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サイエンスZERO「心と体を支配する!神秘の物質ホルモン(1)~性ホルモン」 その2

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こちらからの続きです。

http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11875531648.html


性ホルモンが人の体を作り変えていく時、
一つのホルモンが直接各組織に
影響を与えている訳ではありませんでした。
一つのホルモンが次のホルモンを分泌させ、
そのホルモンがまた次のホルモンをというふうに、
いわばホルモンのリレーが行われて、
私たちは大人としての体を手に入れていくことになります。
しかし、なぜこのような複雑な手順を踏んでいるのでしょうか?
単純に一つのホルモンに任せればいいようにも思います。

無脊椎動物のタコなどは、
直接脳が卵巣を刺激するホルモンを出していて、
私たちのようなホルモンのリレーは行われていません。
どうやら、私たち脊椎動物は進化の過程で、
ホルモンのリレーの手順を増やしてきているようです。

性腺刺激ホルモンを放出させる
性腺刺激ホルモン放出ホルモンであるGnRH細胞で見てみます。
もしも、このGnRH細胞が直接性ホルモンを分泌したとして、
仮にGnRH細胞が誤って多量の性ホルモンを
分泌したとすればどうでしょう?
性ホルモンはとても作用の強いホルモンです。
この事態になりますと、
全身の各器官に大きな影響が出てしまうでしょう。
そこで、GnRH細胞から出た性腺刺激ホルモン放出ホルモンは
一度脳下垂体でバトンタッチし、
仮にGnRH細胞からのホルモン放出に異常があったとしても、
その影響は最小限に留められるでしょう。
つまり、ホルモンのリレーは私たちにとって、
安全装置だといえそうです。

もちろん、このリレーは男性の体の中でも起きています。
男性でも、GnRH細胞から脳下垂体で
ホルモンがリレーされるところまでは女性と同じです。
男性の場合、脳下垂体から放出された性腺刺激ホルモンが辿り着くのは、
精巣になります。
精巣の内部には精細管という管が詰まっていて、



その管の中にあるのがゴノサイト。



このゴノサイトが精子の元になります。
そして、その周辺にあるセルトリ細胞が
脳からのホルモンを受け取ります。
セルトリ細胞はホルモンを受け取ると、
増殖を始め、ゴノサイトを包み込んでいきます。



ゴノサイトは外部から守られた中で増殖を開始、
成熟し、丸かったゴノサイトから尾が生えて
精子となっていきます。
また、同時にこの精巣にあるライディッヒ細胞が
大量の男性ホルモンを全身に向けて放出、
これが筋肉を強くしたり、骨が伸びたり、
体毛が濃くなったりという作用を生みます。
男性の場合も、女性同様のホルモンのリレーが行われている訳です。
ところで、このような身体の性的な大変身が起きるのは、
まず最初にGnRH細胞から
性腺刺激ホルモン放出ホルモンが放出されるからでした。
このGnRH細胞はどのようにして、
思春期の到来をどのような基準で判断しているのでしょうか?
私たち人間は大きな脳を持っていますが、
その脳が成熟しているか、という条件があるようです。
また、体力、脂肪の量など、
子作りの栄養が足りているかというものも。
GnRH細胞は全身からこのような情報を得つつ、
放出のタイミングを決めていて、
特に女性で思春期やその前のダイエットの影響により
初潮が遅れたりなどするのはこれで説明が出来ます。
世界で見ると、脂肪摂取量多い地域では思春期の訪れは早く、
食糧難などでそれが少ない地域では遅いことがわかっており、
それはGnRH細胞が脂肪不足という判断をしているからといえます。

さて、性ホルモンは血流に乗り、
全身に運ばれる訳ですが、
全ての細胞で変化が起きる訳ではありません。
ホルモンにはホルモンごとの受容体があり、
その受容体がそれに対応するホルモンを受け取ることで、
遺伝子のスイッチをオンオフしているため、
変化すべき組織のみに変化が起きるということになっています。

男性の喉には男性ホルモンの受容体があり、
そのために喉が太くなり声が低くなります。
実は、性徴として声変わりが起きるのは人間のオスだけ。
他の動物のオスでは人間のような明確な変化は見られません。
それはかつて、私たちが狩猟採集生活していた頃に、
狩りの時、あるいは天敵に襲われた時、
大きな動物ほど低い声を出すため、
威嚇の時に低い声は役立ったであろうと言われています。
ある時、喉に突然変異で
ある種の男性ホルモンの受容体を持つ子供が生まれ、
その子は低い声という生存に有利な要素を備えていて、
子孫を残すのにも有利であれば、
その子は一定の確率で声が低い訳ですから、
その子も生存に有利となり、
それがやがてヒトのオス共通の特徴となった、
そう考えることが出来ます。
進化の過程で、生物はホルモンと
ホルモン受容体の種類を増やしてきました。
ホルモンは進化の原動力なのかもしれません。





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