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総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」 その2

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http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11299100994.html

こちらからの続きとなっています。


恵さんは、お母さんの異常に何か気付いていましたか?

「そういえば、昨日、左の手首が痛いって言っていました。
だから私は、今日は休めばって言ったんですけど、
なんだか頭も痛いって。
それなのに、テニススクールに行きたがっていました。
でも、渋々諦めました。
右膝も痛むらしく、数年前にも腫れたことがあったんで、
病院に行くように言ったんですが、
結局、市販の痛み止めを飲んでいました」

「それでですね」

ご主人が続けます。

「そのままおとなしくしてるのかと思ったら、
またパソコンの前にいるんですよ。
私が、調子が悪いなら寝てればいいだろうと言うと、

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

振り返って言うんですよ。

お父さん、お見合い明日よ。
ちゃんと準備しておいてね。


そう言うと、またパソコンでゴソゴソしていました。
そういえば、あの時、

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

目薬をさしていました」


「そして今朝です。母がなかなか起きてこないので、
父に部屋まで呼びに行ってもらったんです」

「私が部屋に入ると、
ペットボトルのお茶が栓もせずに置いてあって、
それに気付かず蹴飛ばして倒してしまいました。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

なんか…、寝違えたみたい…

と、うめくように言うと、

ちょっと…だるい

って」

「それで私が母の体温を測ったら、
微熱があったんで、夏風邪は用心しないとって言ったら、

私、行くわよ。やっと取り付けた約束なんだから

と、まだお見合いに行く気でいました」

「私も裕子に
『ずっと我慢して憂鬱な顔でいたら、
あちらさんも不愉快だろう。俺がちゃんと謝っておくから』
と言ったんですけれど、
今度は起き上がろうとするんですよ。
でも、上半身を動かすことも出来ず、結局

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

痛たたた…

と、うめくのが精一杯で」

「母に私が
『お見合い、今日は延期してもらって、
私とお医者さん行こうか?』
って言いましたら、

そんなの駄目よ。あんたはちゃんと行きなさい

って譲らないんで、私たちは出かけて、
お見合いが終わって電話をかけたら、
母は出ませんでした。
私たちが出かけてから6時間後ぐらいでしょうか。
家に帰ってきたら、こんなことになっていて…」

「救急車を呼ぼうとすると、
裕子が嫌がるし、先生のところで見てもらおうと
連れていこうとしたんですが、
起こそうとしただけで痛がりますし…」

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

「それで、私が先生をお呼びしたんです」


少し、脱水状態だったようですね。
それで、一つ伺ってもよろしいですか?
裕子さん、少し体を動かすことは出来ますか?

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

…痛たたた。駄目みたい…

首だけ動かしても痛いんですね。
無理を言ってごめんなさいね。



*************************************************************





ここで2回目の鑑別です。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

榎本先生は
リウマチ性多発筋痛症

大内先生は
リウマチ性多発筋痛症・側頭動脈炎

長野先生も
リウマチ性多発筋痛症(側頭動脈炎)

と、榎本先生が皮膚筋炎からリウマチ性多発筋痛症に変わりました。
数年前から右膝に痛みがあり、
これがリウマチ性多発筋痛症によるものかは不明ながら、
市販の解熱鎮痛剤を用いて症状を抑えていたのではないかと、
榎本先生は説明します。

大内先生が変えなかったのは、
左手の関節痛が急性発症であり、
リウマチ性多発筋痛症が考えられること、
そして頭痛と眼精疲労から側頭動脈炎を付け加えたとのこと。

長野先生も、首が回せない、大きな関節が痛んでいることから、
変更はしませんでした。

ここで3人ともがリウマチ性多発筋痛症という鑑別になりました。
症状の全てはそれで説明は出来ますが、
はたして、それで良いのでしょうか?
他の病気では説明は不可能なのでしょうか?

