医学は科学の一部ですから、
より真実に近い理論に出会えば
従来の考えを捨てなければなりません。
しかし、その新しい考え方とて、
より優れた考え方に出会えば捨てられるべきものです。
医学は私たちの生命に関わる知識と技術を扱う訳ですから、
医師は常に新しい知識に触れ続ける学者であって欲しいと願います。
それまで常識とされていたことが、
突然否定されることがあります。
私たちはそれを知らなかったり、
知らなかったために要らぬ苦労をする羽目になったり、
悪くすれば命にも関わるかもしれません。
ただ、多くの論文が未検証のままだったり、
検証困難なものだったりするのが悩ましいのですが。
嘘が広く信じられていたり、
意図的に自説を真実だと誘導しようとしている理論もあるでしょう。
医師が言っていることの全てが真実ではないことも、
認識しておかなくてはならないのかもしれませんね。
先週のカシコブレーンは医師の池谷敏郎先生。
テレビでよくお見かけする先生で、
この番組でも2回目のご出演。
調べてみますと、診療科は内科となっていて、
「世界一受けたい授業」のサイトによりますと、
循環器専門医ともありますね。
池谷敏郎のブログ
http://ameblo.jp/heanyheany/
抗生物質は風邪に効く
抗生物質は抗菌剤で、ウイルスには効きませんので、
風邪には無効です。
番組ではこれで終わっていましたが、
補足しておきますと、最近、私が思うのは、
中には「一部の風邪に効く」と話す医師も少数いて、
これはどういうことかと考えてみますと、
この「風邪」という言葉の定義に問題があるように思います。
たとえば、マイコプラズマ肺炎は
細菌であるマイコプラズマの感染により発症しますが、
これも広義の「風邪」に入れていることがあるようです。
狭義でいうウイルス性の上気道感染症には抗生物質は効かず、
そうと知りつつ、医師が狭義の風邪の患者にそれを処方するのは、
肺炎などの予防のためとされています。
ただ、これも金儲けのためという指摘もあり、
実際、無用な抗生剤の服用は体に害を及ぼす可能性もありますし、
さらに、その乱用は耐性菌を生み出す可能性を増やしていることにもなります。
なお、たまに「お腹の風邪」という表現も聞きますが、
この感染性胃腸炎のうち、細菌性のものには抗生剤が有効で、
ウイルス性のものには抗生物質は効きません。
プールのあとは水で目を洗う
水泳後に目を洗ってはいけない。
それが今の常識です。
…と思ったら、こんな動画があって、
目を洗っていますね。
昨年公開の動画ですが…
どうなんでしょう?
こちらも補足しておきますと、
眼球表面はムチンという粘液糖タンパクに保護されています。
ナメコなどの菌類も分泌します。
水道水の中の塩素、そして流水に眼球を晒しますと、
このムチンが流出して減少し、
角膜上皮に悪影響を与える可能性が指摘され、
ドライアイではない人が、
ドライアイの症状になることがあるようです。
プールの水にも塩素が含まれていることですし、
目の事を考えるなら、ゴーグルをしましょう、
そういうことのようですね。
ただ、目に異物が入ってしまった場合は、
まずは水道水で流してしまいましょう。
カロリーを制限すれば長生きできる
これも間違い。
世界各国の1人1日の数値を見てみますと、
トップのオーストリアが3,788kcalで、
日本は104位の2,695kcal。
その上下を見てみますと、上にナイジェリア、セルビア、
下にカボベルデ、ベトナムと続き、
食糧事情に問題を抱える国々ぐらい、
私たちはカロリーを摂っていないということがわかります。
近年のチンパンジーによるカロリー制限実験では、
それによる長生き効果は確認されませんでした。
では、どういう人が長生きしているのでしょうか?
40歳以上の人の平均余命を追跡した5万人調査では、
"痩せ気味の人"は男性で34.54年、
女性で41.79年の平均余命なのに対し、
"標準体重"の人は男性で39.94年、女性で47.97年、
"小太りの人"は男性で41.64年、女性で48.05年。
肥満は痩せ気味の人と標準の人の間のようですが、
やや太り気味の人のほうが長生きする傾向にあるようです。
小太りの人は免疫力が高く、
体を作るホルモンやビタミンDを多く作ることか出来るなど、
健康面で有利な一面が関係しているものと考えられます。
生活習慣病の原因となる肥満はともかく、
空腹を我慢して制限することが寿命にはあまり意味のないことがわかります。
ただし、平均寿命を考えるにおいて、
忘れてはならないのがWHOが提唱する「健康寿命」です。
健康で介護を必要としない年数のことをいいますが、
日本の場合、平均寿命は世界一ながら、
要介護の期間を十年以上含んでいることから、
この考え方も改めなくてはならないと言われています。
現代は医学や健康に関する情報が巷に出回っていますよね。
それらの情報に振り回されてしまったり、
誤った医学常識で健康を害してしまうケースが認められます。
今日は健康に長生きするための最新医学知識を身につけていただきたい
と池谷先生は仰いました。
引き続き質問を。
風邪を引いたら汗をかくほうがいい
これも間違いです。
昔、その時の私はもはや風邪ではなかったんですが、
解熱剤を服用した直後は布団に潜り込んでいたんですね。
そうするものだと思っていて、
入院してからもそうしていたら、
ベッドが汗で使えなくなりました。
夜勤の看護師さんにご迷惑をおかけしたわけですが、
後で担当医からそんなことはしなくていいと知らされました。
無理に汗をかく行為は体力を消耗させます。
たしかに発汗は体温を下げますが、
免疫力が低下しては意味がありません。
今でもそうされている方が多いと思いますが、
自然の発汗で充分ですので、ご注意ください。
「食後」と書いてある薬は食事の後すぐに飲む
食事の後すぐ飲む薬には「食直後」という表示があるようです。
ということで、「食後」とある薬は、
食後30分程度経過してから飲むのが良いようですね。
日本皮膚学会が認めた発毛剤は効く
ブラマヨ小杉さん狙い撃ちでしょうか。
彼は「効いて欲しい」とのご回答。
その効果がない人もいますが、
一般に薄毛治療に効果が期待できるとのことで、
池谷先生によりますと「薄毛のタイムリミット」というものがあり、
5年以上放置しておくと、毛根がなくなり、
効果が出にくくなる、ということでした。
以降、「炭水化物は太る?」「甘い物は太る?」などのお話はまた。
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