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英国 EU離脱 ~自国のことを自国民が決められないEU加盟国~

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ついにこの日が来てしまいました。
事前の世論調査では残留がやや優勢、
ブックメーカーでも残留に賭けていた人がかなり多かったようですから、
予想外の結果です。
ただ、この投票で残留が決まったとしても、
他の国でも同様の議論が行われており、
いずれ、離脱する国が出てくるのは間違いありません。

何度もお書きしているように、
私はEU発足の時にこれを「素晴らしいこと」だと考えていました。
しかし、その後、EU圏内で起きていることを見るに、
自分の考えが誤りであることを知りました。

EUの最大の問題は自国のことを自国で決められないという点です。
今回の離脱論の主な理由は経済面での問題からでしたが、
たしかに、特に経済面においては深刻でした。

人は稼がねば生きていけません。
しかし、稼ぐにも充分な仕事がありません。
EU残留を支持する人は、
寛容の精神を説きますが、
貧困は人間を殺すことがあります。
イギリスは国境を審査なしで通過できるシェンゲン協定には消極的でしたが、
移民を受け入れ、安い労働力に仕事を奪われています。

関税によって、国内への影響を緩和することができない経済圏では、
国土も環境も国民性も、何もかもが違っていても、
域内の他国と同じ土俵の上で戦わなくてはなりません。
だから、安い労働力が必要なのです。

まだシリアからの難民が深刻化していない頃、
地中海を渡ってくる難民の多くは北アフリカからでした。
その頃、ドイツの経済界は
彼らを無制限で受け入れるべきだというメッセージを出しています。
もちろん、ドイツの各企業は難民の自立のために、
仕事を用意することでしょう。
それが人道的措置というものですが、
そんな安い労働力が得られれば、
国内の労働者は仕事を失うでしょう。
その後、シリア難民が激増したことで、
労働力とかいう次元の話ではなくなったためか、
この問題についての話は聞かなくなりました。

ギリシャにしても、
EUに加盟してさえいなければ、
勝手にデフォルトして、
勝手にドラクマが暴落、
超ドラクマ安に観光客が増加、
ギリシャ経済が再び右肩上がりになっていたはずなんです。
それが、プライマリーバランスが黒字になっていようがいまいが、
自国のための経済政策を行えず、
ただの八方ふさがりの予算が使えない国になってしまいました。

私はいわゆるアベノミクスを評価していません。
増加させるべき内需を減少させる政策を実行しているからです。
ただ、唯一評価されるべきは
日本国の中央銀行である日本銀行により行われた量的金融緩和政策です。
おそらく、ほかの政党の支持者でも、
この点は認めていることでしょう。
もしも、前政権の時のままの為替だったとすれば、
日本の不景気は今とは比較にならない状態だったのではないでしょうか。

仮に日本がEU加盟国で、
ユーロを導入してしまっていたなら、
この量的緩和さえ行うことはできないのです。
独立国でありながら、自国のことを自分たちで決められない、
実行することができないのがEU加盟国なのでした。


EUのような広域経済共同体の厄介な点は、
その共同体に近い非加盟の国は不利益を被る点です。
たとえば、日本の企業は
英語が使用できるということで、
EU市場の拠点として、多くの企業が工場を持っています。
これはEU圏内への輸出が非課税であるためですが、
離脱により、それがなくなる公算ですので、
脱出する企業が増えるでしょう。
国外からの新たな投資も減るでしょう。
国内の仕事が減ることになります。
かといって、ただ残留していては、
他国で生産され、
関税がかからないままの安い品物が市場を占めるようになり、
国内の事業者などは苦しいままとなってしまい、
国外からは人がやって来ます。
その中には安い労働力を提供する移民などが含まれます。
圏内での競争に勝つためには、
コストを下げなければならず、
安い労働力が求められます。
賃金は上がりません。
内需が増加したとしても、
国内の経済が上手く回らないということになってしまいます。

そして、それ以上に厄介なのは、
その共同体からの離脱はが世界に多大なる悪影響を与えることです。
結局、残留しても離脱したとしても、
大問題を抱えてしまいます。
自由経済の共同体というアイディアが生まれ、
それが実現し、そこに加盟した時点で、
いずれその国は「どちらの不幸がましか」という選択を迫られることになります。
イギリスは残留したままの不幸よりも、
離脱した後に起きる不幸を選びました。
こちらの不幸の中に、唯一期待できるとすれば、
内需でしょうか。
彼の国はどれだけ効果的な内需拡大政策が採れるかでしょうか。
ただ、輸出依存度が高い国であるのが問題です。

どちらの不幸がましなのかはわかりません。
どちらを選んでも、この後噴出する諸問題に後悔することでしょう。
ただ、現時点では、
世界経済に与える影響が少ないぶんだけ、
残留のほうが、英国民にとってもましだったのかもしれません。
しかし、彼らは国家としての主権を取り戻すほうを選びました。
これから何が起きるのか、
離脱するにしても、数年の期間は必要なはず。
イギリスは各国と様々な条約と協定を締結しなければならないでしょう。
彼の国は貿易依存度が日本よりもはるかに高い国です。
その点も独立独歩を難しくするでしょう。
無数の条約と協定が滞りなく締結できるとも考えにくく、
未来には不透明な部分が大きいと思います。
キャメロンは辞意を表明しました。
この問題が世界経済に与える影響は大きく、
さらにほかの国の離脱論がどうなのかも重要です。
日本はこのEUの問題にどう対処すべきか、
そして、日本も経済の自由化という美辞に騙されないようにしなければなりません。
彼の国は自国通貨のポンドを使用しています。
日本と同じく、通貨発行権を持ちながらも、
EUのシステムに苦しむこととなりました。
日本はEUの轍を踏むべきではありません。








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