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言葉として残る歌詞を書ける作詞家の出現を希望します

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CDが売れない時代、
ダウンロード販売を含めても売れないこの時代、
様々な要因が言われていますが、
あまり言われないのが「歌詞」の問題です。
あくまでも、私個人の評価ですが、
奥行きがないものが多すぎます。
そういうものも必要ですが、
そればかりでは、
同じような歌詞が並んでしまうことになってしまいます。

私は時代の制限をせずに音楽を聞きますが、
昔の曲には、ただの流行歌にも印象に残る、
その曲の歌詞ならではのフレーズがあります。
今は、そういうフレーズが少ないです。

作曲家、作詞家、歌手と
それぞれがそれぞれの役割を果たしてた音楽業界に
フォークソングブームが起きます。
日本のフォーク歌手は自ら作詞作曲をしていることが多く、
それは次いで起きるニューミュージックブームでも同様です。
専業作曲家と専業作詞家は音楽市場でのパイを奪われたことになります。
当然、その数を減らしたことでしょう。

歌手が歌う歌詞は歌手自身の言葉であるべきだ、
この時代に、そんな流れがこの時代から始まっていて、
歌詞はその歌手自身が発するメッセージとなりました。
後の90年代、ガールズポップ、ガールポップと言われるブームでは、
作曲はしなくても、作詞のみを行う歌手が多くなっています。
この時代になると、さらに相当数の作詞家が収入を減らしているか、
廃業しているかのどちらかではないでしょうか。

何度もお書きしているように、
作詞は誰でも出来るもので、
だからこそ、ガールズポップでは、
各事務所はお決まりのように、作詞をさせたのでしょう。
やらせれば出来るから。
ただ、その作品の質などでは、
必ずしも良質なものが出来てくるとは限りません。

現在、作詞家で生計を立てている人、
どれぐらいいるのでしょうか。
専業だとかなり少ないと思います。
今、作詞家専業だと、
食べていける人はほとんどいないのではないでしょうか。


今、耳に入ってくる曲の歌詞では、
直截的な物言いのものが増えています。
「頑張れ」と言いたい時には「頑張れ」と歌い、
「ありがとう」と言いたい時には「ありがとう」と歌います。
このこと自体が悪い訳ではありません。
ただ、皆がこのような書き方をしてきますと、
どうしても、どの曲も歌詞は似てきます。
自然、同じような歌詞が並ぶことになり、
何一つ、耳に残る歌詞の曲はなくなってきます。
同じような歌詞の曲は、何曲も何曲も要らないのです。

「ありがとう」と歌ったとしても、
映像を伴うような歌詞だと、
その曲ならではの個性が生まれてきますが、
今は映像が全くないものが多いです。
「ありがとう」にバリエーションがありません。
「ありがとう」は「ありがとう」と、
感謝している人の心情を歌って、
それで完結してしまっています。

今、作詞家にまわってくる仕事は、
コンペが多いと聞きます。
そして、曲先がほとんどです。
曲先だと、さらに歌詞を形にする作業が楽になります。
直截的な歌詞ばかりになった理由は、
作詞家の仕事が少ないことに加えて、
発注者側のニーズにも原因があるようにも思います。
どの業界でもそうですが、不景気になると
「~でなくては売れない」という思い込みに支配され、
冒険をしなくなります。
なぜかはわかりませんが、
回りくどい物言いの歌詞の曲は売れないと決め込んでいるのではないでしょうか。
コンペにはそういった歌詞のものも寄せられていたとしても、
それが採用されることは少ないのかもしれません。

なんだか、今の日本人を馬鹿にしているように思うんです。
わかりやすいものばかりを並べて、
そして自滅していっているように見えます。
昨年、DREAMS COME TRUEの中村正人さんが
これらの刊行時に



吉田美和さんの歌詞について

メロディが消えても言葉として残る歌詞

と、仰ったことがあります。
メロディが忘れられて、
書き手の名前さえも忘れ去られて、
古い和歌のように、詠人知らずとなったとしても、
彼女が書いた歌詞は言葉として残るはずだと。
今、作詞家の手になる作品を含めて、
日々発売されている楽曲の中で、
仲間からとはいえ、そう言い切ってもらえる歌詞は
どれほどあるでしょうか。

自らの歌詞を歌う歌い手も、
数少ない現代の作詞家も、
「ありがとう」を「ありがとう」とだけしか書けないような
そんな作品ばかり書きたくはないでしょう。
歌詞はビジネス文書ではありません。
それを聞いた人全てが、
同じ解釈をしなくてもいいはずです。
想像力をかき立てられるような歌詞が世の中に出て来るように、
音楽業界の方々は考えていただきたいと思います。
今、売れていないのです。
今のままでは売れないのですから。










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