今回の選挙でも判断の難しさを感じています。
ただ、現在の我が国の問題点と、
望むべき未来についての要点をそれぞれ考えていけば、
百点満点の政党や候補者はいなくても、
一番マシな投票先を見つけることが出来ると思います。
安倍自民党総裁は今回の解散を「アベノミクス解散」と題しました。
私にとっても、最も考えるべきは、
我が国の今と未来の経済であろうかと思います。
その点において、ここまでのいわゆるアベノミクスの評価を
下さなくてはならないでしょう。
ただ、ひと口にアベノミクスとはいうものの、
ひと言で断じきれるものではないでしょう。
不景気からの脱却のためには、各国民の収入を増やさなくてはなりません。
しかし、アベノミクスでは、そのために有効だと思われる政策もありながらも、
収入を増やすためと謳いながら、
実際には小泉政権時に見られた収入減の要因となる政策も多く見られます。
良い部分もあれば悪い部分もあるアベノミクスなので、
私が自民党に投票するためには、
安倍政権がそれら収入増にとって良くない政策を
考え直してくれるだろうという判断や期待が必要になります。
収入を増やす、実際に問題になるのは、物やサービスなどの物価上昇や
増税分を組み込んだ実質賃金の上昇が必要となる訳ですが、
今年4月では、それがまだ充分ではなく、
ようやくそれぞれの数値が上向き、
右肩上がりになってきた段階に過ぎないにもかかわらず、
安倍政権は消費税増税を断行し、
経済状況はリーマンショックよりも悪い状態に陥りました。
現在は既にデフレ状況でもないでしょう。
物価が上昇しながらも不景気、
スタグフレーションの状態にあるのかもしれません。
今後、今年のような間違った経済政策が行われた場合、
良くてデフレへと逆戻り、
悪ければスタグフレーションが進行するということになるように思います。
はたして、ここから安倍政権は考えを改めて、
良い方向へと日本経済を導くでしょうか?
期待薄だと思っています。
では、少しでも良い方向へと向かわせるためには
内需を高めるように方針変更させうるのは?
どこに投票すべきでしょうか?
ここが一番難しいところです。
安倍政権を考えるにおいて、
私が評価したのは外交の分野でした。
TPPのような国民の収入を減らす政策には反対ですが、
特に対中政策、その延長である中国周辺国との関係強化は重要でした。
経済政策でも何でも、政治家は現実的でなければなりません。
現政権の外交でそれは評価すべきもの考えます。
現実的といえば、先の総選挙では非現実的なマニフェストを掲げ、
ほとんど何も実現させることが出来ず、
悪かった経済状態をより悪化させたのが前政権でした。
今、円安の影響が心配されてますが、
あの頃は、円高を是としていたのか、
あるいはより円高へと誘導しているのではないかと思える程の政策、
または無策の政権でした。
政治家は現実を踏まえているべきなのが当然で、
実現可能か、そしてそのために必要な方策を示さねばなりません。
例えば、先の沖縄県知事選挙では、
普天間飛行場の辺野古移設反対派の翁長氏が当選しました。
彼はそれについて認めないとしていますが、
仮にそれが中止になった場合、
普天間飛行場はそこにあり続けることになります。
それが現実的なものの見方です。
おそらく、翁長新知事はそれを否定するでしょう。
普天間を取り戻す、と。
ならば、その方法を示さねばなりません。
言うだけなら、誰だって言えます。
鳩山由紀夫だって「最低でも県外」という言葉を言えました。
そんな言葉ぐらい、誰だって言えるのです。
彼と翁長新知事と何が違うのか、
それが示されない以上、
翁長新知事に投票されたそれぞれの1票の意味は
「普天間飛行場はそのままで良い」
そして「嘉手納以南の返還も要らない」という選択だったということになります。
翁長新知事に投票した人の意志がどうであれ、
彼が当選した場合、それぞれの票がそういう意味を持つことは、
選挙期間以前からわかっていたことです。
(ただし、いずれ翁長氏は辺野古移設を認めるはずという読みであれば違う話に)
話が逸れましたが、政治家の言葉には
現実が伴っていなくてはなりません。
今回の総選挙ではエネルギーについても考えなくてはならないでしょう。
ようやくどう計算しても国内の需要を満たせないことに気付いたのか、
「自然エネルギー」一辺倒だった政党の声は小さくなりましたが、
根の深いこの問題に対し、より現実的な政策が必要ではあります。
現実的でないマニフェスト、公約、方針などは、
それが裏切られるだけではなく、
他にも悪影響を与えるということを考えなくてはなりません。
前政権を生み出した1票、そして翁長氏に投票した1票、
どちらもその有権者の意図とは違う結果になった、
あるいはなるでしょう。
このように「○○を実施する」「××に反対する」としつつも、
その具体策を示さない政党や候補者に投票すると、
そこへ投票した有権者の意図とは違う意味を
その1票が持つことになってしまいます。
それぞれの政党や候補者の主張とともに、
その方策についての現実味と影響についても考える必要があります。
さて、先日、台湾の統一地方選で与党・国民党が大惨敗しました。
現在の馬政権が大陸との人、物などの障壁をなくそうとしていることへの
反発があったものと思われます。
その選択が正しかったかどうかはわかりませんが、
台湾の人たちが注視していたことがありました。
それが香港です。
中国返還後も50年間は一国二制度を継続するという約束を破り、
自由な選挙が行えなくする新制度に対する反発で、
デモや座り込みなどの抗議行動が起き、
それは現在まで続いています。
もしも、台湾が中国の一部となってしまった場合、
当然、北京は一国二制度を掲げて統治しようとするでしょう。
しかし、その約束が守られることはないだろう、
それを台湾の人たちは理解したと思います。
一方、香港で今も座り込みをしている人たちは、
香港の未来のために戦い続けています。
香港の住民の中にも彼らに同意しない人たちが増えていて、
もしかすると、既に北京の勝利は決まってしまっているのかもしれません。
それでも、彼らが戦い続けているのは、
誰もが立候補できる民主的な選挙のためです。
私たちにとっては当たり前のもの、
しかし、中国では未だかつて、
村の代表者を決めるようなものは数えられる程度にはありましたが、
我々が考えるような民主的な選挙は一度も行われたことがありません。
5000年の歴史を誇る彼の国なのに、
ただの一度も選挙が行われておらず、
香港の選挙制度もその一部となろうとしています。
民主的な選挙は当たり前のものではありません。
100%自分の意見と合致する政党や候補者はなかなかいないでしょう。
もしかすると、その全てに投票したくないかもしれません。
それでも、少しでもマシな候補者に投票するべきだと思います。
「どこに投票しても同じ」
それが間違いであることは、前政権時で思い知ったはずです。
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