今朝のABC「正義のミカタ」でヒアリ対策が紹介されました。
ヒアリ上陸のニュースが出て数日後ぐらいから
「日本のアリを殺さないで」という声を目にしていて
それは在来種のアリを殺してしまうことが
ヒアリを定着させてしまうことにつながるという意見でした。
この意見について、たいへん頷ける話ではあるものの、
私自身の知識が薄く、調べきれませんでしたので
判断できずにいました。
今朝の番組で、この意見が正しいのであろうと判断できましたので、
この件についてお書きしておきます。
解説は琉球大学農学部、亜熱帯動物学がご専門の辻和希教授でした。
このような著作、翻訳もあるアリの研究者です。
ヒアリに限らず、アリには女王がいます。
巣の中には次世代の女王候補のアリもいて、
これがやがて羽アリの新女王となって、オスアリとともに巣を飛び立ち
新天地で繁殖するという習性になっています。
この旅を「ハネムーン飛行」なんて呼ぶこともありますね。
こうして、アリは生息域を拡大していきます。
新たな繁殖地として降り立った新女王ですが、
もしも、近くに日本在来のアリがいた場合、
確実に殺されてしまいます。
新天地で営巣を始めた段階では数が違います。
アリたちは敵と味方の区別がはっきりとしていて、
敵と認識した者を生かしたままにはしておきません。
逆にそこに在来種のアリがいなかった場合、
新天地でヒアリはのびのびと繁殖することができるでしょう。
数の力を得たヒアリは他の土地でも繁殖、
私たちの身体を傷つけ、
そして経済面でも大きな損害を与えることになります。
アリの駆除に使われるベイト剤、
つまり、毒餌ですけれど、
これは在来のアリも殺してしまいます。
在来のアリがいない地域を人間が作ってしまうことは
ヒアリにとって都合の良い場所を提供していることにもなります。
よって、無闇矢鱈にベイト剤を置くことは避けるべきです。
今週木曜、国土交通省と環境省は認識を改め、
まずは港湾などに粘着式の罠を仕掛けて、
この罠にヒアリが確認された場合にベイト剤を置くことにしました。
日本のアリを減らすことは極力避けるということですね。
現状、私たちがヒアリと接触する可能性は極めて低いものとなっています。
今後、港湾が勤務地の方は要注意になるかもしれませんが、
もしも、ヒアリが私たちの生活圏に入ってきた時に
もう一度、駆除方法や噛まれた時の対処法を学ぶ必要があります。
ただ、今は大騒ぎして無闇にベイト剤を置かないようお願いします。
最後にヒアリの恐ろしさについて
辻先生が最も伝えたい話として
こんなお話をされていました。
セアカゴケグモがあったじゃないか
定着して、もう慣れちゃって騒がれなくなったでしょ
(と、思われるかもしれませんが)
あれとは全然違いますから
なんで、環境省が
日本に絶対来て欲しくない最悪の敵だとしているかといいますと
ヒアリは人がいっぱいいる所に住み着いて
もの凄い数で増えます
テキサス、フロリダなどでカフェの周りのアリは
みんなヒアリで、既に在来種はいなくなっているんだとか。
しかも、その個体数は在来種と比べて
5~7倍にもなっているそうです。
人間の農薬の使い方にも問題があったようですが、
日本ではそのような間違いを犯さないよう気をつけなくてはなりません。