吉田博「瀬田の唐橋」
風景画で人気が高い吉田博の版画です。
さて、大幸薬品の「クレベリン 置き型」が
「たまひよ赤ちゃんグッズ大賞2021」なるものを受賞したそうです。
『クレベリン 置き型』が「たまひよ赤ちゃんグッズ大賞2021」空間除菌部門第1位を獲得
全国の生後0カ月~1才6カ月のお子様を持つ、たまひよ読者ママ(「初めてのたまごクラブ」「たまごクラブ」「ひよこクラブ」購読経験者)
を対象に調査したとのことですので、
アンケートなのでしょうか。
もう科学の負けですよね。
さらにもっと酷いのは、このニュース。
大幸薬品、クレベリン12万個を無償提供 全国の病院に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHD1655C0W1A210C2000000/
世の中には「送りつけ詐欺」「押しつけ販売」というものがあり、
頼んでもいないのに、要不要を問わずものを押しつけ、
それで儲けようとする輩がいます。
大幸薬品は無償だとしていますが、
医療機関に足を運んだ患者や付き添いの人は、
そこに置かれているクレベリンを目にするわけです。
今でも「薬剤師がいるドラッグストアに置かれているから効果があるはず」
と考える人がいるぐらいです。
大幸薬品は医療機関にただで配ることで、
クレベリンに権威付けをしようとしていることになります。
医療機関も要らなければ捨てればよさそうですが、
大幸薬品は「送った=使っている」として宣伝しそうです。
各医療機関は返送する、受取拒否するなどの対応が必要となるでしょう。
かねてより、医療従事者が困っているクレベリンですが、
ここでさらなる厄介ごとを押しつけたことになります。
(ただ歯科医院などの受付で何度も見たことがある…)
密閉されたチャンバーという特殊な環境の中で、
ガラスシャーレの上というさらに特殊な環境で、
いくら除菌効果が確認されようが、空間除菌は立証されません。
せめて、騙されないようにしましょう。
次はこちら。
大学病院から那須の町医者に 本間真二郎医師
朝日新聞の"医療サイト"「アピタル」の記事ですが…
「自然派医師」こと「トンデモ医師」の本間真二郎が
薬やワクチンなど何かを求めるのではなく、生活の中で自分自身の免疫力を高めれば、何も怖くない
と言っています。
昔はアピタルはもっとまともでしたが、
HPVワクチンに関する正しい情報を握りつぶすなど、
どんどん質が低下していて、
ついには、トンデモ医師をありがたがるとは。
じゃあ、自慢の免疫力とやらで、
新型コロナウイルスに曝露して対抗してみればいいのです。
ものを書いていて困るのが「免疫力」という言葉です。
私は基本的にこの言葉を使わないようにしています。
ただ、まともな医師の中にもこの言葉を使う人もいて、
必ずしも間違っているわけではないことも多く、
取り扱いに困ることになります。
免疫系は非常に複雑です。
たとえば、本間真二郎がいう
免疫力を高めれば、何も怖くない
は、真実でしょうか?
新型コロナウイルスなどの感染では
サイトカインストームという現象が起きることがあります。
サイトカインは細胞から放出されるたんぱく質のことで、
ほかの細胞に指令を伝達する役割があります。
血液中にサイトカインが放出されると、
発熱や倦怠感、頭痛などが起きますが、
これらは基本的に、体に起きている異常を知らせるためと、
体を守るための変化です。
サイトカインストームはその量が多過ぎる時に起きる現象で、
新型コロナウイルス感染症では、重症化の原因になり、
サイトカインストームによる症状への対応が必要となっています。
免疫系が強く働きすぎたために起きるのがサイトカインストームであるなら、
免疫力を高めれば、何も怖くない
について、どう考えるべきでしょうか。
たとえば、私が以前たまたま目にした論文の中に、
新型コロナウイルス感染症の患者の中に
ビタミンD欠乏症の人が多く見られたというものがありました。
検証されていない論文ですので、
その価値は不明ですが、風邪などでもいわれる話ですので、
理窟の上では納得できます。
ただ、だからといって、ビタミンDをたくさん摂れば、
「薬やワクチンなど何か」を求めなくてもいいというわけではないでしょう。
トンデモ医師に騙されないようにしましょう。
騙されないように、ということでは、
ニューヨーク州クオモ知事が窮地に立たされています。
新型コロナによる死者数を隠蔽していたという疑惑が持ち上がっています。
数千人?NYコロナ死者数を隠蔽か クオモ知事に疑惑
https://news.yahoo.co.jp/articles/2cb3453aa03ed51f299591581deb46d9dbd71046
どこでも誰でもいつでもを謳い文句に、
大量のPCR検査を行っていたことから、
日本のメディアで賞賛されていましたが、
検査と隔離はセットであるのに、
ろくに考えもせずに、始めるからこういう話が出てくるわけです。
「安全だけでなく安心を」なんていう耳に心地よい言葉に騙されてはいけません。
最後に。
今はそこかしこでPCR検査が行えるようになっています。
中には検体を郵送するような手法もあります。
ウイルスが含まれているかもしれないものを
郵便で、という点にも問題がありますが、
保健所と結びつかない形での検査には要注意です。
陽性だったらどうするのか、陰性だったらどうするのか、
その指導と対応ができないような検査は害悪です。
そして、個人情報の問題。
PCRバブルもいずれ終わることになるでしょう。
業者が集めた個人情報はどうなるのでしょうか?
個人の疾患に関する情報などは、
最大限、守られなければならないプライバシーです。
「野良検査」に騙されないようにしましょう。