ニュース映像や世界の動画を紹介する番組などで、
オランウータンが自らシャンプーをしている映像を
何度か見たことがあります。
スタジオの出演者は
人間みたい!
と楽しそうでしたが、
これは悲しい出来事であって、
喜ぶべきことではないんです。
人間に関わらなければ、そのオランウータンが
そんな奇行に走ることはない訳ですから。
そのオランウータンがシャンプーをしたり、
缶ジュースを開けて飲んだりしたのは、
幼い頃に密猟に遭ったからかもしれません。
子供の頃から人間と暮らし、
人間の行動を見て育ってしまったため、
憶えてしまったという例があります。
そして、保護された後も、
その習慣がそのまま残っている…
これはこのオランウータンにとって幸せなのでしょうか?
私は動物が好きなので、
天才!志村どうぶつ園
が大嫌いです。
番組宣伝を見るだけでも厭です。
チンパンジーが服を着ているだけでも
悲しくなります。
ワシントン条約で保護されている種である
チンパンジーに対する理解を深めるためではなく、
ただ、視聴者に
カワイイ
と思わせるだけの見せ物にしてしまっています。
チンパンジーとはどういう生態なのか、
それを知らせるのに「服」があってはなりません。
それを着せた瞬間に、虐待になります。
一般に、霊長類の成獣は凶暴なものが多いです。
いくつかの種のサルで、
芸を見せる興業がありますけれど、
繁殖可能な年齢になると引退ということも多いはずです。
特にチンパンジーの場合、
その凶暴(チンパンジーに対して失礼ですが)さは、
ゴリラ以上だとされ、
筋力も、握力一つとっても
成獣のそれは300~500kgとされていて、
リンゴを握りつぶすのに必要な握力を、
大きめに見積もって100kgだといいますから、
その力の凄まじさがわかると思います。
今回の事故は、このチンパンジーを飼育している
熊本県の「カドリー・ドミニオン」で起きました。
調べてみますと、このチンパンジーは間もなく11歳になります。
チンパンジーは9歳ぐらいで繁殖可能とのことですから、
とっくに人前に出すべき年齢ではなかったのではないでしょうか。
来年4月で繁殖準備のため引退の予定で、
その前の「引退公演」であったそうですが。
パン君、女性研修生にかみつく=ショーの直後、顔や頭に-熊本
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201209/2012090700358&g=soc
この事件では、トレーナーの宮沢厚氏が"ショー"を終えて、
舞台から下がろうとする時に、
舞台袖で待機していた女性スタッフが襲われたようです。
彼女を含めて、このチンパンジーを
刺激するようなことはなかったそうですが、
この彼女は動物専門学校から研修に来ていたということで、
チンパンジーにとってみれば、
目下の存在だったのでしょう。
上野でのジャイアントパンダの赤ちゃん誕生の時の騒ぎでは、
上野動物園のパンダ誕生におけるマスコミの馬鹿騒ぎ ~ジャイアントパンダは稀少動物~
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11296122321.html
こんな記事を作りましたけれど、
カワイイ
だけで終わっていては、
そこで飼育している意味がないんですよね。
チンパンジーもジャイアントパンダも。
Wikipediaを見てみますと、
このチンパンジーの「人間と似た行動」 として、
・衣服の着用
・ブルドッグのジェームズをリードをきちんと使用して散歩させる
・おつかいや買い物を一人で(もしくはジェームズの散歩がてら)行う
・カメラで写真を撮影する
・箸、スプーン等を上手に用いて食事をとる
・焼き魚を骨だけ残して綺麗に食べる
・相手の話を頷きながら聴いて同意する
が挙げられていました。
いずれも人間のエゴが具現化したものばかり。
こんなチンパンジーがいたらカワイイだろうな
チンパンジーがこんなことをしたらカワイイだろうな
人間のそんな下らない欲望が、
彼をこんな歪なチンパンジーにしてしまいました。
イヌのリードを持たせるなんて、
カメラを持たせるなんて、
箸を使って食事? なぜ、そんな事をさせるのでしょうか?
以下、3年前のこのカドリー・ドミニオンと
このチンパンジーについての参考記事(のキャッシュ)です。
パンくん「人まねさせすぎ」 動物園が勧告受け協会退会
http://megalodon.jp/2012-0819-1909-51/www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY200906240091.html
本来野生にいるべき種に、
安易に擬人化を押しつける人間の身勝手について
真面目に考えなくてはなりません。
人間とチンパンジーは異なる生き物です。
異なる形態と生態があります。
それは尊重されなければなりません。
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チンパンジー「パンくん」 噛みつき、女性研修生が怪我 -その無辜のカワイイが虐待に繋がることも-
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