世界情勢が緊迫してきました。シリア政府が化学兵器を使用したとして、軍事拠点に対し、アメリカはミサイル攻撃を行いました。この攻撃はパームビーチでの米中首脳会談に合わせたとの見方が強く、北朝鮮と中国への意思表示。直前にはアメリカ国家安全保障会議(NSC)からトランプ大統領の最側近、影の大統領ともいわれているバノン氏を外していて、その関連が指摘されています。
また、シリア攻撃の前日にはフィリピンのドゥテルテ大統領は、南シナ海で領有権を主張している無人島や岩礁を占拠するよう軍に指示。この海域はフィリピンのほか、中国、マレーシア、台湾、ブルネイ、ベトナムが領有権を主張しています。
現在起きている現象を理解するだけでも大変な状況になってきました。そこから、それぞれの思惑、狙い、今後の展望を考える必要があります。
私はまだトランプ大統領の評価が定まりません。今のところ、優れた大統領ではないとは判断していますが、このシリアへの対応でさらに難しくなりました。対シリアでオバマ前大統領が愚かだったのは、2013年シリア軍が化学兵器を使用した時に、攻撃を検討していながら、シリアを空爆しない態度に転換。転換すること自体はともかく、「空爆しない」と発言したことでした。空爆するしないはともかく、「空爆しない」なんてことは絶対に言ってはならない言葉です。
その結果、ロシアがシリアに接近。アサド大統領は後ろ盾を得たことになり、ロシアはアメリカの影響力が薄くなった中東が混迷すればするほど、自身の影響力を発揮できることになりました。
ただ、シリア軍を叩けば、同国の情勢が安定するかといえば、そんなことはあり得ず、シリア軍は反政府軍と戦っているほか、ISIL(ISIS/IS/Daesh)と戦っているという一面もあり、反政府軍とて、単一の組織ではありません。今後、アサドとプーチンがどのような動きを見せるのか、ロシア軍は空母を向かわせていますが、ブラフとの見方もあり、予測は困難です。
先日、北朝鮮から何らかのミサイルが発射されました。
休戦中にもかかわらず、こんな時に選挙戦を行っている韓国において、軍の最高責任者は誰なのでしょうか? 6日には韓国軍が弾道ミサイルの発射試験を実施して成功したと発表しましたが、実戦における軍事行動は誰が指揮するのでしょうか。仮に北が韓国を標的にしなくても、間違いなく、戦場になるというのに。
以前にもお書きしたように、北朝鮮の目的、正確には金正恩の目的は、国家体制を脅かさないことの確約です。そのために、アメリカを一対一の交渉に引っ張り出したい訳で、核兵器はその交渉材料ともなります。したがって、そのために米東海岸を核攻撃できるICBMの開発を急いでいます。米中首脳会談に合わせて、トランプは北朝鮮に対し、「金正恩がアメリカに来るなら会う」というメッセージを発信したものの、臆病な正恩が訪米するとは思えません。
アメリカはワシントンDCやニューヨークへの攻撃を許すわけにはいかず、ICBMの開発前にそれを排除する可能性があります。
両国が戦争に向かう同一軌道に乗っているのは間違いなく、その戦火は大陸だけでなく、日本にも及ぶ可能性が高いです。そして、シリア難民のごとく、大勢の難民が押し寄せることになるかもしれません。
先日、自民党が敵基地攻撃能力保有の早期検討を政府に求めました。
この件について、民進党の蓮舫代表は
「これまで歩んできた平和国家の礎が、ガラガラと音を立てて崩れるように思えて非常に懸念している」
と語っています。
現在のミサイル攻撃への対応は、発射されたミサイルを迎撃するという方法です。
しかし、それも同時に5発程度が限界で、それも確実ではなく、さらに10発同時なら、20発同時なら、間違いなく大勢の人が犠牲になります。
これを防ぐために必要なのが敵基地攻撃能力です。ミサイルを撃たれてからでは、国民の命が守れないため、敵拠点を攻撃して、発射能力をつぶしてしまおうという考え方ですが、もしも、これを否定するとなると、攻撃は「大勢の国民がミサイルで殺されてから」ということになります。
日本共産党や民進党などはすぐに「戦争のできる国に」など批判しますが、対案は出しません。国民の生命を守る対案がない以上、彼らは国民に大勢の犠牲者を出しても構わないという考えであると解釈すべきです。
それに、戦争には敵地での制空権維持が必要になります。しかし、我が国の自衛隊にそんな能力はほとんどありません。自衛隊により日本領土と領海の制空権維持は問題ないとしても、そこから離れてしまえば、戦力的に無力となります。日本領土と領海以外で、自衛隊に戦争を続ける能力はないのです。
脅威はミサイルだけではありません。シリア軍はサリンを使用したとして、アメリカ軍はミサイル攻撃行いましたが、北朝鮮が化学兵器を持っている、製造能力があることは明らかになっています。なぜか、この点をメディアがあまり触れないのが疑問なのですが、金正恩は異母兄の金正男氏をVXで殺害していることを忘れてはなりません。
ミサイルよりも化学兵器のほうが使いやすいともいえます。それが使われた時、使われることが予想される時には、どのように対応するのか、
「これまで歩んできた平和国家の礎が、ガラガラと音を立てて崩れるように思えて非常に懸念している」
