「耐性」が付くと呼んでいました。
耐性がついてしまえば、それよりも多くの量を食べても、
アレルギー症状が出なくなると考えられています。
この免疫療法のパイオニア、
同センターアレルギー科・栗原和幸部長は
4年前からこの治療法を実践しているようです。
現在まで60人に実施、その成功率は98%にもなるとか。
栗原先生は仰います。
これは薬による治療と違って、唯一の根治療法
だと。
薬の場合は、あくまでも症状を抑える対症療法です。
祐輔くんの治療は18日目に入っていました。
免疫療法は順調に進み、
この日は卵の量は8gになっていました。
これぐらいの量ですと、
これまでの粉末ではなく、スクランブルエッグにも出来ます。
しかし、祐輔くんはそれを拒否。
「こわい」「いやだ」とうつ伏せになって泣いています。
だって前、僕食べたんだから!
嫌いだったんだよ!
以前、卵を食べた時に、
辛い経験をしたのでしょう。
その記憶が、彼に卵を食べさせようとしません。
食物アレルギーを改善しようとすると、
このような苦しみを乗り越えなくてはならないようです。
医師と看護師、母親がなんとなだめて、
ケチャップで誤魔化し、
祐輔くんの口に運びます。
泣き顔で一口たべた彼は、
頑張って、もう一口食べると言っています。
この時、生まれて初めて、
卵を食べきったんだそうです。
治療は20日目。
この日はついに目標の卵1個分、
60gに挑戦です。
卵の量を増やしても、
祐輔くんに症状が出ることはありませんでした。
栗原先生と握手する祐輔くんは、
卵について、
おいしかった
と答えていました。
しかし、この状態を維持するためには、
退院後も、卵を食べ続けなくてはならないそうです。
お母さんは家族皆で頑張ると仰っていました。
これが最初の負荷試験で祐輔くんが口に入れた卵白の粉末です。
この10mgでアレルギー反応が出てしまいました。
それが20日後には、
卵1個ぶんを食べられるようになった訳です。
7年間も祐輔くんを苦しめていた卵アレルギーが、
たった20日間で、6000倍の卵でも症状が出なくなりました。
現在、このような治療法があるそうなんです。
私自身は食物アレルギーはないんですけれど、
以前、ニュース番組で見て、
もう一度詳しい話を知りたかったので、
この放送を見てみました。
なお、繰り返しになりますが、
栗原先生から大事なお話があります。
食物アレルギーの人が、
症状が出るかもしれない食物を食べるということは、
かなりの危険性を秘めていますから、
勝手に食べてみるということは絶対に避けて、
まずは主治医と相談し、必要な場合は専門医を紹介してもらって、
相談しながら、慎重に進めていくという事が重要です
現在、この免疫療法は全国20箇所で、
試験的に行われている段階です。
また、現時点では子供に限定されていて、
しかし、この治療法は世界的にも注目されているようです。