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NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

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ここまでの番組内容は以下で。

あえて食べて治す食物アレルギー、免疫療法とは…?
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11099020704.html

新しい花粉アレルギー治療法 舌下免疫療法とは?
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11100780413.html


昨夜までの食物アレルギーと花粉症の治療法が紹介された後、
短く扱われたのが、例の「茶のしずく石鹸」アレルギーでした。
商品名は出しませんでしたが、間違いないでしょう。

この"事件"は研究者たちに、
新たな課題を投げかけているといえるでしょう。

49歳女性、彼女は2年前、趣味のフラメンコを踊っている時に、
急にくしゃみが出て、目に痒みが、
そして、やがて目が開かなくなってしまいました。


救急外来では、原因不明のじんましんだと診断されました。
この腫れが引くまでには2週間が必要でした。

そして、昨年2月、
刺すような腹痛に襲われ、意識を失います。

ついに判明したのが、

小麦アレルギー

でした。
彼女はそれまで、パンもラーメンも好物で、
好んで摂っていた小麦に対してアレルギーとは?
不思議に思いつつも、一つだけ気になる事がありました。

入浴すると、必ず目がかゆくなったり、
くしゃみが出たりしていたそうなんです。
最初は浴室のカビが原因かと考え、
排除を試みたそうですが、症状に変化はなく、
それでは、ということで、
入浴時に使用している物の成分を確認したところ、
一つの石鹸に「水解小麦末」という文字が。

水解小麦末(加水分解小麦)が、
皮膚などから体内に取り込まれ、
(私見ですがこの石鹸の加水分解小麦は
皮膚から取り込まれやすい分子構造であり、
だから、この石鹸は肌をしっとりとさせたのではないでしょうか?)
免疫系がそれを異物と判断した事で、
蛋白質の構造が似た小麦でも、
彼女のような症状が起こりました。


化学的に作り出された加水分解小麦は、
従来のアレルギーの知識にはないものでした。
今後、このように「新しい物質」によるアレルギーが
増えていくのではないか、
それが心配されています。



次はアトピー性皮膚炎です。

番組に登場した女性は21歳。
彼女は赤ん坊の頃からずっと、
アトピー性皮膚炎に悩まされています。
温泉や食事療法でも効果は得られず、
症状が悪化し、仕事も辞めざるをえなかったそうです。

彼女のお母さんはずっと、
娘がなぜアトピー性皮膚炎なのか考え続けています。
ある時には浴室の水道水の塩素に問題があるのではないかと考え、
それが除去出来るとされるシャワーヘッドに交換しました。
布団のダニとその死骸が原因なのではないかと、
徹底的に取り除いてみましたが、
いずれも症状に変化は見られませんでした。

多くの人が苦しんでいるにもかかわらず、
その発症の原因は不明なままです。
しかし、その一端が解明されました。
解明したのは、英国の人類遺伝学が専門のダンディー大学、
アーウィン・マックリーン教授の研究チームです。

研究チームは2000人以上の遺伝子を解析、
その結果、アトピー性皮膚炎患者には
共通の遺伝子に異常が見られたそうなんです。

それが皮膚の蛋白質を作る遺伝子

FLG

このFLGは皮膚にうるおいを与える蛋白質、
フィラグリンを作ります。

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

右が正常な肌で、左がアトピー性皮膚炎患者の肌です。
黒く見えるのがフィラグリンで、
アトピー性皮膚炎患者の肌にはそれがありません。
さらに、角層にほころびまで見られます。

マックリーン教授は

アトピー性皮膚炎はスキンバリア(角層)の
ほころびが発症のきっかけだったんです。
私たちはこの病気の概念を完全に変えたのです。


と語ります。
フィラグリンがないことで起こる、スキンバリアのほころび。
そこからどのようにして、
アトピー性皮膚炎発症となるのでしょうか?

ダンディー大学と共同研究している、
慶應義塾大学病院皮膚科・天谷雅行教授がそれを解き明かしました。

これまで、荒れた角層から侵入した抗原は、
その下にある膜に阻まれて、
奥には影響を与えないと考えられてきました。

しかし、実際は

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

"抗原提示細胞"が"触手"を伸ばし、
抗原を捕らえていたのです。

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

そして、その情報はリンパ節などの免疫システムに
届けられることがわかりました。
抗原の情報が届けられると、
毛細血管からリンパ球が送り込まれ、
その抗原を攻撃するために、
炎症物質をまき散らします。

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

さらに皮膚をかいてしまうと、
一層肌は荒れ、さらに抗原が侵入、
リンパ球の活動は強まり、
炎症は広がります。

フィラグリンがないことで、
スキンバリアにほころびを生じ、
このようにしてアトピー性皮膚炎は発症するものと考えられます。
同じ理屈で、フィラグリンに問題がない人でも、
皮膚を強くこする、何度もかくことで、
スキンバリアはほころぶこともわかりました。

