軍師官兵衛第40話「小田原の落日」その背景～三成の忍城攻略戦「のぼうの城」～

この大河の初回のシーンが出てきましたね。
黒田官兵衛が単身小田原城へと乗り込むシーン。
あのシーンは最初に撮影していたのでしょうか？

豊臣秀吉による小田原征伐がありました。
これも九州征伐と同じく、
先年の惣無事令に反するとした名目がありました。
後北条は真田と領地問題を抱えており、
北条側が豊臣の仲裁に背いて城を奪い取ったことから、
惣無事令違反とされました。
加えて、その仲裁案では北条氏政、
あるいはその子・氏直の上洛を求めていましたが、
それも果たされませんでした。
九州征伐後、実質上、全国統一は後北条を残すのみとなっていて、
この小田原征伐で秀吉の天下統一は成ることとなりました。

小田原征伐で印象的なのは、石垣山一夜城ですね。
山中密かに築城し、完成したところで新城周囲の木々を伐採、
小田原城にそれを見せつけ、
小田原城内への心理的効果を狙ったものでした。
秀吉が歴史に初めて登場したとされる戦では、
墨俣一夜城を築いていますし、
こういった秀吉ならではの戦運びが相手の士気を削いできたんですね。

一方、石田三成は小田原城の支城・忍城を攻撃していました。
三成に預けられた将兵は2万。
これは当時の三成の地位から見れば破格の規模でした。
いっぽう、守る成田氏長、長親側は500だったとか。
忍城は湿地の平城。湿地にある島々に橋を渡して、
城への進入路としていて、攻めるに難く守るに易い城でした。
ここで攻城側は水攻めを選択。
三成は利根川からの水を引いて、築いた堤に水を溜めようとします。
その際の堤は総延長24kmにもなり、
この堤の一部は「石田堤」として現代に遺されています。

備中高松城の時に秀吉が築いた堤は3～5km程度だとされていて、
石田堤の規模の大きさはそれと比べものにならない訳ですが、
これは、そこまでしないと水没させることは出来ない、
忍城が水攻めには向いていないということを
表しているのかもしれません。
しかし、これを三成の判断ミスとするのは違うのかもしれません。
秀吉が水攻めにこだわったという説もあり、
それによれば、三成自身水攻めには疑問があったと。
水攻めは上からの既定の戦術だったのかもしれません。
結局、小田原城が開城した時点でも、
忍城は落ちておらず、総大将・石田三成は戦においての面目を
大いに潰すこととなります。
なお、余談ですが石田軍の主力の中には
真田昌幸、信繁(幸村)父子も加わっていたようです。

この忍城の戦いは娯楽歴史小説「のぼうの城」としても描かれ、
後に映画化もされています。
というか、映画化前提の小説だったんですね。

このあいだ地上波でも放送されていましたね。
たいへん面白い作品ですので、
小説、映画ともおすすめします。