1日の番組から。
昨年のインド・ゴア。
彼の遺体が公開されました。
彼が亡くなったのは460年程前、
日本では戦国時代のこと。
キリスト教徒は彼を聖人として扱い、
遺体または、その一部は世界各地に運ばれています。
聖人になってしまうと
死んでからもたいへんです。
これはスペインバスク地方にあるザビエル城(ハビエル城)。
1506年(?)4月7日、フランシスコはこの城に生まれました。
当時のナバラ王国名門貴族の家柄です。
彼は裕福な名士の子として育ちますが、
彼が6歳の頃にナバラ王国はスペインの攻撃により、
ナバラは滅亡、フランシスコの父も病により命を落としています。
没落したザビエル一族再興は幼いフランシスコに托されました。
主がいない彼が目指したのは軍人としてではなく、
学問を修め、聖職者として身を立てることを目指します。
19歳の時にパリ大学に留学、
勉強に励んだ彼は5年間で学位を取得、
そんな時、彼と同室になった37歳の転校生に、
イグナチオ・デ・ロヨラがいました。
ロヨラもバスクの貴族で、戦争で足に後遺症があり、
そのために軍人としての将来を諦め、
宣教師になるためにパリ大学にやってきました。
このロヨラがザビエルを世界への布教活動へと誘いました。
バスクの片田舎にこだわることはない、
海を越え、まだ見ぬ東の国々へと行こうというのです。
ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を開拓して三十余年、
しかし、まだヨーロッパの人々には
東の地がどのような所なのはよくわかっていませんでした。
これは当時ドイツの地理学者、神学者セバスティアン・ミュンスターの
「世界誌(宇宙誌/地理誌)」。
とても人間には見えない人間が描かれています。
未知の世界にはこんな人間が住んでいると
考えるようなヨーロッパ人がいた
そんな時代にロヨラはそういった場所に行こうと
ザビエルを繰り返し説得しました。
教会で出世していずれは大司教になることが
本当に正しい選択なのかと迷います。
そして、彼はロヨラらとともに、
宣教師として旅立つことにしたのでした。
ロヨラやザビエルらはカトリック信仰を広めるためにイエズス会を設立、
イエズス会はポルトガル領ゴアにロヨラやザビエルを派遣することにしました。
彼の35歳の誕生日、ロヨラらとゴアを目的地にポルトガル・リスボンを出航、
赤道まで南下した時には風がなくなりひと月もの間立ち往生、
水不足と病で多くの乗組員を失いました。
風が吹き始めると今度は西に流されて、
南米大陸に着いてしまい、
また風待ちをして大西洋を再横断、
喜望峰を回り、モザンビークではザビエルが熱病にかかり、
ゴアに着いたのは出航から395日後のことでした。
ゴアには既に数千人のヨーロッパ人が住んでおり、
ザビエルはここを拠点に布教活動を進めることとしました。
その布教では、1万人以上も信徒を増やしたようで、
しかし後日、皆が信徒となったはずの村をザビエルが再訪問してみると、
彼らは神への祈りを行っておらず、
ザビエルは落胆します。
現地の人たちは、ザビエルが言う"神"などには興味がなかったようで、
とりあえず、「わかった」とか
ザビエルが言うことをオウム返しにしていただけだったようです。
ザビエルが布教に行き詰まりを感じていた頃、
彼がマレー半島マラッカの教会で神父として結婚式に立ち会っていると、
一人の見慣れぬ姿の東洋人が教会に現れ、
ザビエルに質問しました。
私は故郷で人を殺めここにいます。私の罪は赦されるでしょうか?
彼の名はヤジロウ(Angelo/アンジェロ/アンジロー/弥次郎)。
詳しいことはわかっていませんが、
薩摩出身の日本人です。
彼は若い頃、薩摩で些細なことで人を殺してしまい、
たまたま来ていたポルトガル船に匿ってもらい、
マラッカに逃れていた人物です。
良心の呵責に苦しむ彼に、
船内でポルトガル人船長はザビエルに会うことを勧め、
ここでヤジロウはその罪を告解して質問したのでした。
"神"はたとえ罪人であっても分け隔てなくお救いくださるだろう
ザビエルはそう答え、自分もそのために祈ろうと言います。
自身が今までの行いを悔い改めるならば、
それは赦されるべきだと。
ザビエルの言葉に感銘を受けたヤジロウは毎日教会へと通い、
"神"の教えをザビエルに求めました。
元々、薩摩で貿易の仕事をしていたヤジロウは
ポルトガル語が理解出来、
また、好奇心が強く聡明な人物であったようです。
何を話しても質問で返してくるヤジロウに、
ザビエルは、日本人は皆そうなのかと問い返しました。
ヤジロウは多くの日本人が簡単な読み書きが出来ること、
そして、皆が新しい知識には興味を示すと説明、
ザビエルは「最も好奇心あふれる民、日本人」が住むその場所で
布教活動を行うことを決意します。
天文18(1549)年8月15日、
フランシスコ・ザビエル、ヤジロウらは薩摩桜島近くに上陸しました。
…続きます。
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