年末の「サイエンスZERO」は公開収録で、
カッコウの托卵は
チャールズ・ダーウィンの進化論に矛盾しているのではないか、
という疑問が客席に投げかけられました。
客席の反応は進化論に矛盾すると考えた人も、
そうではないと考えた人もほぼ半分半分となりました。
カッコウは自ら抱卵や育児をせず、
オオヨシキリなどの宿主の巣に卵を産み付けて
飛び去っていきます。
巣の主の留守中に行われるのですが、
その際、1つ、元からあった宿主の卵を持ち去ります。
数の勘定合わせのためです。
多くは宿主よりも先にカッコウの卵が孵化します。
孵化した雛がすぐに大きな仕事をする必要があるためです。
雛は宿主の卵を背中に乗せて、
巣から落としてしまいます。
これを巣の中に自分だけが残るようになるまで続け、
そうすることで、宿主が運んでくる餌を独占することができます。
カッコウの雛の背中にはそのためのくぼみがあります。
この卵を捨てるという行動は、
宿主が巣にいても行われ、
時にカッコウの孵化が宿主の卵と同時か遅かった場合は、
宿主の雛が巣から落とされます。
落とされたものが卵なら、
地面で割れてしまいますし、
雛の場合は干からびるか、
捕食者の餌食となってしまいます。
この托卵については以前にもお書きしたことがありますが、
この時の番組では、
自分で子育てをしたほうが
高確率で雛を育てられるはずだというのが、
この時の問題提起でした。
また、宿主も自分の子ではないことを見破るように進化しなかったのか、
という問題も。
この時の番組では触れられませんでしたが、
托卵をする鳥の多くは、
恒温動物の鳥類のわりには体温の変動が大きく、
抱卵に不向きだということもあります。
托卵を行う種は、宿主の卵の外見に似せた卵を産みますが、
宿主は宿主で卵のガラを変えることもあり、
実際にはこのような双方、
騙すため、騙されないための進化が起きているわけです。
もちろん、宿主が見破った時には、
カッコウの卵は巣の外に捨てられます。
逆に宿主は巣の中で黄色(あるいは赤)く、
大きく開けられた口を見ると、
餌をあげずにはいられなくなるという進化が起きているために、
カッコウの雛が自分よりも大きな体でも、
餌を与えてしまうことになってしまいます。
こういった進化のしかたを進化生物学では
「進化の軍拡競争」と呼んでいます。
オオヨシキリが卵の違いに気づくようになると、
カッコウはより気づかれにくいガラの卵を産むようになります。
オオヨシキリも卵のガラを変えることがあります。
これが繰り返され、托卵における見破る見破られるの確率は
だいたい5割に落ち着き、
どちらかだけが勝者にならないという永続性が存在するのではないか、
永続性があるからこそ、
今までこれらの種と習性は進化してきたのではないか、
というのがこの時の番組の主旨でした。
永続性という概念は、研究段階の仮称に過ぎませんが、
進化論の法則よりも、
より上位にこの永続性があるのかもしれません。
こういった寄生と宿主の関係における永続性では、
細菌やウイルスによる感染症でもあるはずで、
病原体の伝播力がいくら強くても、
必ず宿主を殺してしまうようでは、
次なる宿主にコピーを作れません。
理想はHIVのように、
宿主が感染したことに気づかないことでしょう。
環境にいくら適応しても、
永続性に問題があるようであれば、
その個体は子孫を残せません。
地球には無数の生物種がいて、
その多様性には一見無意味に見えるものもありますが、
その多様性が永続性に繋がっているのではないか、
というお話でした。
次は「ダーウィンが来た!」の特番で紹介された
セキショクヤケイなどについてお書きします。
カッコウの托卵は
チャールズ・ダーウィンの進化論に矛盾しているのではないか、
という疑問が客席に投げかけられました。
客席の反応は進化論に矛盾すると考えた人も、
そうではないと考えた人もほぼ半分半分となりました。
カッコウは自ら抱卵や育児をせず、
オオヨシキリなどの宿主の巣に卵を産み付けて
飛び去っていきます。
巣の主の留守中に行われるのですが、
その際、1つ、元からあった宿主の卵を持ち去ります。
数の勘定合わせのためです。
多くは宿主よりも先にカッコウの卵が孵化します。
孵化した雛がすぐに大きな仕事をする必要があるためです。
雛は宿主の卵を背中に乗せて、
巣から落としてしまいます。
これを巣の中に自分だけが残るようになるまで続け、
そうすることで、宿主が運んでくる餌を独占することができます。
カッコウの雛の背中にはそのためのくぼみがあります。
この卵を捨てるという行動は、
宿主が巣にいても行われ、
時にカッコウの孵化が宿主の卵と同時か遅かった場合は、
宿主の雛が巣から落とされます。
落とされたものが卵なら、
地面で割れてしまいますし、
雛の場合は干からびるか、
捕食者の餌食となってしまいます。
この托卵については以前にもお書きしたことがありますが、
この時の番組では、
自分で子育てをしたほうが
高確率で雛を育てられるはずだというのが、
この時の問題提起でした。
また、宿主も自分の子ではないことを見破るように進化しなかったのか、
という問題も。
この時の番組では触れられませんでしたが、
托卵をする鳥の多くは、
恒温動物の鳥類のわりには体温の変動が大きく、
抱卵に不向きだということもあります。
托卵を行う種は、宿主の卵の外見に似せた卵を産みますが、
宿主は宿主で卵のガラを変えることもあり、
実際にはこのような双方、
騙すため、騙されないための進化が起きているわけです。
もちろん、宿主が見破った時には、
カッコウの卵は巣の外に捨てられます。
逆に宿主は巣の中で黄色(あるいは赤)く、
大きく開けられた口を見ると、
餌をあげずにはいられなくなるという進化が起きているために、
カッコウの雛が自分よりも大きな体でも、
餌を与えてしまうことになってしまいます。
こういった進化のしかたを進化生物学では
「進化の軍拡競争」と呼んでいます。
オオヨシキリが卵の違いに気づくようになると、
カッコウはより気づかれにくいガラの卵を産むようになります。
オオヨシキリも卵のガラを変えることがあります。
これが繰り返され、托卵における見破る見破られるの確率は
だいたい5割に落ち着き、
どちらかだけが勝者にならないという永続性が存在するのではないか、
永続性があるからこそ、
今までこれらの種と習性は進化してきたのではないか、
というのがこの時の番組の主旨でした。
永続性という概念は、研究段階の仮称に過ぎませんが、
進化論の法則よりも、
より上位にこの永続性があるのかもしれません。
こういった寄生と宿主の関係における永続性では、
細菌やウイルスによる感染症でもあるはずで、
病原体の伝播力がいくら強くても、
必ず宿主を殺してしまうようでは、
次なる宿主にコピーを作れません。
理想はHIVのように、
宿主が感染したことに気づかないことでしょう。
環境にいくら適応しても、
永続性に問題があるようであれば、
その個体は子孫を残せません。
地球には無数の生物種がいて、
その多様性には一見無意味に見えるものもありますが、
その多様性が永続性に繋がっているのではないか、
というお話でした。
次は「ダーウィンが来た!」の特番で紹介された
セキショクヤケイなどについてお書きします。