このニュースですが、彼女が集団接種会場で接種を受けたのは
11月5日午前のこと。
この報道では、このような報じ方になっていて、
Twitter界隈の医師らも
アナフィラキシーショックではないかという意見が主流になりました。
接種会場で対応に当たった医師はルートを取る、
血管確保を試みていて、それが上手くいかなかったとのこと。
医師の中には、アナフィラキシーショックなのに、
なぜ、対応に当たった現場の医師はルートを取ろうとしたのか、
という議論になりました。
アナフィラキシーに対するアドレナリンは筋肉注射が普通で、
エピペンなど、一般でも教員や身近にその可能性がある人がいる場合は、
使い方を把握しておく必要があります。
当初、この医師の対応に問題があった可能性が指摘され、
医師の中にもそれを指示する意見も多数ありました。
「いざという時のために、アドレナリン筋注を復習しましょう」
そんなムードもありました。
ただ、この報道が反ワクチンで有名なCBCから出てきたものであり、
そして、彼女は4回目の接種。
4回目でアナフィラキシー?
これまではどうだったんだろうと思っていたところ、
ワクチン分科会副反応検討部会での第二報で、
少しずつ詳細が見えてきました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001011929.pdf
部会第一報では、この部会でも「アナフィラキシー疑い」という扱いでしたが、
少し違っている可能性もあるようです。
彼女がオミクロン株BA.4-5コミナティRTU筋注を接種したのは14:18頃、
本人は「体調変わりなし」と回答し、
歩いて待機場所に移動。
14:25頃、咳を認めた看護師が声をかけ、
歩けない様子なので車椅子で救護室へ。
その際「接種前から体調が悪かった」との言葉を看護師が聞いています。
14:28-29頃、初診、顔面蒼白・呼吸苦訴え、
動脈血酸素飽和度が60%台で、酸素5L投与開始、救急要請
14:30頃、嘔気出現・泡沫状のピンク色の血痰、
鼻腔からも血痰
14:34頃、意識レベル低下、
寝かせるも呼吸停止・総頸動脈/鼠径動脈触れず
心肺蘇生措置を行いますが、
この時にアドレナリン静脈内投与を試みるものの
静脈路確保できず
14:40頃、心拍再開・自発呼吸再開
14:42頃、再び心肺停止
14:55、救急搬送
15:15頃、3次救急病院救命救急センターに到着
心肺蘇生を継続し、アドレナリンを計8回投与
15:58、死亡確認、死亡診断書には「急性心不全」
死亡時画像診断では、高度肺うっ血像を確認、
推定体重110kgと救急隊員、
以前のかかりつけ医からの情報では、
高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群の既往があったものの、
接種時の予診票には糖尿病のみが記載。
接種前の体調を申告していなかった可能性も高いです。
接種から10分程度で心肺停止状態になっていて、
毒だとしても、なかなかないレベルの猛毒です。
およそ、ワクチンそのものに問題があったわけではないことがわかります。
副反応がそんなに早く現れた例を知りません。
高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、
そして高度肥満。
接種会場では、その所見から彼女にはほかの接種者よりも、
注意を払っていた様子が見て取れます。
結局、なぜ、彼女が亡くなったのかということはよくわかりません。
丁寧な検証が待たれます。
その後、一部医師らが「Kounis(コーニス)症候群」を挙げていて、
それを見たほかの医師の中には「Kounis症候群なんて初めて知った」という人も。
ただ、循環器内科や救命の先生方はよくご存じのようですね。
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000851823.pdf
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167527310001075
Kounis症候群では、
アレルギー反応と急性冠症候群が同時に発生し、
冠血管攣縮や急性心筋梗塞が引き起こされると考えられているとのこと。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12646
これは97歳の女性のコミナティ筋注によるKounis症候群の事例。
ただ、インフルエンザワクチンや破傷風ワクチンでも起きていて、
mRNAワクチンに限った話ではないようです。
また、
こちらの報道では、
「血が混じったものを吐いていたため、現場の医師はアナフィラキシーよりも肺の異常を疑っていた」
とあります。
会場の医師が静脈内投与を試みたのもそのためでしょう。
それでも、まずは筋注だったはずという意見も根強いですが、
報じ方で印象はかなり違います。
現時点では、真相はわからないながらも、
接種を躊躇する必要はないと判断してよさそうです。
やはり、この第8波ではインフルエンザの流行も警戒すべきで、
世界で起きているように、
日本でも全国の小中学校で、学級閉鎖が起きています。
そして、新型コロナ感染症でも、
感染者が急増している北海道では、
10代、10代未満、20代の順で増加率が高くなっています。
7波と同じ傾向ですね。
札幌では、医療現場のスタッフたちに感染者が増え、
確保してある病床が予定どおり運用できない事態に。
現時点で病床使用率は6割程度ですが、
現場感覚としては、9割程度埋まっているという印象とのこと。
インフルエンザと合わせて、逼迫という事態になる可能性が高いように思います。
8波は厳しいものになると予測されてきましたが、
思ったよりも、拡がり方が速いように思います。
河原崎奨堂「山ぶどう(まるばのほろし)」