石鹸を冬なんかに使いすぎると
肌がかさかさになると思いますが、
あれは角層(スキンバリア)が異常に壊れたです。
正常な状態では、大きな抗原は中に入っていかないんですけれども、
壊れた状態では、容易に抗原が通過するようになりますので、
その下の抗原提示細胞が抗原を捕捉して、
免疫反応を起こす事になります。


とは天谷教授。

ここまででわかったのは、

スキンバリアが壊れる

次に

抗原が侵入する

そして、

アレルギー反応が起こる

ということでした。
スキンバリアを修復することが出来れば、
アトピー性皮膚炎治療への大きな前進となるでしょう。


番組取材班が得た情報は優希さんに伝えられました。
彼女は東京慈恵会医科大学第三病院
・皮膚科診療部長の上出良一医師の診察を受けます。
彼はこれまで、皮膚のバリアを早く回復させる治療を
積極的に行ってきたそうです。

上出先生は



だと言います。

ステロイド薬は体内で合成される成分を、
化学的に合成したもので、
これには炎症を抑える効果があります。
そして、その下の拡張した毛細血管を縮める働きもあります。
これで、新たなリンパ球が供給されることを防ぐ事が出来ます。
これで皮膚をかく事が減れば、
スキンバリアは徐々に回復するはずです。

しかし、ステロイド薬は皆使用しているのでは?

同じ薬なんだけど、使い方なんだよね

正しい使い方が重要なんだそうです。

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

この量を、手のひら2枚分相当の範囲に塗るんだそうです。

塗り方も

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

このように点々と薬を置いていき、
軽く撫でるように塗り広げます。
強くこすってはいけません。
冬場は皮膚が硬くなっているため、
軽く手全体で押す感じで、
最終的には薄く白くなっているぐらいが良いようです。


50年も前からあるステロイド薬。
改良されつつも、なかなか治らないという患者さんはたくさんいます。
現場の医師たちは、ステロイド薬について、
効果が大きい反面、使い方が難しく、
患者さんが正しく使用していないことの影響も大きいと考えているようです。
もしも、患者さんがこの薬を過度に恐れ、
適量よりも少なく使用していたとすれば、
皮膚の炎症を抑えこむことは不可能になります。
また、痒みがなくなったと、
独自の判断で使用をやめてしまうと、
皮膚の内側に残った炎症がぶり返すということも。
また、内服薬のステロイドは効果が全身に広がるために、
副作用が強いとも考えられますが、
外用薬のステロイド薬は、
その患部の表面に塗られるものなので、
そこまでの副作用は起こらないと考えてよいでしょう。

同時に上出医師はこのようにも語ります。

たいがい皆さん仰るのは、どこの皮膚科へ行っても、
「こりゃあ、酷いね」とか「まあ、今軽いから」とか、
そして、薬だけポンと出して「これ、つけといて下さい」で終わって、
はい、さよならですね。
皮膚科医は特に、一人一人の患者さんに、
懇切丁寧にわかりやすく、
たとえば塗ってあげるとか、
どれくらいの量をいつまでつけるんだと、
こういう外用療法の指導を怠っていたのかな、と反省もございます。


患者側も、疑問があれば、
医師に尋ねましょう。
内服薬とは違い、訊かなければわからないことが多いはずです。



優希さんにもステロイド薬への「怖い」というイメージがありました。
これまで避けてきたステロイドでしたが、
上出医師の指示に従い、使用することにしました。

初診から9日目。

NHKスペシャル「アレルギーを治せ!」 茶のしずく事件から起こる懸念/アトピー性皮膚炎の治療

確実に皮膚の赤みは収まってきています。
肌の潤いも改善されてきているようです。



そして、最新のお話。
ダンディー大学のマックリーン教授は
遺伝子に直接働きかけて、
フィラグリンを作らせる新薬の開発に取り組んでいます。

これが完成したならば、
アトピー性皮膚炎を根治できる世界初の薬となります。
マックリーン教授は、5~10年以内に開発出来ると語っていました。



私の身近にいるアトピー性皮膚炎患者、そして元患者、
あるいは知人にもいますけれど、
話を聞くと、まあ、怪しげな治療法がたくさんあるんですね。
また、そういう業者が寄ってくる…
こういう治療法の多くは効果がなかったり、
時には悪化させることもあるでしょう。
藁にもすがりたい気持ちはわかりますが、
正しい知識以外に方法はないものと考えます。
ステロイドに対して恐れるならば、
ステロイドを使用しないことが招く事態に対する恐怖も考えるべきでしょう。

正しい知識に則った治療を受けて下さい。



ねてしてタペ


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