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ビーバップ!ハイヒール 「絵画ミステリー 名画に潜む恐怖の正体」 その2

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こちらからの続きです。

http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11842299058.html


ジョシュア・レイノルズは18世紀イギリスの肖像画家。



ここに描かれた道端にたたずむ少年からの表情が独特です。
無表情とも違う表情、
人間的なものが感じられません。



この帽子に生えている翼。
これはギリシャ神話のメルクリウスの象徴。
商人の神であるとともに、
盗人の神でもありました。
この帽子の翼はその暗示。



左手には巾着、
そして、後ろ手の右手に握られているのは、
巾着の紐を切るためのナイフだとされています。
絵の題は「巾着切りのメルクリウス」。
この少年は、誰かの財布をスリ盗んだところ。
これが描かれた時代のイギリスは産業革命で湧いていました。
それは人々の生活を変えるとともに、
貧富の差を拡大させ、無数のストリートチルドレンを
街に溢れさせました。
彼はそんな一人なのでした。








以前、ご紹介した



ビーバップ!ハイヒール「ギリシャ神話 」 その3 アフロディーテとピュグマリオン、そしてミュルラ
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11229674077.html

この絵などで知られるジャン=レオン・ジェロームは、
19世紀フランスの画家で彫刻家。
ルドンが師事していた人物でもあります。



この絵は「仮面舞踏会後の決闘」。
今にも息絶えそうな白い服の男。
右手には手から落ちようとしている剣、
そして、汚れた雪面ともう1本の剣。
その剣を握っていたのであろう人物が
この場を立ち去ろうとしています。
タイトルのとおり、これは決闘を描いたもの。
そして、決闘で敗れ殺された白い服の男はピエロでした。
決闘は当時上流社会に許された文化で、
仮面舞踏会に出られるほどの身分であることからも、
彼らの身分の高さがわかります。
単純にこの絵を評価するならば、
決闘で命を落とす馬鹿馬鹿しさを伝えようとする
教訓絵画となるでしょう。
しかし、この時代背景を考えると、
もう一つの隠された意味が含まれていることがわかります。

この絵の主役、ピエロ。
ピエロのルーツは古代エジプトにあり、
中世ヨーロッパの宮廷には宮廷道化師という人たちがいました。
心を病んだり、体に障害がある者を宮廷内に住まわせていて、
当時の絵を見ると、イヌとともに描かれていることが多いように、
その扱いはイヌ同然の地位だったのでしょう。
ただ、愚か者として扱われていたために、
相手が国王でも自由な発言をすることが出来ました。
ジェロームがこの絵を描いた19世紀になると、
宮廷道化は模倣されて、大衆を楽しませる存在となりました。
大勢の人々を笑わせる哀しき存在、
その象徴がピエロでした。
つまり、この絵は宮廷道化師という
習慣の終焉を描いているともいえます。
決闘の愚かさを描くのであれば、
何もその当事者や敗者を道化師にする必要はありません。
ピエロが象徴するもの、
それは純真無垢であり、愚かであり、そして恋。
もしかすると、決闘の原因は
女性をめぐっての諍いなのかもしれません。


この後、「ゴヤの黒い絵」へと続きますが、
その続きは来週になろうかと思います。
ブログ自体は明日、明後日と更新などをお休みします。








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