前回の「サイエンスZERO」が人権無視の酷いものでしたので
ここで批判しておきます。
これまでNHKではNW9やNHKスペシャルなどで、
デマをバラ撒いていても、
Eテレではまともなことを言っていることが多かったのですが、
ついにこちらもクソにまみれてしまったようです。
今回は福島の子どもたちに甲状腺がんが増えているとして、
この映像が流されました。
もうこの部分だけで、視聴者を騙しにかかっていることがわかります。
この比較に意味がないことなど、
中学を卒業していればこんな図は作りません。
おそらく、番組制作者はこれが統計学的に無意味なものであることなど
承知の上で並べたのでしょう。
甲状腺がんの数を比較したものですが、
左の「全国(1年間)」は100万人に1~2人なのに対し、
右の「福島県(7年半)」は38万人のうち214人なんだそうです。
小島瑠璃子さんのナレーションで読み上げられたこの数字、
これがどれだけ福島の人たちの人権を無視したものか
どうせ、反原発界隈で自分たちのイデオロギーのためなら、
事実を曲げても構わない、
誰かを傷つけても構わないという考え方の連中の意見が反映されたものでしょう。
甲状腺がんは非常にゆっくりと進行するがんです。
高齢者が何らかの原因で亡くなった時、
解剖が行われてはじめて
その人が甲状腺がんであることが判明することがあります。
しかも、それは死因には無関係で
生前、それが故人を苦しめることはなかったものがほとんどです。
甲状腺がんというものはそういうもので、
無症状での検査は推奨されていません。
小さな甲状腺がんは十代から若年期に発生し、
その多くは生涯でほとんど大きくなりません。
もしも、無症状の人に超音波検査を行うと、
その甲状腺がんを「見つけてしまう」のです。
見つけてしまった以上、転移する可能性を完全に排除出来ませんので、
手術することになります。
「がん患者」にされてしまい、手術までしなければならなくなった当事者は、
一生、服薬が必要になりますし、
心の中に「がん」を抱えて暮らし続けることになります。
これまでもお書きしてきたテーマですが、
福島で今後も続けるという人権侵害の甲状腺がんの検査ですが、
私だって、検査すれば甲状腺がんが見つかるかもしれないのです。
上の比較ですが、分母がめちゃくちゃです。
おそらく、100万人の人が甲状腺がんの検査を受ければ、
相当数の「患者」が見つかることでしょう。
福島の38万人のうち214人という数値は
けして多くないと考えられます。
ただ、多くないと断言するためには、
対照する全国のデータが必要になります。
よく「じゃあ全国でも検査すればいい」という人がいますが、
前述のように、
甲状腺がんだと診断された人の人権の問題があります。
見つけさえしなければ、悪さをしないがんを知らずに
暮らし続けることができた可能性が高いのです。
症状がない人も含めて集団全体の検査を
スクリーニング検査、悉皆検査と呼んでいます。
既に超音波検査を受けることで
甲状腺がんの死亡率が低下しないことが明らかになっています。
つまり、継続されている福島での甲状腺がんの悉皆検査は
「過剰診断」が行われる可能性が極めて高い検査なのです。
また、発見後の治療も「過剰治療」といえるでしょう。
人権侵害の検査をなせ止めないのでしょうか。
そんなにデータがほしいですか?
それで科学的知見が得られるかもしれませんが、
それは人権よりも優先されるべきではないものです。
私もここでこの問題では韓国の事例などを紹介し、
批判してきましたが、
ここで「サイエンスZERO」がクソに成り下がった件で
あらためてお書きしました。
過剰診断について触れておきますと、
実は前立腺がんや乳がんなどでも指摘されています。
おそらくはがんだと診断された人の中に
相当数、該当者がいるものと予想されています。
前立腺がんの場合、ゆっくりと進行し、
高齢になるほど増えるがんですので、
見つけないほうがよかった場合もあるでしょう。
よって受診者に過剰診断、過剰治療のリスクを充分に説明する必要があります。
一方、乳がんの場合、その進行は早く、
命に関わる部位への転移が起きます。
たとえ、そこに過剰診断が含まれていても、
受診しないよりも受診して
早期のがんを見つけたほうがその人にとっての利益となると考えられています。
甲状腺がんの検査においても、
それが受診者の利益となるのか、
利益よりも害のほうが大きいのであれば
それは行われるべきではないのです。
甲状腺がん検査の問題点については
大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チーム
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/www/CRT/OD1.html
こちらがわかりやすいですので
ぜひ、ご覧ください。
最後に先日、
国連の特別報告者 福島への子どもの帰還見合わせを求める
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181026/k10011686691000.html
こんなニュースがありました。
この見出しも嘘です。
正しくは「国連人権理事会が任命した特別報告者」です。
「消防署のほうから来ました詐欺」と同じく
「国連のほうから来ました詐欺」に過ぎません。
この件で国連人権理事会から何者かが来日したという話はないようで
どうせ、反原発界隈で自分たちのイデオロギーのためなら、
事実を曲げても構わない、
誰かを傷つけても構わないという考え方の連中の意見が反映されたものでしょう。
国連でいえば、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は
既に
福島県の住民の甲状腺被ばく線量は,チェルノブイリ事故後の住民の被ばく線量と比べかなり低く,チェルノブイリ事故後のように実際に甲状腺がんが大幅に増加する事態が起きる可能性は無視することはできる
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-09/ref03_1.pdf
としています。
「国連のほうから来ました詐欺」をメディアは採り上げるのに
UNSCEARの報告をほとんど採り上げないメディア。
福島の人に安心して暮らしてもらっては困るようです。
福島の子どもたちが病んでいないと
困る人たちのようです。
「国連のほうから来ました詐欺」師と
UNSCEARと、どちらが公正なデータにより判断を行っているかは、
こちらをご覧ください。
UNSCEARの報告はなぜ世界に信頼されるのか――福島第一原発事故に関する報告書をめぐって 明石真言氏インタビュー / 服部美咲
https://synodos.jp/fukushima_report/21606
正しい放射線の知識については
これがわかりやすいです。
いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本) 1,512円 Amazon |