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震災・原発事故6年 「真実」を知る ~福島に生まれたことを後悔する必要はどこにもない~

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前回お書きした豊洲市場の問題では、マスコミが数々の地下水の「基準値超え」の数値を報じたものの、そのデータの意味が説明されませんでした。都知事も含めて、それを飲むわけではない、取り扱う食材にはほかと同じく水道水を使用することなどを伝えませんでした。

データそのものは公正であっても、その意味するところを理解しなければ価値がないだけでなく、誤った結論を招きます。これは福島県についても同じ。今でも福島県全域が人が住めない、住むべきではないと考えている人がいます。

しかし、実際は福島県内でもごく限られた地域のみが問題なのであり、放射線量も下がってきているため、福島第一原発敷地内でさえ、汚染水タンク周辺などは防護服ではなく、一般的な作業服で行われています。真実を認識するためには、正しく新しい情報を入手し、置き換えていくことが必要になります。そして、抱えている認識が誤りであるなら、それは捨て去らねばなりません。

私も原発事故以前はがんを早期発見するためには、積極的な検査が有効だと考えていましたが、どの地域でもスクリーニング検査を行えば、甲状腺癌だと診断される人は爆発的に増えると認識を改めました。

津田敏秀・朝日新聞・テレビ朝日に惑わされるな 報ステの「甲状腺癌」
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12139447972.html

ここにお書きした韓国の事例などから、甲状腺がんのスクリーニング(悉皆)検査は行うべきではないと考えを改めました。韓国ではスクリーニングに近い検査により、甲状腺がんと診断される人が15倍に急増。甲状腺がんのスクリーニング検査は、一生症状に表れない異変まで見つけてしまいます。もしも、関西や九州でも、スクリーニング検査が行われた場合、韓国と同じ結果が出るでしょう。当然、希望者の検査は続けるべきでしょうが、地域の全住民を対象にするようなスクリーニング検査は行うべきではありません。

そして、上記記事をお書きした時にはチェルノブイリの時の甲状腺がん患者の増加について、ソビエトの情報公開の遅れのみを原因としていましたが、その後、このスクリーニング検査により、見つけてしまったケースが含まれていることを書き加えています。福島などにおける甲状腺がんについては上記記事をご覧ください。


「福島の外部被曝線量は高くない」 高校生執筆の論文が世界で話題に
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/fukujima-no-gaibu-hibaku-senryou-ha-taka-ku-na-i-koukousei-s?utm_term=.ldBK3n2ge#.quv1PRrMm

これは昨年2月の記事で、当時福島高校3年の小野寺悠さんと、英訳で論文作成に協力した東京大大学院の早野龍五教授が日本外国特派員協会に招かれて会見した日の記事です。

この論文は2014年から個人線量計を使用したもので、県内各地の6つの高校と、国内6校、フランス、ポーランド、ベラルーシの高校の生徒や教師、216人が参加。参加者は2014年6月からの半年のうち、2週間の被曝線量を記録、それを年間被曝線量に換算することで、福島県の内外、世界各地の空間線量を比較しようというものです。

それらデータを統計的に処理すると、福島県内が0.63~0.97ミリシーベルト、県外では0.55~0.87ミリシーベルト、海外では海外0.51~1.1ミリシーベルトという値が得られました。福島県内の数値がほかと変わらないことがわかります。そして、海外には(おそらく国内にも)福島県内の値よりも、高い地域があることもわかります。一部の地域を除けば、福島県内でも放射線量は高くないのです。また、飛行機に乗ってしまえば、こんな数値よりも高い線量が計測されます。

世界の平均から見れば、日本の自然放射線量は少なく、海外は日本よりも高い地域のほうが多いです。つまり、海外のそういった地域で暮らしている人は、福島の人たちの線量を超えていることになります。

この論文が発表されたのは2015年11月ですが、こういうニュースが出ますと、いつも「内部被曝は~」とデマ屋とそれを真に受けている人たちの指摘がありますが、それについては内部被曝量測定が行われてきています。

内部被曝量測定はホールボディーカウンターによって行われ、早野教授らは幼児などには使用困難だったこの測定器を6歳以下でも使用できるようにしたベビースキャンを開発しました。一年前のデータでは4,000人以上が計測し、未検出となっています。さらに、福島の人たちに限らず、私たちは普段、常に食べ物から内部被曝しています。

福島のほとんどの地域で暮らすことは、ほかの地域同様問題ないという情報は常に流れています。しかし、デマ屋が根拠のない情報をばらまき、それが拡散され、さらには朝日新聞やテレビ朝日、NHK、毎日新聞、東京新聞などが大々的なデマを飛ばしますと、正しい情報が踏みつぶされ、正しい情報を知ってもらおうとしている人たちの努力が水の泡になってしまうということが繰り返されています。ここのところ、それらメディアは「原発いじめ」と呼ばれる多数の被害を報じていますが、メディアがその加害者であることの自覚がありません。

