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サイエンスZERO「心と体を支配する!神秘の物質ホルモン(1)~性ホルモン」 その1

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NHKスペシャルでこの春、
「人体 ミクロの大冒険」というタイトルで4回に分けて、
人間の一生の流れに沿って、
人体内での細胞とそこに起きる出来事を
バイオイメージング技術によって視覚化して放送していました。
非常に興味深い内容でしたが、
その中の「あなたを変身させる!細胞が出す魔法の薬」の回を
サイエンスZEROで掘り下げていました。
一部、Nスペのほうも混ぜて記事にしてみたいと思います。

あの時にも最初に驚かされたんですが…



この男性、生まれた時から10歳の頃までは女性だったといいます。
10歳から急に男性器が発達し、
男性として生活するようになりました。



彼女は生まれた時には男性だったと。

ドミニカ共和国のサリーナス村、
ここでは体の性が変わることは珍しくないといいます。
だから、親たちも性別の変化にはあまり驚かないようです。
ここで出産に立ち会っている看護師によりますと、
28人にこのような性別の変化が見られるそうです。
この村でこのような事象が起こり続けている理由としては、
近親婚が多いからという説明でした。


私たちの性別を決定しているのは性染色体です。
性染色体にはX染色体とY染色体があり、
それを両親から1つずつ受け継ぐ訳ですが、
XXの形ですと女性に、
XYの形になりますと男性になります。
ただ、遺伝子の働きとしてはこれで終わりで、
ここから先は性ホルモンの働きで、
母体内で胎児を男女それぞれの体にしていくこととなります。
サリーナス村の場合、この段階で異常が起きたため、
成長過程で性別が変化したように見える現象が起きたと考えられています。
研究では、5α還元酵素という物質を
作り出す遺伝子に異常が見られたとのこと。

5α還元酵素は男性ホルモンである
テストステロンに働く酵素。
5α還元酵素がテストステロンに付着しますと、
テストステロンはジヒドロテストステロンに変化、
ジヒドロテストステロンはテストステロンよりも
効果が5~10倍強い男性ホルモンとされ、
これが胎児期に大きな影響を与えています。

そもそも、私たちの体は元々胎内においては女性の体でした。
XYの性染色体を持っている胎児の場合、
この女性の体を男性の体にしていかねばなりません。
そこでジヒドロテストステロンが必要になり、
それを作り出すための5α還元酵素が必要になります。
この5α還元酵素が欠けていた男児が、
胎児期に男性器が形成されなかったため、
出生時に女性だと判断されたのでしょう。
そして思春期。
胎児期にはテストステロンを産生する能力が弱く、
その量に限界があるため、
より強いジヒドロテストステロンを必要としましたが、
思春期になりますと、
精巣で作られるテストステロンの量が増加してきます。
5α還元酵素がなかったとしても、
そのテストステロンにより、
男性器を発達させたのでしょう。
一方、男性として生まれ女性に"変化"した例の場合は、
胎児期に母体から大量の男性ホルモンが分泌されると、
このような現象が起こりうるとのこと。
可能性としては、妊娠期の強いストレス、
環境ホルモンの摂取なども考えられます。

これらは特殊な例でしたが、
私たちも性ホルモンにより体を作り変えてきました。

ワコール人間科学研究所。
ここには、世界に例のない貴重な資料があります。
多くの女性を幼児期から毎年人体計測、
写真に収めてきているのです。



10歳ぐらいまでだと身長にのみ
大きな変化が見られます。



思春期とされる11~12歳ぐらいから
体つきが急激に変化していることがわかります。
これが思春期の大変身です。



視床下部の上部にあるGnRH細胞の内部、
ここから出されているのが
性腺刺激ホルモン放出ホルモンです。
10歳を過ぎたあたりからGnRH細胞は突然、
性腺刺激ホルモン放出ホルモンを大量に放出しはじめます。
性腺刺激ホルモン放出ホルモンが視床下部に到達しますと、
視床下部は性腺刺激ホルモンを放出、
性腺刺激ホルモンが卵巣に辿り着くと、
卵巣にあるいくつかの卵母細胞が反応、、
その外側の卵胞細胞が激しく分裂、
その体積を1000倍にもしていきます。
卵母細胞は卵子として変化し、
最初の排卵が置き、卵子は卵管へと向かいます。

こうして性腺刺激ホルモンは排卵を促しましたが、
性ホルモンの活動はまだこれからです。
排卵とともに、卵胞細胞は女性ホルモンを分泌、
これが血流により全身を巡ります。

女性の場合、真っ先に変化するのは胸など。
母乳を作る乳腺細胞が女性ホルモンを受け取ると、
激しく分裂し、乳腺を形作ります。
続いて乳腺細胞が別のホルモンを分泌、
脂肪細胞を増殖させ、乳房を発達させます。
同時期に腰部では、骨盤の骨芽細胞が
女性ホルモンにより活性化、
骨盤を大きく発達させて胎児を支えるための準備を始めます。


このように、ひと口に性ホルモンによる大変身といっても、
一つの性ホルモンが作用している訳ではなく、
一つの性ホルモンが次のホルモンを放出させていくなどして、
いわば性ホルモンのリレーが続けられることで、
私たちの体に変身が起きることになるのでした。

しかし、なぜ、一つのホルモンを全身に巡らせて、
変身のスイッチにしないのでしょうか?
一つのホルモンが別のホルモンを出させて、
そのホルモンがさらに別のホルモンを、
…と複雑なシステムになっている理由は、
次回お書きします。



…が、明晩ブログ更新はお休みです。
懲りずにまたいらっしゃってくだされば嬉しいです。




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