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ビーバップ!ハイヒール 「絵画ミステリー 名画に潜む恐怖の正体」 その1

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早稲田大学講師、作家の中野京子先生は番組には5回目のご登場、



「怖い絵」シリーズなどは、
美術関連書籍としては異例の大ヒット、
普通、この分野のものは文庫化はされません。





オディロン・ルドンは19世紀から20世紀にかけてのフランスの画家。



この「泣く蜘蛛」などの作品が知られています。
印象派と同じ時代の画家ながら、
風景画よりも、幻想的な世界を題材にしています。
彼は裕福な家庭に生まれましたが、
生後2日で里子に出され、
その理由を、自分が実母に疎まれる存在だったからだと、
彼はそう考えていました。
病弱で内向的、物陰の暗闇が彼の居場所でした。
そして、彼は闇の中に喜びを感じるようになります。



や「眼=気球」や、
シェイクスピアの怪物を描いた「キャリバン」などに、



この時代の彼の絵にその影響が見られます。
50歳を過ぎると、彼の絵が評価されるとともに、



「トルコ石色の花瓶の花」



「蝶」、これらのように色彩豊かな絵を描くようになっていきました。
印象主義的な絵を描く一方、
技法は印象主義的ながら、"黒の時代"に見られた恐ろしげな幻想を
色彩を使って描いてもいます。



「キュクロプス」、英語読みでサイクロプスは、
ギリシャ神話に登場する旅人を喰らう一つ目の巨人。
この絵のキュクロプスがその暗い瞳で
見つめているのは一人の裸婦。
ルドンはこの一つ目巨人に自己投影していたとされていて、
それは、少年時代暗闇の中から、
窓越しに外を覗いていた自分。
だとすれば、この裸婦は誰なのか。
ただ、彼女を襲おうとしているようには見えない、
悲しげで、そして優しさまでもが
その目にはあるように思います。
それは実母なのかもしれません。








「快楽の園」は三部構成。










16世紀の初めにオランダのヒエロニムス・ボスによって描かれたもの。
両側の2枚は内側に折りたためるようになっていて、
観音開きのように展開することで、
全容が見られるという構造で、
絵としては、左から右へと物語が続いています。
左では、キリスト教でいうところの主がアダムのために
イヴを創るしている場面。つまり、ここはエデンの園。
宗教画ではよく描かれる題材ですが、



この絵の場合は画面下に異形の生き物が描かれています。
池から這い出ようとするそれ、
そして、なぜか本を読んでいるそれ。



上の池からも謎の生き物が這い出ています。
見る人を不安にさせるこれらの描写は、
やがて訪れる未来の予兆なのでしょうか。

中央の1枚では、多数の裸の男女が描かれ、
それはアダムとイヴの子孫たちが繁栄している様子となっています。
しかし、これもよく見ると、



人々は淫らで、
凡そ理性的とは思えない行為にふけっています。





これは、欲望に溺れる罪への暗示だとされています。

右側は地獄。



奇妙な生物たちが、人間に様々な方法で
苦痛を与えています。



人間を丸呑みにしているそれは、
すぐさま、そのままの姿で排泄し、
その苦痛は永遠に繰り返されているようです。
これらの絵についての評価は一定ではなく、
現在も議論されているところですが、
「快楽」を追い求めることで、
そこは地獄になり得ることを警告しているのであろうと言われています。


…続きます。










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