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「身を切る改革」=「みんなで貧しくなりましょう」~投票日を明日に控えて~

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いよいよ明日が総選挙の投開票日となりました。
ただ台風21号の接近の影響は確実で
停滞前線が刺激される地域も多いです。
有権者であれば投票すべきですが、
命がけの状況であるなら考えなければならないでしょう。

「身を切る改革」は無意味


さて、日本維新の会松井共同代表によるテレビCMが流れています。「まずは身を切る改革を」と訴え、大阪府市では既に実行していることをアピールしています。「身を切る改革」というのは維新と連携している希望の党が掲げるところでもあります。

松井氏は衆議院の候補者ではありませんので、この「身を切る」というのは衆議院議員の、拡大解釈すれば国会議員全体の歳費などを削減するということでしょう。ここには定数削減も含まれるはずです。ただ、国会議員の歳費、手当、文書通信交通滞在費を半分にしたところで、100億円余りしか出てきません。国家財政の規模から考えますと、さして意味のない削減です。

それでも「身を切る改革を」という言葉を支持する人が少なくないのは、「私たちがこんなに苦しいのに」「私たちがこんなに節約しているのに」という思いがあり、高いギャラをもらっている国会議員たちに対する鬱屈したルサンチマンの影響でしょう。ただ、国民のルサンチマンがどうであろうと、「身を切る」改革を行おうが国家財政にはほとんど影響はないのです。政策は感情ではなく、合理的判断により議論されるべきです。

積極的なインフラ更新・復興・防災事業を


維新の会は「歳入と歳出の抜本的な見直しにより財政の健全化」を政策としています。単純にいいますと、「無駄な支出をなくそう」ということです。たしかに、全く無駄に思える支出もあります。ただ、本当に無駄かどうかは単純に見定められません。民主党政権時、「事業仕分け」が行われ、多くの公共事業が槍玉に挙げられました。あの政治ごっこのショーで、中止、停止、縮小になった事業全ては、本当に無駄だったのでしょうか。

国が公共事業を行えば、その事業に関わる人が収入を得るでしょう。物資、資材、機材などのやりとりでもお金が動きます。その公共事業の内容はどうあれ、それで経済は回ることになります。先日、企業の内部留保問題についてお書きしましたが、ずっと長い間、企業の投資が伸び悩んでいるため、思うように景気がよくならない、物価が上がらない=収入が増えにくい状況が続いています。

そんな時に国が公共事業を行えば、景気が刺激されることになります。極端なことをいえば、ケインズが言ったように「穴を掘って埋める」という馬鹿馬鹿しい事業を行うだけでも、景気の面ではプラスになります。ただ、私はこんな馬鹿馬鹿しい公共事業を行えと言っている訳ではなく、現在、日本ではあらゆるインフラが老朽化で更新の時期を迎えており、また、常に天災に見舞われている日本では被災地の復興と、防災のための事業にも人手が必要です。景気を刺激し、国民の命を守るための事業を行えるのです。

それに教育分野。日本は中国のパクリをネタに笑い続けてきましたが、間もなく、彼らは日本の技術を追い抜くでしょう。日本の教育に対する投資を考えれば当然のことです。毎年のように日本人がノーベル賞を受賞していたことも、遠い目で語ることになると思います。

皆で貧しくではなく、皆の収入を増やす政策を


文化人を中心に「もう日本は経済発展しなくていい」という意見があります。その発信者の多くは年収が1千万円以下ではないことが想像できる人ばかりなのではないでしょうか。彼らは日本が経済発展をしていく中で、その恩恵にあずかってきた人たちです。

自分たちは既に充分いい思いをしてきたのでもういい。そんな風に聞こえます。もしも、日本の経済規模が縮小して、それぞれの収入が半分になったとします。彼らの年収は500万円になり、それはそれで大変ですが、年収200万円の人が100万円になったら、命に関わるでしょう。半分にならなくても、1割減でもかなりのピンチです。

「身を切る」「歳入と歳出の抜本的な見直し」ということもこれに似ていて、思うように景気がよくならない中で、公共事業を減らしますと、日本全体の経済規模が縮小されます。その結果、日本中が貧しくなります。単純に「身を切る改革」を行い、無意味な「財政の健全化」を求めるということは、「みんなで貧しくなりましょう」ということなのです。

みんなで貧しくなるのではなく、みんなの収入を増やす政策が必要です。そして、国会議員、年に3千万円以上の歳費や手当、文書通信交通滞在費などを受け取っていることに胸を張れる政治を行ってほしいものです。




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