こちらでは、前々回の放送になります。
目にまつわることわざ、
目にまつわる言葉について考える放送でした。
まずは番組名でもある
目が点になる
この慣用句から。目が点になるとは、
広辞苑によりますと、
めがてんになる【目が点になる】
(漫画で目を点のように描いた表情から)驚きあきれる。呆然とする。「値札を見て―」
広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店
と説明されています。
なるほど、漫画では多用されていて、
読者もそれを理解しているのでしょう。
では、現実に人は驚いた時に「目が点」になるのでしょうか?
実験で確かめます。
番組では「視力検査時の目の様子を撮影したい」と偽り、
被験者の顔を固定、
被験者には目の前にあるモニターの中の風景映像を見ていてもらいます。
被験者がモニターを見ていると、
モニターの下から突然赤鬼が出現。
この驚いた時の目を観察します。
これがその時の目。
瞼を大きく見開いていて、
黒眼の上端まではっきりと確認出来ます。
人間は驚くと、交感神経が働き、
瞼を動かす筋肉が刺激され、
自然と目を大きく見開くようになります。
しかし、目を大きく開いているだけで、
目が点のようにはなっていません。
しかし、白眼が大きく見えるようになっています。
通常時が黒眼と白眼の比率が
54:46
で、驚かせた時には
40:60
と、黒眼が少なく、白眼が多くなっています。
これを表現するために、
漫画で黒目を小さく、点のように描いたため、
「目が点になる」という言葉が生まれたもののようです。
では、なぜ、人の目は驚くとこのような変化をするのでしょうか?
北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の半田知也准教授は
驚くという状況は危機的な状況です。
そのため、体が臨戦態勢に入り、
瞼や瞳孔が大きく開きます。
驚いて見た目が目が点になっている状態は、
その対象物の情報を集めようとしている状態です。
と説明。
では、目が点になっている状態だと、
本当に対象物がよく見えているのでしょうか?
とても長くて大きい滑り台で実験。
何も知らされていない8人の男女に滑り台を滑ってもらいます。
この滑り台の途中で、
スタッフが紙を広げますが、
そこにはライオンの絵が貼り付けられています。
驚いた被験者は、
この一瞬だけ見えるライオンを識別できるでしょうか?
まずは対照群として、
半分の4人には予め、
どこでどのように紙が出てくるかを説明しておきます。
つまり、この4人には驚きはほとんどありません。
ただし、ライオンの絵は秘密のままです。
結果、3人が絵の存在にさえ気付きませんでした。
1人も絵には気付きましたが、
ライオンだとはわかりませんでした。
次は紙が出てくることも教えられていない4人です。
この驚かせた4人では、
3人が「ライオンの絵」だと答え、
もう1人が「イヌの絵」だと答えました。
驚かせなかった4人では、全員が不正解、
驚かせた4人では、3人が正解という結果。
たしかに、目が点状態では、
見えたモノの情報をより多く得られているようです。
そして、これは目だけの変化だけではなく、
驚くと危機に反応し、情報を分析しようと脳が活性化、
対象物をよりよく認識できるようになる
という半田先生の解説でした。
中学の時に、クルマに数m跳ね飛ばされましたけれど、
あの時の視界ははスローだったんですよね。
あり得ないほどに脳が活性化していたのでしょう。
そういえば、これも「200X」で扱われていたような気がします。
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所さんの目がテン!「目にまつわることわざの科学」 その1 ~目が点になるって?~
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