Quantcast
Channel: テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

プランを示してから「脱原発」「卒原発」を標榜すべし ~日本国民を路頭に迷わせるつもりなのか~

$
0
0
嘉田由紀子知事が「卒原発」を掲げて、
新党「日本未来の党」を立ち上げました。

10年で日本中の原子力発電所の原子炉を廃炉にするそうです。
もう少し、合理的な思考が出来る方だと思っていましたが。

10年間での廃炉について出来る、と断言していますが、
具体的な年数を示しながらも嘉田代表の口からは、
その手段の説明がありませんでした。
廃炉までの期間の電力供給についての言及もありません。

滋賀県といえば、近年、様々な工場の誘致に努力し、
それで成長してきた県だと認識しています。
各工場では多くの人が働き、
物作りで利益を上げてきたはずです。
そのために必要な電力、
その企業向けの電気料金が19.23%も値上げされようとしています。

滋賀県に限らず、このデフレ下の社会では、
あらゆるコストを切り詰めているところがほとんどだと思います。
もう切れるものはないほどに。
元々、高い電気料金を支払っているこの日本で、
さらに2割もの値上げがあったとすれば、
どれだけの企業が耐えられるでしょうか?

国外に生産拠点を移して、
さらに空洞化が深刻化するか、
工場の閉鎖か廃業でしょう。

そして、失業者だらけになる訳です。

この可能性について、嘉田知事は何も語りません。

しかし、持論の「卒原発」はアピールします。

それで電気料金がどうなるか、などは口にせずに。


政党乱立のこの総選挙の公示まであと5日ほど。
なぜかほとんどの政党が「脱原発」を掲げています。
そして、なぜか全てのそれらの政党は、

どのようにして原発に頼らずに電力を安定供給するのか?

「脱原発」に至るまでの電力供給はどうするのか?

原発に頼らない時の電気料金はどれぐらいになるのか?


について、一切を語りません。

おそらく、どの脱原発政党もノープランであり、
電気料金がどうなろうと知った事ではないのでしょう。

関西電力や九州電力が家庭向け電気料金の値上げ申請を行ったことで、
各マスコミは各家庭でどれぐらいの支出増になるかを試算していました。
そして、街頭インタビューでの
「生活が苦しくなる」などの声を流しています。

もちろん、私たち家庭向けの電気料金が値上げされるのは、
痛いのは間違いありません。
ただ、それは耐えられる痛さのご家庭が多いのではないでしょうか?
年1万円以上も支出増になるところは
少ないかもしれません。

企業の場合は、「痛い」では済まないんです。
倒産、廃業、撤退、電気料金の値上げの先には、
これらを選択せざるを得ないという可能性を含んでいる訳です。
そして、私たちは失業するということに。


九州電力はこのままですと、
2年程度で債務超過に陥る可能性があるとされています。
九州の超優良企業が、です。
だから、家庭向けで8・51%、
企業向けは14・22%の値上げとなるんですが、
どう考えても、この程度の値上げでどうにかなるものではありません。
何しろ、年間4000億円の赤字ですから。

おそらく、今でも社員の給料は高いんだと思います。
ボーナスも出ているのでしょうか。
しかし、仮にこの賃金を下げて、
ボーナスをカットしても、
4000億円を捻出できるものではありません。

では、九州電力における最大の支出、
(日本の電力会社の最大の支出)
燃料費の削減はどうでしょうか?

元々、私たち日本は海外から高価な石油や天然ガスを買わされてきました。
それは我が国が資源国ではないから、
足下を見られているからです。
交渉下手という問題点もあるでしょう。
しかし、相手も商売です。
どう交渉しても、石油や天然ガスが半額になるはずはありません。
さらに悪いことに、日本中の原発を止めてしまいました。
私たちが頼るのは、天然ガスや石油となりました。
相手はそれを知っています。
売り手にしてみれば、私たちの足下に、
さらなる弱点を見つけたことになります。
安く買える材料はどこにもありません。
私たちに、値下げ交渉のためのカードは、
何一つないように思います。
さらに、この状況が対日本だけではなく、
世界規模での原油高、天然ガス高を作り出す要因になるかもしれません。
だから、アメリカなどはこの日本の状況を、
快く思っていない訳です。

九州電力の経営が改善されないようですと、
まさか九州中の電力を止めるわけにはいきませんので、
きっと国営化ということになるでしょう。
すると、「採算の取れる電気料金にする」か、
「税金で赤字ぶんを補填する」のどちらかになります。
いずれにしても、私たちがそれを支払う訳で、
結局のところ、苦しむのは私たちなんです。


無計画に「脱原発」を叫ぶ人たちは、
再生可能エネルギー利用の先進国、
ドイツを見習えと言ってきました。
2000年頃から再生可能エネルギーの利用を
積極的に勧めてきたドイツでは、
電気料金が1.8倍にもなりました。
そして先月、再生可能エネルギーの買取制度を廃止してしまいました。
それが高コストであることから、です。
2022年末には脱原発を果たすそうですが、
重要なのは、現在も、
ドイツでは、17基もの、原発が、動いている、
ということです。

これだけの原発を稼働させていてなお、
また、フランスから原発由来の電力を買えるドイツでも、
電気料金がこれだけ上げられているのであれば、
日本の状況はどうでしょうか?
ドイツよりも楽観視できるでしょうか?
現在の日本のほうがはるかに酷い有様であるように思うのですが。

この問題で、債務超過に陥り、
再建不可能となるのは、
九州電力や関西電力だけではありません。
私が勤めている企業を含めて、
日本中の多くの企業も同様であり、
日本の勤め人の多くが失業者となる可能性を含んでいるということを、
脱原発各政党は認識しているのでしょうか?

私には

そんなもん、知らん

という態度にしか見えません。

「脱原発」を掲げるのであれば、
政府の責任であるエネルギーの安定供給をどうするのか、
最低限、脱原発に至るまでの計画、
ロードマップを示さなければなりません。
そこで、私たちが路頭に迷わないという指針が
示されていなければなりません。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

Trending Articles