私は集団的自衛権の行使が違憲かどうかとか、
本質的にはどうでもいいと考えています。
これが違憲なら、自衛隊も違憲、
日本は個別だろうが集団的だろうが自衛権を持たない国になります。
しかし、既に日本は集団的自衛権を行使してもいますけれど。
ここで問題なのは、この国をどう守るのか、
その一点であるはずです。
私が江川英龍や林子平らを傑物として評価するのは、
彼らが諸外国との交易が禁止されていた我が国においても、
国防の危機を憂い、
実行可能な方策を訴え続けて行動し、
現実にその危機が現実になろうとした時に、
彼らの努力が大きな意味を持ったからです。
何度も繰り返しますが、1853年浦賀沖に黒船が来航するまでに、
徳川幕府は米艦が日本に向かっていることを
複数のルートから知っていました。
それどころか、米露英など船が日本に上陸しようとしたりしていて、
当時以前の日本においても、
諸外国に対する備えは必要だったのです。
幕末への先送り ~欧米船舶との接触~
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-10545007539.html
阿片戦争では清国は英国に為す術もなく大敗、
幕府はそれをわかっていながら、
この問題を放置しました。
ペリー艦隊が来ることがわかっていながら、
江戸城では、まずは長崎へ行ってもらおうという悠長な考えだったようです。
なぜか?
それが幕府200年間のルールだったから。
しかし、それはペリーにとって守るべきルールだったのでしょうか?
もしも、ペリーや米にその気があれば、
江戸を火の海にすることだって出来ました。
日本が西洋ではオランダ以外とは交易していないこと、
外国船は全て長崎へというルールについては、
おそらくシーボルト経由などから認識してはいたでしょうが、
ペリーにとっては、そんな事は知った事ではなかったのです。
江戸に近い海域に向かった方が、
幕府に対して強い衝撃を与えられ、
交渉に有利な材料となるため、彼らは江戸湾を目指しました。
それで済んだのだから、幸運だったのかもしれませんが。
江戸城のほうでも、事前にそれが軍事的脅威となることを
気付いていた人物も多かったのかもしれません。
現実から目を背け、
それを気付いていないことにしてしまったのでしょう。
日本国憲法は日本独自のルールです。
戦争になれば相手国にとっては知った事ではありません。
逆に、それが自分たちへの反撃が送れる理由となってくれるので、
有り難がるかもしれません。
国破れて日本国憲法あり
となるでしょう。
理念は理念で結構、理念として維持するぶんにはいいでしょう。
「戦争反対」
同感です。では、どうすれば戦争を避けられるでしょうか?
それを叫び続けるだけでは、
戦争に対して無力です。
なぜかこの言葉を叫んでいる連中は、
どうすれば戦争を避けられるか、
どのようにしてこの国を守るのかについて話そうとはしません。
意味の分からない「徴兵制」とか、
今更、議論するのも馬鹿らしい低レベルの発言ばかり。
今の国会はあの時の江戸城内の態度に似ています。
現実から目を背け、
諸外国が日本独自のルールを守るものだと考え、
外の現実を見ずに内側の価値観だけで物事を考えています。
経済などの他の政策ならば、
それが通る部分もありますが、国防は違います。
だから、違憲だとしている政党から対案が全く出ません。
これも5年前からお書きしていることですが、
現在、南シナ海での懸念が現実になっています。
今は冷戦前夜、あるいは第一次世界大戦前夜に似ているでしょうか。
あの海域で戦争になれば、日本もただでは済まないでしょう。
また、朝鮮半島が今も休戦中であることを忘れてはいけません。
日本国政府にはどの時代においても、
自国民と領土と、国家そのものを守る義務があります。
そのためにはどうするべきか、
その議論が全くなされていないことに怒りをおぼえます。
ただ「集団的自衛権は違憲」だなんて、
そのへんの腐れ儒者でも言えることです。
議員に腐れ儒者は不要です。
国防においては、常に危機に対してどうすべきか、
実行可能な方策が議論されていなければなりません。
違憲なら違憲で、ならばどうするのか、
それが一切示されない議会は解散すべきですし、
示そうとしない政党、議員は即時歳費を返上していただきたいです。
現状、国防のために進むべき道はそんなに多くはありません。
一つは集団的自衛権行使を可能にすること。
この場合、このまま可決するか、
改憲した後、可決するかのどちらかになります。
安倍政権はホルムズ海峡での機雷掃海を
自衛隊海外派兵の例外中の例外として挙げていますが、
ここを日々日本のタンカーが通過しています。
今は中東に頼り切りではないとはいえ、
ここを制圧されれば、我が国は原油に困窮することになるでしょう。
そしてここに限らず、いわゆるシーレーン全体を守らねばなりませんが、
そのためにはどれほどの軍事費が必要でしょうか?
現在の国防費の数倍~十倍もの予算を捻出することに、
国民の理解は得られるでしょうか?
日本国国民にその覚悟があるでしょうか?
米は自国利益のために、
日本へのシーレーンを含む海域の秩序を求めています。
ならば、同じ利益を共有する日本が共同作戦に当たる、
それが国防費を削減できる方法となります。
このシーレーン以外の東アジア情勢、
緊張する東南アジア情勢についても、
自国のみの戦力で防衛力を確保しようとすると、
莫大な国防費が必要となる訳です。
それがもう一つの選択肢です。
集団的自衛権の行使が不可能だというのであれば、
こちらしか道は残っていません。
他に何か方法があるなら教えていただきたいものです。
ただし、我が国が滅びるという結末を除いて。
最後に「戦争に巻き込まれる」という意見について野口健さんのTweetを。
「アメリカの戦争に巻き込まれないのか!」との声をよく聞く。いつだったかヒラリー氏が中国との関係で緊張が続く尖閣について「日米安保に含まれる」と発言。日本サイドはこの発言を歓迎。「日本と中国」の紛争にアメリカを巻き込む事を意味している。巻き込まれたくなければ巻き込んでもいけない。
https://twitter.com/kennoguchi0821/status/610000002480533504
巻き込まれたくなければ巻き込んでもいけない。
巻き込まれたくなければ、
巻き込みたくなければ、
米軍に日本から出て行ってもらって、
自国のみで守り切れるだけの戦力を持たなくてはならないこということです。
集団的自衛権が行使できず、
世界各国、テロリストから戦力が"同時"に喪失してなくならないのであれば、
それが戦争を避ける唯一の実現可能な方法です。
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集団的自衛権が違憲で行使できないとすれば…、ではどうするのか? それを今示せ
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