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ビーバップ!ハイヒール「心にしみる詩の世界~色あせない魔法の言葉たち~」 金子みすゞ

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東北地方太平洋沖地震、大震災直後に頻繁に流れていたCMで、
「こだまでしょうか」のその詩の内容が話題になりました。
朗読はUAさんだったでしょうか。




金子みすゞ、本名テルは1903年、
山口県大津郡仙崎村、現在の長門市に生まれました。
父は早くに亡くなり、弟は生後間もなく養子に出されました。
書店だった自宅で、彼女は本に囲まれて育ちます。
彼女が心引かれたのは詩でした。
15歳の時に、童話、童謡を掲載する雑誌「赤い鳥」が創刊、



彼女はその世界にのめり込み、
自らも詩の創作を始めることとなります。
16歳の時、母が再婚、母の嫁ぎ先で義理の弟・上山正祐と出会いました。
正祐は後に上山雅輔として劇団若草を創設する人物です。
文学青年である正祐とテルはすぐに親しくなりました。
正祐に夢を問われたテルは、
自分の詩が雑誌に載ることだと語ります。

  『おさかな』
 海の魚はかわいそう。

 お米は人につくられる、
 牛は牧場で飼われてる、
 鯉もお池で麩を貰う。

 けれども海のお魚は
 なんにも世話にならないし
 いたずら一つしないのに
 こうして私に食べられる。

 ほんとに魚はかわいそう。


これらの詩を絶賛する正祐の勧めにより、
彼女は4つの雑誌に投稿、
その時のペンネームが「金子みすゞ」でした。
彼女の作品は初投稿で全ての雑誌に掲載、
その後も彼女の詩は毎月掲載され続け、
将来を期待され「若き童謡詩人の巨星」と呼ばれるようになりました。

テルと正祐は心寄せ合うようになりましたが、
その時、二人には決して乗り越えられない障害があったのです。
正祐はテルの血を分けた実弟、
生後間もなく養子に出されていた弟だったのです。

  『つゆ』
 だれにもいわずにおきましょう。

 朝のお庭のすみっこで、
 花がほろりと泣いたこと。

 もしもうわさ噂がひろまって
 はちのお耳にはいったら、

 わるいことでもしたように、
 みつをかえしに行くでしょう。


テルは義父の書店の番頭と結婚、
1年後には娘・ふさえが誕生。テルが23歳の時でした。
この夫は素行不良で、義父の書店も追い出され、
酒に溺れて放蕩三昧の日々、
そんな彼女の心の拠り所となったのも詩でした。
その創作を夫に禁じられ、
また、文学仲間とのやりとりも出来なくなりました。
実母の元へ身を寄せるテルとふさえ。
そこへ夫から娘を取り戻すという手紙が。
この時代、女性に親権はありません。
父親が親権を求めれば、母親はそれに抗う手段はなかったのです。

私はふうちゃんを
心の豊かな子に育てたいのです。
だから母ミチに
預けてほしいのです。


夫に向けての遺書です。
享年26、服毒自殺でした。
命を以て、彼女は夫に訴えたのでしょう。
そして、遺書とともに、夫には手帳が遺されていました。
そこには娘に向けたと思われる詩が多数書かれています。
その中にその詩はありました。

  『こだまでしょうか』
 「遊ぼう」っていうと
 「遊ぼう」っていう。
 
 「馬鹿」っていうと
 「馬鹿」っていう。
 
 「もう遊ばない」っていうと
 「遊ばない」っていう。
 
 そうして、あとで
 さみしくなって、
 
 「ごめんね」っていうと
 「ごめんね」っていう。
 
 こだまでしょうか、
 いいえ、誰でも。







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