こちらからの続きです。
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11894111610.html
ルイ・アームストロングは20世紀随一のジャズ・ミュージシャン。
サッチモの愛称でも知られる彼は、
その独特の低音と表現力、
またトランペット奏者としても最高の評価を得ていました。
私も特にこのアルバムを聞き続けています。
ずいぶん昔に買った輸入盤ですけれど。
明るい愛される彼のキャラクターもあり、
ステージに上がれば常に人気者の彼でしたが、
ステージを下りた彼を
おい、ルイ! 確かにお前の音楽は素晴らしいかもしれんが、
そこはお前が入れるトイレじゃないぜ
と、白人が制止します。
その白人が指さしたドアには「Colored」の文字が。
そこは有色人種専用のトイレでした。
50年前まで、アメリカでは人種差別を法律で肯定していました。
とりわけ、南部のそれは厳しく、
トイレはもちろん、学校、病院、交通機関なども分けられていて、
そのため、自分のコンサートの会場に入るのも、
彼は別の入口から入ることもあったようです。
私を抱いてキスしてくれとは頼まない
ただ、ふつうの人間として扱って欲しい-
彼は嘆きました。
そして、1957年、合衆国最高裁判所が
公立高校での白人と黒人の分離教育を憲法違反だと判断、
アーカンソー州リトルロック・セントラル高校も
制度上黒人の入学禁止を撤廃します。
これを受けて、黒人学校から9人の生徒がセントラル高校への編入を希望、
それを阻止すべく、
当時のアーカンソー州のフォーバス知事は州軍を送り込んで、
高校を包囲、地元の白人と黒人の分離教育の継続を臨む白人たちも
学校を取巻いてそれに参加し、暴動も起きます。
9人の黒人高校生たちは毎日罵声を浴びながら登校、
校門では州軍がその登校を阻止するという異様な事態に。
アイゼンハワー大統領は我関せずの立場を取りますが、
マスコミが大きく報道するに至り、
大統領は合衆国軍を派遣、事態の収拾に至ります。
理不尽な差別を受けても白人に逆らってはならない
幼い頃からサッチモは
両親からそう教わってきました。
しかし…彼は叫びました。
それはツアー中の記者会見でのこと。
南部にいる私の同胞に対する仕打ち、政府は地獄に堕ちて当然だ!
加えて、知らぬ顔を決め込んでいるアイゼンハワー大統領を指して、
意気地無しだ!
と批判。
アメリカ史上、公に人種差別を批判した有名人は、
彼、ルイ・アームストロングなのでした。
この発言が世論を動かしたことと、
1964年、人種差別法が撤廃されたことは無関係ではないでしょう。
1967年、「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」が
世界的にヒットします。
緑の木が見える
赤いバラが咲き誇っている
僕と君のために
そして僕は思うんだ
なんて素晴らしい世界なんだって
人種差別法は撤廃されているとはいえ、
現在でもそれが消えたわけではなく、
また、当時、ベトナム戦争の最中でもありました。
この曲は、歌の中で、
理想の世界を歌ってみせているのかもしれません。
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