インフルエンザ関連のエントリーが続いております。
今回はインフルエンザ予防にマスクは有効なのかというテーマで
考えてみたいと思います。
一昨年ぐらいからよくいわれているのが、
ウイルスが小さすぎて
マスクの繊維の隙間を通り抜けてしまうため
予防効果はないというものでした。
インフルエンザウイルスの大きさは
0.08um(マイクロメートル)~0.12μmですが、
米国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格の微粒子用マスクでも、
捕集できる粒子は0.3μm以上です。
捕虫網では砂粒をすくえないように、
インフルエンザウイルスをマスクで捕まえるのは難しいようです。
風邪もライノウイルスやコロナウイルスなどによる感染症ですが、
ウイルスが病原体であるため、
マスクでは通り抜けてしまいそうです。
米国疾病予防管理センター(CDC)でも、
予防法にマスクの着用は含まれておらず、
日本の厚労省も海外の公機関でも、
だいたいマスクを挙げてはいないようです。
逆に必ず書かれているのが、
既に感染している人のマスクの着用です。
インフルエンザは飛沫感染と接触感染で広がります。
飛沫感染は咳やくしゃみなどで唾液が飛散し、
それが感染源になるというもので、
接触感染はその唾液がドアノブやテーブルなどに付着し、
それに触れた人の手が口などに入ることにより
感染してしまうというものです。
したがって、マスクが絶対に必要なのは感染者ということになります。
ただ、マスクに本当に予防効果がないのかというと疑問があります。
まず、マスクをすることにより、
鼻や喉の粘膜が乾燥しにくくなり、保温効果もあります。
これらの粘膜には排出する仕組みがありますが、
その働きを低下させるのが低温と乾燥ですので、
保湿保温という目的であれば
マスクはインフルエンザ予防に意味があるということになります。
おそらく、ここまではコンセンサスを得られているかと思いますが、
私が思うには、手が直接口や鼻に触れないという効果も
マスクにはあろうかと考えています。
接触感染ではウイルスが付着した手が
口や鼻を触ることで感染するケースが多いように思います。
手で口や鼻を触る頻度は人それぞれでしょうが、
たいていの人はその動作を無意識に行っています。
意外なほど、人は自分の口や鼻を触っているのではないでしょうか。
マスクがあると、ウイルスが付着した手が口元などに行ったときに、
最初に触れるのはマスクになります。
それで完全にウイルスがブロックできるものではありませんが、
直接、口や鼻にウイルスが付くよりはいいように思います。
そういうこともあり、
マスクを外すときに触れるのは
耳にかける部分だけにしなくてはなりません。
マスクの正しい取り扱い方法です。
感染症予防でマスクを使用するのであれば、
使い捨ての不織布のもので使い捨てがよく、
洗濯できる布製のものは推奨されません。
こちらは医療機関内で
さまざまな感染症から患者、家族、職員の安全を守る
感染対策チームによる動画ですので
参考にしてみてください。
うがいもそうですが、
マスクに予防効果があるかどうかのデータは取りづらいです。
私はうがいでの予防は怪しいと思っていますが、
それをポジティブに評価しているケースもあり、
実際に頻繁にうがいをしている人が
インフルエンザや風邪にかかりにくいというデータも存在します。
ただ、こういったデータはアンケートで得られたもので
頻繁にうがいする人は
手洗いやマスクなどほかの予防法を実践している可能性が高く、
うがいのみでの評価は困難です。
かといって、うがいのみで
ほかの予防法をしないでくださいという実験もできません。
あとは感染者となった場合。
マスクの着用はもちろん、外出は避けるべきです。
ただ、マスクがない場合、
感染に気付いてマスクを手に入れるまでの時間でも
咳やくしゃみをしてしまうことはあるでしょう。
その場合、できる限り飛沫が拡散しないようにする必要があります。
手で口や鼻を押さえてしまいますと、
その手に付着したウイルスが感染者を増やしてしまう可能性があります。
ですので、ハンカチやティッシュペーパーで口と鼻を覆うべきですが、
それもない場合は、肘を曲げてその内側で咳やくしゃみをしてください。
ベストではありませんが、
そのままでするよりはましになるはずです。
肘は志村けんさんの「アイーン」のような形です。