Quantcast
Channel: テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

再婚禁止期間の300日規定は違憲 ~無戸籍児を生み出す環境の改善を~

$
0
0

http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12107317368.html

上の前の記事では夫婦同姓規定、夫婦別姓についてお書きしましたが、
今回は再婚禁止期間の300日規定について。
この問題はこれまでも報道で気になっていて、
そして、書き物の仕事で「無戸籍児」について取り上げたため、
この最高裁判決には注目していました。

再婚禁止期間の300日のうち、
100日を超える部分は憲法違反だというのが今回の最高裁の判断です。
この問題を理解するために、
根本的な説明から始めることとします。

まず民法第733条1項には、

女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

と規定されています。
この規定は、生まれてくる子供の親、
母親はともかく、父親が誰なのか
それがわからなくなるという事態を避けるために設けられています。
次に民法第772条2項には

婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

先日の大沢樹生さんが原告となった
18歳男性についての親子関係不存在確認の裁判では、
DNA鑑定とともに、この条項が基準となりました。
彼のこの最初の結婚からちょうど200日目に18歳男性が生まれ、
201日目以降の場合、大沢さんの子だという推定になりますが、
その前日であったため、その推定にはなりません。
この推定はDNA鑑定があっても覆らないこともあります。
そして、前の記事で爆笑問題の田中裕二さんのお話をお書きしましたが、
田中裕二さんの場合、離婚時に奧さんが妊娠中で、
しかし、彼女が妊娠したであろう時期以前には既に婚姻関係は破綻しており、
その子とは親子関係不存在としてDNA鑑定を裁判所に提出しています。

はっきりとした規定を設けていないと、
あるいは設けていても、
このようなトラブルが起きるのが父と子の法律上の関係で、
いずれにせよ、何よりも守られるべきは
子供の権利なんです。
子供には養育される権利があります。
ここが曖昧ではいけません。
第733条1項の6ヵ月の規定は、第772条2項で
前夫の子とも、現在の夫の子とも推定できる期間があるために、
それを避ける意味で再婚禁止としています。
今回の最高裁では、この重複を避けるために必要な期間を
100日で充分、それを超える部分については違憲だとしました。
いっぽう、逆にいずれが父親とも推定されない
空白の80日間の間に生まれた「推定されない嫡出子」の問題があります。


夫婦別姓についての議論についてもそうですが、
最も重要視しなければならないのは、
子供についてだと思います。
現行法の規定では、無戸籍の子供が生まれてしまう可能性が多分にあるのです。
今後の民法改正で、再婚禁止の区切りが変わることになるでしょうが、
それはこの問題の根本的解決になるでしょうか?

離婚後、または婚姻関係が事実上破綻していて、別居状態にある妻が、
他の男性との間に子供を儲けた場合、それが

婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子

であるなら、法律では別れた前夫、または戸籍上の夫が父親だと推定されます。
出生届を提出する場合、
別れた彼が父親ではないことが間違いなくても、
別れた彼が父親になります。血縁上の父親ではありません。
実際の父親を戸籍上の父親とするには、
まず推定上の父親の戸籍に載せて、
その上で、家庭裁判所による
嫡出否認や親子関係不存在確認の手続きが必要になります。
原則としては、推定上のこれに父親が関わることになり、
もしも、離婚や別居の原因が夫による暴力だったとすれば、
さらにこの手続きは困難になります。それが離婚できていないなら尚更です。
だから、出生届を出せない無戸籍児になってしまいます。

子供が出来る出来ないの話は、
何もこれらの規定の中でだけでのものではないでしょう。
それ自体、悪いことでもなければやましい行為でありません。
それなのに、その結果、生まれた子供が社会生活で不利益を被るようでは、
大人たちが使用している規定の方がおかしいということになります。

この無戸籍児の問題は、国や自治体も認識しており、
今は様々な救済措置、相談制度などを設けていて、
改善される方向にありますが、
そもそも、無戸籍児になってしまわないような法制度が必要です。
無戸籍児になってしまう原因は
733条や772条の他にもありますが、
これを機会に父親推定の問題についての議論があればと思います。
今回の報道でも、女性の権利については多くのメディアが語っていたものの、
子供が受けられべき権利については、
あまり触れられていませんでしたので、
その点が残念でした。
子供たちは今回のような訴えを起こすことが出来ません。
だから、大人が子供たちのための法整備を行わなければならないのです。






Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

Trending Articles