以前も批判的にお書きした
大阪大学核物理研究センターの中野貴志教授の「K値」ですが、
そろそろ、放棄すべき時かもしれません。
「K値」による予測では、9日前後にピークを迎えるとしていましたが、
どうもそうはならなさそうです。
神奈川県は「K値」で感染状況を把握し、
「神奈川警戒アラート」なるものに活用し
数値を公式サイトで公表し続けていますが、
どうも、現状と今後の予測には向かなそうです。
物理計算に必要な要素と比べ、
人の行動に関する計算に必要な要素では、
違いすぎるのではないかと思います。
確実なことはここ1週間ほどで見えてくると思いますが、
期待はしない方がいいと考えます。
次に東京で連日200人超えという感染者数について。
東京都の新型コロナ 「若者中心であり重症者が少ないから大丈夫」は本当か?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200711-00187636/
こちらは感染症専門医から信頼されている感染症専門医で、
国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那賢志先生の記事。
新宿区など一部の病院では無症状の人でも検査前確率が高くなっているそうで、
「入院患者に全例PCR」「手術患者に全例PCR」が
意味を持ち始める時期になってきているとしています。
現状は大丈夫だと思います。
ただ、この記事にあるように、
この感染症の患者は指数関数的に増えますので、
今後、最短でひと月も経たないうちに、
元の木阿弥にならないとも限りません。
「手洗い」「咳エチケット」「屋内でのマスク着用」「3密を避ける」
これらの基本的なことをあらためて徹底していきましょう。
自然災害の問題。
九州や中部地区を襲った豪雨による水害は
「令和2年7月豪雨」と名付けられましたが、
毎年のように激甚災害に指定されるような水害が続きますと、
今年もまだ「令和2年○月豪雨」が来るのではないか、
来年も「令和3年○月豪雨」
「令和4年○月豪雨」があるのではないかと思ってしまいます。
予測の難しい豪雨が続き、判断が難しいかと思いますが、
新型コロナウイルスの感染を恐れて、
避難所へ向かわないということだけは避けてください。
水害では、10分の判断の遅れが生命の危機になりますが、
この感染症に感染しても数日間で生命の危機になることはありません。
頑丈な建物の階上への移動、垂直避難も選択肢のひとつですが、
予め、それが可能かどうか、
避難場所、ルートなどを確認しておいてください。
次はこちらの記事。
「あらゆる人に検査を」で得られるのは偽物の安心。PCR検査の特異度が99.9999%でも、議論は変わらない
https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/covid-19-pcr-false-positive
新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂先生は、
検査について
(1) 有症状者
(2) 無症状者+事前確率が高い
(3) 無症状者+事前確率が低い
の3つのカテゴリーに分けて考える必要があるとしています。
これは既にお書きしましたが、
この記事では「(3) 無症状者+事前確率が低い」に
該当する人に対する検査の是非について解説しています。
ここで
一般への広い検査で得られるのは「偽物の安心」
としている点が重要であり、
今、1日2000~3000件あまりのPCR検査が東京で行われているわけですが、
私が心配するのは、「陰性」と判定された人に
どのような説明が行われて、
その人がどの程度、それを理解して行動しているかです。
何度も何度も繰り返しお書きしてきたように、
感染していないことを証明する方法はない
のです。
仮に感度100%、特異度100%という
絶対に間違わない検査があったとしても、
それは検査時の状態を示しているに過ぎず、
その後についてはわかりません。
ましてや、感度70%といわれるような検査であれば、
「感染しているのに"陰性"になる人」が30%も出てしまいます。
この偽陰性の問題と検査が意味するところを理解しないまま、
「自分は大丈夫」と思った人の行動が心配されます。
記事中では「感染していないのに"陽性"になる人」、
偽陽性の懸念について書かれています。
ぜひ、お読みください。
2つの動画をご紹介。
先日、NHKスペシャル「人体」の特別企画で
ウイルスが扱われました。
ダーウィンを敬愛する私としては、
進化論を用いた解説が雑すぎた点が気に入りませんが、
ほかの部分は勉強になりました。
特にサイトカインストームの部分は興味深かったです。
いずれ、サイトカインストームについては
お書きすることもあるかもしれませんが、
以下の動画では、新型コロナウイルスやそのワクチン、
自然抗体、免疫抗体などについて3分あまりで解説されています。
Coronavirus: Immunity explained - BBC News
英語ですので、日本語版はこちらからご確認ください。
BBCニュース - 新型コロナウイルスと免疫の仕組みを解説
https://twitter.com/bbcnewsjapan/status/1281186586751692801
そして、こちら。
本編 JCS2020 記念対談「新型コロナウイルスの流行における意思決定 〜未曾有の状況下でどう考え、どう判断すべきか〜」
第84回日本循環器学会学術集会(JCS)の開催を記念した対談。
Nスペにも出ておられた京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授と、
北海道大学大学院医学研究科衛生学教室の西浦博教授の対談です。
(+専門家諸氏の質問とコメントも)
西浦先生は厚生労働省クラスター対策班で、
人と人との接触機会の8割削減を提言した先生ですね。
感染症の専門医、臨床医などから
既に批判的な見方をされている山中先生てはありますが、
今は「とにかく検査」という発言もされなくなり、
お立場として、この問題について
広報官のような役割を果たそうとされているのではないかと感じます。
西浦先生には脅迫も寄せられたそうで、
これまでのお仕事の大変さもさらっと話しておられます。
西浦先生は現在の状態を
2回表コロナウイルスの攻撃中
と理解されているご様子です。
野球の試合は9回まで続きます。
最後にアビガン。
ずいぶん前から、新型コロナウイルス感染症に対する効果について、
怪しいのではないかといわれてきましたが、
藤田医科大学の研究では、有効性は確認できなかったとしています。
ただ、現在の日本には患者数がかなり少なくなっていて、
充分なデータが得られなかった点には留意が必要です。
「アビガン」明確な有効性確認できず 藤田医大など 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200710/k10012508371000.html