http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12234936304.html
続いております。
新年の「ダーウィンが来た!」の特番では、
酉年ということで、
ニワトリの原種とされるセキショクヤケイが紹介されました。
飛ぶ能力をほぼ失っているニワトリに対し、
セキショクヤケイは空を飛べます。
タイなどの熱帯地域に暮らすセキショクヤケイ。
漢字では赤色野鶏となります。
野生種の野鶏が家禽化されたものが
ニワトリであるということはわかっていて、
その起源はセキショクヤケイのほかに、ハイイロヤケイ、
セイロンヤケイ、アオエリヤケイが
交雑したのではないかとも言われていました。
この議論に一定の結論を得るに至ったのが、
秋篠宮文仁殿下を含む研究グループの論文、
「ニワトリの起源の分子系統学的解析」でした。
ミトコンドリアDNAに着目した分子系統学的解析により、
セキショクヤケイがニワトリの祖先と考えられるようになり、
殿下は総合研究大学院大学から博士の学位を授与されています。
セキショクヤケイがニワトリの起源ではないかと考えた人は昔からいたようで、
その一人がエラズマス・ダーウィンです。
エラズマスはチャールズ・ダーウィンの祖父に当たり、
医師で詩人、自然哲学者です(チャールズの兄もエラズマスですが)。
彼は蒸気機関や飛行機のアイディアを持っていて
後に産業革命に貢献する知識人組織「ルナ・ソサエティ」を創設しています。
そのメンバーにはジェームス・ワットもいまたし、
エラズマスの友人でイギリス陶芸の父、
陶芸技術に科学の実験と検証を持ち込んだウェッジウッドの創設者、
ジョサイア・ウェッジウッドがチャールズの母方の祖父もいました。
チャールズは進化論という壮大な仮説の基礎となる著書「種の起源」の中で、
進化、「evolution」という言葉を使いませんでしたが、
エラズマスは「evolution」という言葉を既に使用していて、
「進化」という概念を生物学に持ち込んでいました。
チャールズがこの言葉を使用しなかったのは、
祖父との関係が不仲であったからだともいわれ、
「種の起源」が版を重ねるにつれ、
初版から9年後、チャールズも
「種の起源」の中でこの言葉を使用するようになります。
また、チャールズは自然淘汰を説明するときに、
植物の園芸種のような人為淘汰の例をよく持ち出しています。
エラズマスは生物進化についてこのように考えていました。
「最初期の生命体は顕微鏡でも見えないほどの小さなもので、
それが世代を重ねるごとに新たな能力を獲得し、
呼吸器官を変化させ、脚や羽を獲得したのだろう」
エラズマスが考えた「進化」は、
孫のそれよりもより哲学的で、観念的なものだったようで、
後にチャールズの「種の起源」を受け入れた学者たちも、
エラズマスの理論を批判しています。
セキショクヤケイがニワトリの原種だと考えたのも、
彼がセキショクヤケイの身体的形質を事細かに観察してはいるものの、
これがインドで家禽化されたとしているなど、
その理論には根拠が不明な点もありました。
それはエラズマス自身が認めるところでもあります。
この祖父と孫の関係がどうであれ、
チャールズの理論は祖父の発想抜きにはあり得なかったのは事実で、
そこを発展させ、論証したのがチャールズなんだと思います。
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