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サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車」~風レンズとは?~ -別動画付き-

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今夜は今週のものが放送されていますが、
これは先週のお話。

原発事故というか、それから全く無策の政府の責任により、
我が国の電力事情の先行きは不透明です。

短期的だけでなく、
10~20年後先を見据えた、新しい発電についても、
何か動いているのでしょうか?
メタンハイドレートが少し前へ進んだとか進んでないとか、
実際のところ、どうなんでしょうか?


新しい発電、特に自然エネルギーの中で、
これまでも注目されてきた風力発電ではありますが、
以前お書きしたように、発電量や
その耐久性、近隣住民への健康被害などの問題点も多いです。

この日の番組では、様々ある風力発電の風車の中でも、
特に最新の従来の3倍もの発電能力が期待できるという

風レンズ風車

を紹介していました。

九州大学応用力学研究所、
海洋大気力学部門大気流体工学分野の大屋裕二教授が手にされているこれ、

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

プラスティックのたらいの底を取り払ったものですが、
これを従来の風車に取り付けることで、
風車が速く回り発電量が増すんだそうです。

この底抜けのたらいが風を集めるんだとか。
安めぐみさんにどのように取り付ければ、
風を集めることが出来るか考えてもらいました。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

このようにすれば、本来風車に当たらない風も、
羽に当てることが出来るはずだと試してみましたが、
残念ながら、風車は止まってしまいました。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

今度はたらいを逆にしてみたところ、
風車の勢いは増し、発電量も2倍以上に変化しました。

風洞で確認してみます。

最初の取り付け方で試してみますと、
中央を通る風が少なくなっていることがよくわかります。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

そしてたらいを逆にした場合は、
上下に渦、乱流が出来ていることが確認出来ます。
低気圧、台風がそうであるように、
この渦が周りの空気を引き込んでいるんです。
その結果、風速は1.3倍に増加させることが出来ました。
発電量は風速の3乗に比例して向上するため、
少しでも速い風をブレードに当てることが出来れば、
それは大きな電力をもたらすこととなります。

大屋教授の動画です。





建造物に対する風の影響を専門とされていた大屋先生にとって、
本来、渦は厄介な問題でした。



1940年のこのワシントン州タコマナローズ橋の崩落事故は、
橋を通る風が生み出す渦がきっかけとなりました。

しかし、先生はこの厄介な渦が、
風力を増すために利用出来ることに気づきました。
さらに、風車に取り付けるリングに「つば」があれば、
もっと効果的になることにも。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

こうして、発電量が3倍にもなる新しい風車の形に辿り着くことが出来ました。
先生ははこの風車に

風レンズ風車

と名付けています。



発電量の他に、先生にとっても予想外のメリットが、
この風レンズ風車にはありました。
一つは騒音の解消で、ブレードが風を切る音を打ち消す効果があります。
次にバードストライク、鳥の衝突を防ぐ効果もあるようで、
先生は6年前から各所にこの風レンズ風車を建てているそうですが、
鳥の事故はまだ起こっていないようです。
(風レンズの上で止まって休んでいる鳥はいるそうです)

この風レンズ風車をどこに設置するのかについては、
既に昨年の12月に大がかりな実験が行われています。

直径は18m、重さは140tもあります。
この巨大施設を博多湾に浮かべようという訳です。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

上はデンマークの洋上風力発電施設です。
海上は風を遮るものがないため、
風力発電に向いているとされています。

しかし、我が国には特有の問題がありました。
これらは着底式風車ですが、
これにはなだらかな広い大陸棚が必要です。
日本にはこのような遠浅の海が少ないため、
この方式は不向きです。

そこで、おもりで海底に繋ぐ浮体という方式が考えられましたが
しかし、まだこの方式は本格的な実用化には至っていません。

ならばと全く新しい浮体を考え出したのが、
同大学総合理工学研究院・
流体環境理工学部門流体環境学の経塚雄策教授です。
それがこの浮島です。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

この浮島を構成しているのはコンクリートです。
鉄は錆びやすいため使えません。
コンクリートならば塩害に強く、
低コストで調達できます。
コンクリートは4cmまで薄くし、
その内側には発泡スチロールを詰めます。
こうすることで、万が一コンクリートが損傷しても、
全体が沈む事はありません。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

しかし、この洋上風力発電には課題もありました。
洋上では陸地よりも1m/h以上の風速の風を得ることが出来、
発電能力は陸地の倍以上になる反面、
風車が強風で壊れやすくもなります。
実際に、現在日本各地の陸地にあるたくさんの風車の中にも、
強風により破損したものが多数あります。
風車には安全にブレーキをかけるシステムが欠かせません。
一定の回転以上になれば、
自動的に止まるシステムを取り付けなければなりませんでした。
この調整作業は、当日前夜の深夜まで行われています。

翌朝、浮体は無事着水しました。
600mの沖へと曳かれていきます。
ここは北風の強い海域、ここにおもりを下ろします。
風車を立ち上げ、風レンズ風車は回転を始めました。
海の風に、勢いよく回っています。

2週間後、回転数と発電量を確認しますと、
設定どおり想定の回転数を上回ったところで、
発電量は0となっていました。
たしかに、風車を守るためのブレーキは、
期待通り作動していたようです。

今回浮かべたのは1基の浮体でした。
しかし、将来はこのように多数連結させる形を考えています。

サイエンスZERO「海の風を集めろ!実用化目指す新型風車

浮体を6角形にしてあるのは、強度面への考慮と、
増設の容易さのためでもあります。

また、この浮体中央の穴では、
魚の養殖は出来ないか、そんなことも考えられているようです。






ねてしてタペ


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