NHKはNHKスペシャル「被曝の森」で、動物に異常が見つかったと言い切りながら、「データがないのでわからない」「染色体を調べてもわからない」と「わからない」を悲痛なナレーションで連呼。データを見ると明らかに「ない」のに「わからない」。そうして、風評を拡散しました。

朝日新聞は連載とその書籍「プロメテウスの罠」で日本新聞協会賞などを受賞。子供の鼻血を採り上げて、原発事故と関連付けるような無知な記事を受賞させた日本新聞協会も同罪です。これは取材を受けた人の言葉をねじ曲げていたため、対象者から抗議も受けました。さらに事故時と事故後の東京電力の情報についても誤りがあります。後に「吉田調書」で嘘スクープを書き、謝罪した朝日新聞はその後も懲りていません。


デマ屋がこれまで何を言ってきたかを思い出してください。群馬大学教育教授の早川由紀夫は、福島県内で行われた田植えのニュースに「殺意がある。貧乏人は福島の米を食って死ね」と言い、東京大学東洋文化研究所教授の安富歩は「2.68人Svで一人死ぬ」という何を意味しているのかわからない見解を繰り返しました。

行政でも当時の泉田裕彦新潟県知事は福島以外の震災瓦礫処理について、新潟県がそれを行わないと主張。「亡くなる人が出れば傷害罪、殺人罪」だと言いました。何の問題もない瓦礫についての発言ですが、こういった発言がわずかな線量でも危険という意識につながった可能性があります。当初、「原発いじめ」の報道が続けて新潟から届いたことも、無関係ではなかったのではないかと考えてしまいます。

2012年4月、「ホンマでっか!?」などに恥も外聞もなく出演し続けている中部大学の武田邦彦教授は「あと3年・・・日本に住めなくなる日 2015年3月31日」と題した記事を投稿。その日はとっくに過ぎていますが、福島県下だけでなく、日本国中で何かの放射線障害が増えたような報告はありません。武田は「東北の農産物を食べてはいけない」とまで言っていました。

武田邦彦も原子力研究の専門家らしいですが、原子力安全、放射性物質の環境動態が専門だった小出裕章元京都大学原子炉実験所助教も「日本の政府の発表する放射線量よりも10倍内部被曝させられる」と発言、さらに先日、日本で聞いてくれる人がいなくなったからか、韓国のテレビ番組に出演「東北と関東は放射線管理区域に指定する必要がある」と福島を含む東北と関東、日本をデマで侮辱しました。さらに農産物についても危険だとしています。原発事故当時、最も多くメディアで発言していたのが彼だったでしょう。

9日、読売新聞特別版に「風評払拭へ 徹底調査」「福島産『安全』に万全」と、データを基にした大きな特集が掲載されました。調べようと思えば、出荷されている福島県産の農産物が全国で最も厳しい検査を受け、安全なものであることがわかるかと思います。

そして、2015年1月、福島県が新生児2万人を対象にした調査結果が発表され、先天性異常新生児の割合が全国と同等であることがわかっています。

科学者がいま、福島の若い世代に伝えたいこと「福島に生まれたことを後悔する必要はどこにもない」
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/hayano-san-01?utm_term=.rmYMQZbJm#.dczGbn2ZP

早野教授は福島高校で講演した時に、生徒たちに「子供を産めるか不安があるか?」と質問しました。すると、1割の生徒の手が上がったそうです。不安でも手を上げない生徒もいたことでしょう。教授によれば、福島高校は県内指折りの進学校で、理系の教育も充実しているとのこと。それなのに、これだけの生徒が未来に子供が産めるか、未来の自分の子供について不安を抱えているのです。

我が国には広島と長崎で被爆した方々の尊いデータがあります。それらにより、「福島の人も、ほかの地域と同じように子供を産み育てられる」ことは明らかです。それを伝え続けることは、大人の責務で、その質問があれば、私たちは即答できなければなりません。早野教授の言葉どおり、これはイデオロギーや思想などは無関係です。公正なデータから得られる事実なのです。

「心配」は感情面の問題ですので、各人それぞれ違うでしょうが、福島県下のほとんど地域における放射線についての心配であれば、公正なデータで解消されるよう、努力が行われるべきです。そして、福島に住み続けて、何か問題がないと困る人がいることも認識しておいてください。彼らは放射線による被害者がいないと、その主張が成り立たないのです。

福島第一原発の事故による被害者は多数います。それは放射線による健康被害ではありませんが、それでは困るのです。彼らはそれでこの世から原発がなくなるなら「いいデマ」だといいます。「いいデマ」なんてものはありません。それが「原発いじめ」などの被害を生むのです。そして、そんなことで、この世から原発が消えるはずはありません。

2011年3月11日、そして12日。あれからもう6年が経ちます。未だ正しい情報が共有されていないことを重く捉えなければなりません。



Fukushima Today


「福島の今 2017 春」


ふくしまの今~環境放射線と食の安全





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