今年の夏も全国的な節電の夏となります。
特に関西は厳しく、原発1基稼働で多少ましにはなりますが、
それでも先行き不透明な部分が多いです。
なぜか複数の火力発電所の取水口にクラゲが大量発生して、
発電量が低下していますし…
まあ、熱中症などにさえ気をつければ、
この部分さえ間違えなければ、
暑いというのは、この問題の本質ではないでしょう。
真に考えなくてはならないのは、雇用不安と在宅医療ですね。
それはともかく、暑い夏を涼しく過ごせればと、
電気に頼らない暑さ対策を考えます。
1.辛いものを食べると涼しくなる?
街での20人に対するアンケートでは、
涼しくなると答えたのが12人、
涼しくならないと答えのは8人でした。
実験で確認しましょう。
場所は人口気象室、温度32℃、湿度50%と、
真夏の環境に。
そして、微風は窓から入る風を再現しています。
被験者は上半身裸の男性2人。
まずは温度が36℃程度の水を30秒をかけて飲んでもらい、
体表面の温度を確認しますが、
もちろん、変化は見られません。
次に水に生唐辛子を2本分を刻んで混ぜた激辛ジュースを飲み、
どう変化するかを見ます。
温度は先ほどの水と同じ、30秒をかけるのも同じです。
さて、体表面の変化はどうでしょうか?
被験者は「暑い」と訴えていますが…
暑いとは言っているものの、
体表面温度に目立った変化は見られません。
そして、8分後、「冷えてきました」との声。
10分後、たしかに体表面温度は下がっています。
もう1人も同じように、最初は「暑い」と言っていますが、
その後、「汗が風に当たって寒くなってきた」と。
2人の温度変化を見ますと、
しばらくはさして変化は見られないものの(暑いとの感想とは違い)、
10分もすれば体表面温度は下がるようです。
他に男女2人ずつでも実験しましたが、
やはり同様の結果が得られました。
本人は
暑い
と感じているのに、なぜ体表面温度に変化はなかったのでしょうか?
また、その後、温度が下がったのはなぜでしょうか?
日本体育大学スポーツ栄養学の井川正治教授は、
トウガラシのカプサイシンは痛みを与えるという刺激もあり、
「痛み」と「熱さ」を感じるセンサーが非常に近い所にあって、
神経は「痛い」と伝えているのに、
脳は「熱い」と錯覚、本人は「暑い」と感じているのに、
温度は上がっていないという現象が起こります。
そして、人が「暑い」と感じると、
血管を拡張したり、発汗などで熱を出そうとする訳ですが、
実際には体温は上がっていませんから、
放熱したぶんだけ、温度が下がり、
より涼しくなったという訳です。
というご説明。
ということで、
辛いものを食べると、涼しくなるようです。
次。
2. グリーンカーテンは涼しい?
つる性の植物などを利用するグリーンカーテンは、
特に昨年から注目されています。
そして、よしずも良いとされています。
はたして、どちらが涼しいのでしょうか?
人口気象室に部屋を作ります。
一方の壁を開けておいて、日よけを設置せず、
真夏の太陽を再現出来るライトを点灯します。
室温35℃、湿度50%の部屋の変化はどうなるでしょうか?
1時間後、なんと54.9℃にもなってしまいました。
では、環境を元に戻して、
次によしずを立てかけて実験します。
1時間後の結果は、45.7℃でした。
何もない状態との差は、
-9.2℃でした。
そして、グリーンカーテン。
専門家の協力で、部屋に入る光の量を、
よしずの時のほぼ同じに調節してもらいます。
1時間後の結果は43.4℃でした。
何もない状態からは-16℃、
よしずの時との比較では、-2.3℃の差が出ました。
空調で考えますと、設定温度で2℃違えば、
消費電力も大きく違ってくるはず。
それにしても、グリーンカーテンが優秀な理由は何でしょうか?
徳島大学工学部環境整備工学講座の田村隆雄准教授によりますと、
植物の内部には水分があります。
その水分は葉などから水蒸気として大気に蒸発、
蒸散していくこととなります。
その時、気化熱を奪いますので、
生きている植物の表面は直射日光にさらされていても、
それほど高温にはなりません。
植物自体が高温にはなりませんので、
その内側の部屋も温度上昇が抑えられた
という訳なのでした。
実験1時間後のそれぞれの表面温度を見てみますと、
一目瞭然、緑のカーテンの優秀さがよくわかります。
また、よしずを使用する場合も、
よしずに霧吹きなどで水をかけるなどすれば、
効果を近づけることは可能です。
次。
3. 風鈴の音を聞くと本当に涼しくなる?
街で「気持ちだけではなく、体が涼しくなるか」と尋ねたところ、
涼しくなると答えたのは3人だけ。
17人は涼しくならないと思うという回答でした。
被験者はこの4人。
部屋の温度は27℃にして、目隠しをしてもらい、
一人ずつこの部屋に入ってもらいます。
まずは60代の男性から。
部屋に連れてこられた彼に、
今の室温がどれぐらいか、
つまり体感温度を尋ねます。
すると、
20℃ぐらいですか
との答え。
そのままの状態で、部屋の風鈴を鳴らします。
この風鈴の音を10分聞いてもらい、
スタッフがこのように説明します。
先ほどとは設定温度を変えました
しかし、実際には27℃のまま変化させていません。
ここで再び体感温度を尋ねますと、
17℃ぐらいですか
と、感覚的には3℃も下げることが出来ました。
4人の結果がこれ。
変化に差はありますが、
涼しく感じているようです。
これはこれで意味のある結果ではあるんですが、
気持ちだけではなく、となるとどうでしょうか?
最初の60代男性の腕の温度を見てみます。
左が開始時、右が風鈴を10分間聞き続けた後です。
このように、確実に体表面温度が下がっています。
4人全員の結果です。
一番下の彼だけが上昇していますが、
他は温度が下がっています
風鈴の音は、気持ちの面だけではなく、
実際に涼しくさせる効果があるのかもしれません。
諏訪東京理科大学脳科学専門・篠原菊紀教授によりますと、
脳自体は思い込みだとか条件付けによって、
末梢の活動も変えていきます。
今回は風鈴の音を聞いただけで、
脳が涼しげな光景を思い出し、
それが末梢神経に命令を与え、
実際に体表面温度が起きてくるということですね。
とのこと。
ただし、
脳の側にイメージや思い込みなどがなければ、
この現象は起きません。
風鈴を知らない外国人3人で実験です。
ナイジェリア出身のフランクさんは、
風鈴の音を10分間聞かされて、
暑さが気になって何も感じなかった
と。
スペイン出身のレイモンドさんは、
涼しいとは感じなかった
と。
ブラジル出身のウイリアムさんは、
悪い音ではないんだけれど、
特に何とも思わなかった
と回答。
涼しさを体感した人はいませんでした。
体表面温度も2人が上昇、
1人が変化しませんでした。
先の日本人の例でも、体表面温度が上昇した20代男性は、
風鈴にあまり縁がなかったのかもしれませんね。
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所さんの目がテン! エコ研究所第7弾 節電にまけない暑さ対策編 ~辛いもの・緑のカーテン・風鈴~
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