などという抽象的な言葉に、国民の安全を考えているという意識を感じ取ることはできません。政府だけでなく、野党も国会議員であるなら「反対のための反対」が許される時間はないのです。
また、シリア攻撃の前日にはフィリピンのドゥテルテ大統領は、南シナ海で領有権を主張している無人島や岩礁を占拠するよう軍に指示。この海域はフィリピンのほか、中国、マレーシア、台湾、ブルネイ、ベトナムが領有権を主張しています。
現在起きている現象を理解するだけでも大変な状況になってきました。そこから、それぞれの思惑、狙い、今後の展望を考える必要があります。
私はまだトランプ大統領の評価が定まりません。今のところ、優れた大統領ではないとは判断していますが、このシリアへの対応でさらに難しくなりました。対シリアでオバマ前大統領が愚かだったのは、2013年シリア軍が化学兵器を使用した時に、攻撃を検討していながら、シリアを空爆しない態度に転換。転換すること自体はともかく、「空爆しない」と発言したことでした。空爆するしないはともかく、「空爆しない」なんてことは絶対に言ってはならない言葉です。
その結果、ロシアがシリアに接近。アサド大統領は後ろ盾を得たことになり、ロシアはアメリカの影響力が薄くなった中東が混迷すればするほど、自身の影響力を発揮できることになりました。
ただ、シリア軍を叩けば、同国の情勢が安定するかといえば、そんなことはあり得ず、シリア軍は反政府軍と戦っているほか、ISIL(ISIS/IS/Daesh)と戦っているという一面もあり、反政府軍とて、単一の組織ではありません。今後、アサドとプーチンがどのような動きを見せるのか、ロシア軍は空母を向かわせていますが、ブラフとの見方もあり、予測は困難です。
先日、北朝鮮から何らかのミサイルが発射されました。
休戦中にもかかわらず、こんな時に選挙戦を行っている韓国において、軍の最高責任者は誰なのでしょうか? 6日には韓国軍が弾道ミサイルの発射試験を実施して成功したと発表しましたが、実戦における軍事行動は誰が指揮するのでしょうか。仮に北が韓国を標的にしなくても、間違いなく、戦場になるというのに。
以前にもお書きしたように、北朝鮮の目的、正確には金正恩の目的は、国家体制を脅かさないことの確約です。そのために、アメリカを一対一の交渉に引っ張り出したい訳で、核兵器はその交渉材料ともなります。したがって、そのために米東海岸を核攻撃できるICBMの開発を急いでいます。米中首脳会談に合わせて、トランプは北朝鮮に対し、「金正恩がアメリカに来るなら会う」というメッセージを発信したものの、臆病な正恩が訪米するとは思えません。
アメリカはワシントンDCやニューヨークへの攻撃を許すわけにはいかず、ICBMの開発前にそれを排除する可能性があります。
両国が戦争に向かう同一軌道に乗っているのは間違いなく、その戦火は大陸だけでなく、日本にも及ぶ可能性が高いです。そして、シリア難民のごとく、大勢の難民が押し寄せることになるかもしれません。
先日、自民党が敵基地攻撃能力保有の早期検討を政府に求めました。
この件について、民進党の蓮舫代表は
「これまで歩んできた平和国家の礎が、ガラガラと音を立てて崩れるように思えて非常に懸念している」
と語っています。
現在のミサイル攻撃への対応は、発射されたミサイルを迎撃するという方法です。
しかし、それも同時に5発程度が限界で、それも確実ではなく、さらに10発同時なら、20発同時なら、間違いなく大勢の人が犠牲になります。
これを防ぐために必要なのが敵基地攻撃能力です。ミサイルを撃たれてからでは、国民の命が守れないため、敵拠点を攻撃して、発射能力をつぶしてしまおうという考え方ですが、もしも、これを否定するとなると、攻撃は「大勢の国民がミサイルで殺されてから」ということになります。
日本共産党や民進党などはすぐに「戦争のできる国に」など批判しますが、対案は出しません。国民の生命を守る対案がない以上、彼らは国民に大勢の犠牲者を出しても構わないという考えであると解釈すべきです。
それに、戦争には敵地での制空権維持が必要になります。しかし、我が国の自衛隊にそんな能力はほとんどありません。自衛隊により日本領土と領海の制空権維持は問題ないとしても、そこから離れてしまえば、戦力的に無力となります。日本領土と領海以外で、自衛隊に戦争を続ける能力はないのです。
脅威はミサイルだけではありません。シリア軍はサリンを使用したとして、アメリカ軍はミサイル攻撃行いましたが、北朝鮮が化学兵器を持っている、製造能力があることは明らかになっています。なぜか、この点をメディアがあまり触れないのが疑問なのですが、金正恩は異母兄の金正男氏をVXで殺害していることを忘れてはなりません。
ミサイルよりも化学兵器のほうが使いやすいともいえます。それが使われた時、使われることが予想される時には、どのように対応するのか、
「これまで歩んできた平和国家の礎が、ガラガラと音を立てて崩れるように思えて非常に懸念している」
などという抽象的な言葉に、国民の安全を考えているという意識を感じ取ることはできません。政府だけでなく、野党も国会議員であるなら「反対のための反対」が許される時間はないのです。