先日、石原慎太郎元東京都知事が記者会見を開きました。
物事を疑わない世間は無責任だ何だと叩いていますが、私にとっては彼の評価を見直す会見でした。逆に記者は低レベルな質問の連発。事実の確認よりも、記者自身が糾弾したいという見え見えの欲求にあきれました。
元々、あまり好きな人物ではなかったものの、この時の「科学が風評に負けるのは国辱」の言葉は、豊洲市場問題に限らず必要なことです。考えてみれば、科学的データに基づき、震災瓦礫をいち早く受け入れたのは石原都政の当然で合理的な判断でした。
小池都知事が幕の引き方を考えていなかったために、時間が経過。その間、築地市場では次々とトリハロメタン、アスベストなど諸々のほか、2013年の都の調査で砒素が検出されていたことが読売新聞の情報公開請求で発覚。これらの築地の問題点について小池都知事は「コンクリートがあるから問題ない」としました。
都はこの築地の情報を公開していなかった理由について「人体への影響はないため」としています。豊洲も人体に影響がないことはデータにより明白で、コンクリートにも覆われています。実際は同じどころか、築地には未知の部分があります。
おそらく、健康には問題ないという判断が以前からあったのでしょう。それは間違いではないにしても、それが移転の理由の一つにもなったのだと思います。小池都知事が自身の影響力を高めたいという利己的な欲求で、豊洲市場と周辺住民に多大なる風評被害を与え、周辺の不動産価格を下落させました。おかげで豊洲だけでなく、築地のイメージまで傷つき始めています。
新市場で盛り土が行われていないとわかった時、都知事が何をしたか。それが危険であるかのように声高に叫んだんです。組織統治、ガバナンスとしては重要な問題でも、安全面の問題は違います。当時もお書きしていますが、ああいった構造物はたいてい、豊洲のような地下ピットが設けられているものなのです。
安全のために。おそらくはより安全性を高めるために、地下ピットが設けられたのでしょうが、都知事は「盛り土より安全」なことをアピールすることなく、自分の得点にするために、豊洲問題を解決するのではなく、利用することにしたのです。
現都知事はマスコミとともに、使えるはずの豊洲市場に風評被害をもたらしました。豊洲市場の総工費は6,000億円。さらに、時間が経過するごとに、補償金が積み上がっていきます。ただ時が過ぎれば、ほかの経費も嵩みます。都の損失が7,000億円規模になる時もそう遠くないかもしれません。そして、この移転計画には東京オリンピックが絡んでいるため、その計画変更にも莫大な経費が必要になります。
真相究明が必要なら、その作業を行えばよいかと思います。石原氏も自らの責任も認めているように、彼以前の都政と当時、豊洲以外のどこに移転決定できたのかも含めて、とことん検証すればいいでしょう。しかし、老人一人をつるし上げている間にも10億、20億と消えていくことになります。そんなことよりも、まずは結論が必要なのです。
日々飛び交うニュースの中には、億が付く金額が書かれているものも少なくありません。それらと比べれば、6,000億や7,000億という金額がどれほどのものかわかるかと思います。以前にもお書きしましたが、クズ前都知事がいくら家族旅行を公費でまかなっても、公用車で保養地に出かけても、公務と称して美術展に出かけても、こんな金額にはならないのです。小池百合子都知事のように、無能なだけでなく、これほど有害な首長を私は知りません。
豊洲の地下水モニタリング調査では、最後の9回目だけ飛び抜けて大きな数値の有害物質が検出されました。4日になって、その検査がこれまでの検査とは異なる方法で行われていたことが明らかになりました。データを比較するのに、手法が違うなどということがあってはいけません。しかも、それは都の指示によるものだというのです。高い数値が出るようにと、知事からの指示があったと疑われるべきケースです。これについて現都知事はどう責任をとるのでしょうか。
彼女は石原氏に対し「部下のやったことは知事の責任」としました。ならば、この件について責任をとる必要があります。そして、東京都政の責任者として、6,000億円以上もの損失を出そうとしていることについても責任をとる必要があります。
今、都知事が「豊洲は安全です」と言って、「そうか、だったら大丈夫だな」と皆が思ってくれるでしょうか。そんな状態に仕上げたのは、都知事自身なのです。今目の前にある状況の中で、どうするのか。最善の施政を行うのが現職の知事であるはずなのです。彼女がこの問題に関わる前は、もう少し利口な人だと思っていました。
↧
現職知事としての責務を果たさず 無能なだけでなく有害極まりない小池都知事
↧