新型コロナウイルス「以外」のワクチン・集団免疫
前回、無癩県運動についてお書きしましたが、
NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会がアナウンスを出しましたね。
私たちからのメッセージ - ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会
https://www.hansen-wh.jp/news/374/
「-新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者や関係者への誹謗中傷について-」
と題されています。
別の話題になりますが、
愛知県豊橋市で狂犬病発症が確認されたようです。
日本国内での人の感染は14年ぶり。
患者はフィリピンから来日した人とのことで、
同国にてイヌに噛まれた模様です。
ただ、市は患者の国籍や年齢、性別を明らかにしていないとのこと。
1940年代ぐらいまでは日本でも狂犬病で亡くなっていて、
凄まじい神経症状を示した後、
ほぼ100%死亡するという恐ろしい動物由来感染症です。
感染するのは、イヌだけに限らず、
人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病します。
今、6月まで狂犬病予防注射期間であるわけですが、
ここでイヌに接種されるのが狂犬病ワクチンです。
集団における狂犬病予防で重要なのが集団免疫で、
全てのイヌのうち60%に狂犬病の免疫があれば
流行を阻止できるとされていて、
ただ、これは計算上の割合で、
獣医師などのヒューマンエラーや、
接種しても抗体価の上がらないイヌもいますので、
WHOなどは各国に70%以上の接種を求めています。
新型コロナウイルスの場合でも、
60~70%以上に免疫があれば集団免疫が獲得されたと考えられます。
ワクチンの話題では、
今、小児科でワクチン接種が後回しになっているという問題が起きています。
忘れられているのではないかという心配もありますが、
子どもだからこそ接種が必要、接種できるものもありますし、
新型コロナウイルスに感染し発症するリスクよりも、
ワクチンで防げる病気にかかるリスクのほうが
比べものにならないぐらいはるかに高いです。
感染予防を心がけつつ、
ワクチンを接種しましょう。
続いてもワクチンの話題。
子宮頸がんを予防する9価ワクチンが
厚生労働省の審議会で製造販売が承認されました。
現在は4価ワクチンが接種できますが、
9価ワクチンでは、4価で予防できた型に加え、
さらに5つの型の予防も可能になります。
ほんの少しだけ、先進国に近づいた出来事です。
既に諸外国では一般的に9価が接種されていて、
日本は何周もの周回遅れの状態。
オーストラリアなどでは、
「子宮頸がん撲滅が近い」のではなどと言われています。
日本で反子宮頸がんワクチンの"報道"が始まったのは
2013年で、それまでは日本でも対象者の大半が接種していました。
しかし、その後、根拠に基づかない"報道"により、
ワクチンが接種されないようになり、
国も及び腰で積極的な接種推奨をしなくなりました。
現在、その摂取率は1%にも届きません。
子宮頸がんは予防ワクチンがある珍しいがんです。
毎年、1万人が子宮頸がんにかかり、
3000人が子宮頸がんが亡くなっています。
これが反ワクチンとメディア、政府が招いた結果です。
山本太郎のような反ワクチンは、
定期健診で問題ないといいますが、
運良く生命の危機は免れても、
ごくごく初期でない限り子宮全摘です。
この問題はこれまでにも何度かお書きしていますが、
子宮頸がんは「マザーキラー」と呼ばれています。
単純に考えれば、
子どもを残して母の命を奪うがんだということですが、
さらに、妊娠中であれば胎内の子どもを諦めるがんでもありますし、
将来、生まれるかもしれなかった子どもを諦めるがんでもあります。
日本でもオーストラリアなどのように
「子宮頸がん撲滅が近い」と思える未来が考えられていました。
もしかすると、その撲滅は世界で最速になった可能性もあったと思います。
しかし、現実には患者数1万人、死者数3000人を毎年出しています。
今や、ワクチン政策では後進国です。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスの感染が原因ですが、
膣性交、肛門性交、口腔性交を通じて感染します。
ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんだけでなく、
中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、外陰がんの原因にもなり、
アメリカのデータでは、
女性のがんの3%、男性のがんの2%の原因がヒトパピローマウイルスだといいます。
女性だけでなく、男性にも有効なのが子宮頸がんワクチンになります。
男子が接種対象になっている国もあり、
日本でも男女問わず、
9価のワクチンが当たり前になる日が来ることを期待しています。
それがヒトパピローマウイルスに対する集団免疫を獲得することになります。