患者さんは体を上手く動かせない状態でした。
その原因はどこから来るのでしょうか?
骨? 関節? 皮膚? 筋肉?
筋肉なら、膠原病かもしれません。
皮膚なら帯状疱疹が考えられます。
骨なら化膿性骨髄炎が、
関節なら関節リウマチや偽痛風も考えられるでしょう。
偽痛風とは、痛風に似た病気で、
痛風が関節に尿酸がたまることで起きるのに対し、
偽痛風はピロリン酸カルシウムがたまることで発症します。
そして、痛風は足の拇趾などの小さな関節などが痛み、
偽痛風は膝などの大きな関節が痛むことが多いようです。

この患者さんの場合、痛みを訴えていたのは、
右膝と手首でした。
比較的大きな関節です。
ということは、偽痛風の可能性も出てきたということになります。

ここで思い出すのが、最初に血圧を測ろうとした時のこと。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

血圧計を巻く時に激痛を訴えていました。
そして、病院までご主人が運ぼうとした時に、
肩を掴んで起こそうとした時にも。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

リウマチ性多発筋痛症の症状には、
掴まれた時に痛む把握痛があります。
しかし、リウマチ性多発筋痛症の患部は、
首と肩の上肢帯、腰とお尻や太ももの下肢帯です。
この患者さんは、
腰、お尻、太ももの痛みはあったのでしょうか?
今のところ、それを訴えている様子はありませんでした。
では、リウマチ性多発筋痛症ではなく、
偽痛風なのでしょうか?
しかし、体全体が動かせない偽痛風は考えられないと、
大内先生は話します。

もう一つ思い出してみましょう。
ビデオの最後の部分、

医師が

少し体を動かすことは出来ますか?

と訊いたところ、
患者さんは首を動かそうとしました。
この医師は

肩や首を動かして下さい

とはひと言も言っていません。
それなのに、首を動かしました。
つまり、彼女は自分のどこが悪いのかを知っていたのです。

榎本先生がそれを言葉にします。

クラウンド・デンス症候群

振り返るような動きは、
首の骨の動きが大きく関係しています。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

首は7つの骨で構成されていて、
一番上を環椎、その下を軸椎と呼んでいます。
この環椎と軸椎の間で起こるのが、
クラウンド・デンス症候群で、
CT画像などで見た時に、歯突起を下にした画像が、まるで
「冠をかぶった(crowned)」「歯突起(dens)」のように見えることから、
この名前が付いています。

総合診療医 ドクターG「痛くて死にそう」

正常時は、主に環椎と軸椎の動きでなめらかに動いていますが、
歯突起の周りに、ピロリン酸カルシウムがたまって、
石灰化が起こり、動かそうとすると、
激しい痛みが起こります。
それにより、起きられなくなったり、
あたかも全身に痛いように思ったとしても、
不思議ではありません。
つまり、全身の痛みを訴えていた患者さんは、
全身に痛みがあった訳ではなかったのです。


クラウンド・デンス症候群

が最終診断となります。

この患者さんは、偽痛風に冒されていました。
右膝と左手首の痛みはそれによるものです。
その偽痛風が首に起きたことで、
クラウンド・デンス症候群を発症したのです。
クラウンド・デンス症候群は、
比較的高齢女性に多いとされ、
顎の痛み、嚥下困難を訴える例も多いようです。

なお、この患者さんは炎症を抑える薬が処方され、
数日間の入院の後、無事退院しています。

この症例では、自分が立てた仮説を
常に疑わなければ、正しい診断は出来ませんでした。
そして、今回も問診の力が問われることとなっていましたね。

谷口先生は訪問診療の時に、
たとえば靴が綺麗に並んでいるとか、
そういうことも気に留められているそうです。
尿の匂いがすれば、正しい介護を
受けられていない可能性を考えなくてはなりません。
高齢化が進む社会の中で、
求められている総合診療の形がここにあります。






ねてしてタペ




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