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トランプ次期大統領と博多駅前陥没事故と国の借金

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アメリカ大統領選挙を
これほどしっかりと、
リアルタイムで票の動きに注目し、見たのは初めてでした。
当日にはカナダ入国管理局のサイトがダウン、
米国民による移住情報閲覧で、
大量のアクセスがあったと考えられ、
トランプが
「メキシコからの違法移民対策として国境に巨大な壁を」
と、公言しているのに引っ掛けて、
カナダからは
「アメリカからの違法移民対策として国境に巨大な壁を」
というジョークが聞こえてきました。

株価も大きく値下がり。
日本でも一時千円以上、値を下げました。
そして、彼の勝利宣言があまりもまともだったからか、
株価は大きく反発、日本でも同様の値動きとなっていました。

メディアでは様々な解説が行われたものの、
米国民の投票行動についての分析は可能でも、
彼がどのような政治を行うかは全くわかりません。
勝利宣言の文言はスピーチライターが用意したものとはいえ
仮にムスリムの入国拒否を撤回するなど、
「まともな」政治を行うとすれば、
彼に投票した有権者のうち、
信者レベルにまで彼を信奉している人は納得いかないでしょう。
SPは反トランプから彼の命を守ることになっていますが、
今後はトランプに投票した人も彼の命を狙い始める可能性があります。

当初、泡沫候補と見られていた彼が最終的に大統領になるということは、
それだけ、現状に対する不満、
それも、経済面で募っていたものがあったのでしょう。
仕事がないこと、あっても満足な収入が得られないという不満、
それもそのはず、
アメリカで発生した全所得のうち1/4を1%が握っているのですから。
富む者は富み、中産階級を含めた富裕層以外の人は貧しくなっています。
富の再分配が行われていないのです。
トランプは勝利宣言の中で、
最重要課題の1つとしてインフラ整備を挙げていました。
これは世界の多くの政治家が口にしなかったものです。
その点においては、
彼は世界一「まともな」政治家だいえるでしょう。

税金の役割には所得の再配分というものがあります。
富める者により多くの税を課し、
その税金により、公共事業を行い、
そのための仕事が労働者の賃金となります。
ところが、現在では行き過ぎた公共事業批判の中、
老朽化したインフラは放置、
災害対策も満足に行われず、
地域間の経済格差を縮めるための整備も行われません。
トランプは高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院などを整備、
そのために必要な数百万人規模を投入すると言っており、
それが実行されれば、新しい雇用を生み出すことになり、
庶民がその恩恵を受けることになるでしょう。

都市化が早かった地域では、
この日本でもインフラの老朽化対策は待ったなしです。
先日の博多駅前での大陥没事故は、
当初、老朽化した下水管の破裂という可能性も指摘されていました。
実際、日本中で古い下水管の破裂、漏水は後を絶ちません。
古いタイプの下水管の耐用年数は50年程度とされていますが、
大阪市だと、19世紀のものものあります。
検査などは行っているでしょうが、
いつ、破裂してもおかしくはないでしょう。
さらに橋梁も、高速道路も、
何もかもが老朽化しているのです。

博多の事故では過去の事故の検証が不充分であったことのほかに、
公共事業費が満足に充てられなかった可能性もあります。
あの水を多く含んだ砂が多い地盤では、
シールド工法が適しているとされているものの、
実際にはより安上がりなNATM工法が採用されています。
NATMは固い岩盤に対して使用されるもので、
なぜ、シールド工法が採用されなかったのか、
事故原因は地方都市の財政難も含めて考えるべきでしょう。

国や地方自治体が満足にインフラの更新を行えないのは、
「国の借金」が原因です。
何度も繰り返しお書きしていますが、
何がどうなったら、どのようにして日本が財政破綻するのか、
論理立てて説明してもらいたいものです。
それができないから、
国際的には「government debt」と呼ばれている言葉を
わざわざ「国の借金」と翻訳、
日本銀行が正しい翻訳の「政府の負債」という言葉を使用しているのに、
昨日も財務省は
「9月末での国の借金は1062兆円 国民1人当たり837万円」だと発表しました。
どこの世界に貸している側が債務を負う国があるのか、
こんな嘘のおかげで、守れる命も守れなくなっているのです。
あの博多の事故でも、もしも、現場の作業員が緊急通報、
独自にあの交差点を封鎖していなければ、
少なくとも十数人は死人が出ていたことでしょう。
あの地下鉄が本当に必要なら、
国がしっかりとバックアップすればいいのです。

政府も国民もインフラ整備を軽く見ています。
なぜか公共事業といえば悪者扱い。
インフラなしには生活できないにもかかわらず。
ここ20年で、どれだけ建築土木の事業者が廃業したことでしょう
そのうち、大災害の復旧を自力で行えなくなる日が来てしまいます。
今回の人災である博多の事故の驚異的な復旧も、
日本に技術力があり、それが行える企業、人材があるからなのです。
日本の政治家にはそのような議論を行って欲しいものですが、
TPPの発効があり得なくなっているのに、
現政権は承認案と関連法案が衆議院を通過させました。
この醜悪な執着心はどこから来るのでしょうか。
先週にはオバマが在職時にはTPPの議論を行わないと述べており、
TPP発効の唯一の可能性が断たれていたというのに。

もしも、対米貿易のことを考えるなら、
今後の正体不明のトランプの出方について、
様々なシミュレーションを行うべきでしょう。
ビジネスの頂点にいたトランプが貿易を否定するはずはなく、
TPPが消えてなくなれば、
代わりにFTAやEPAの話が出てくるはずです。
トランプ政権下でのこの交渉は、
TPPの時よりも厳しいものになるはずで、
日本はそれに備えなければなりません。
私はそれを望みませんが、
既に過去のものとなっているTPPなどに
拘っている時間はないのです。





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