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『舞いあがれ!』の「本歌取り」 / 『リエゾン』の「自分も同じ」の危うさ

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珍しく見ているNHK朝のテレビ小説『舞いあがれ!』。
『舞いあがれ!』では、主人公・舞の幼なじみ・貴司が短歌で賞を獲得、
歌集出版のために歌を詠まなくてはならないところ、
なかなかできずにいました。

編集者・北条が貴司に求めるのは相聞歌で、
恋愛感情を歌にしろというものでした。
北条が登場した時、編集者の無茶ブリあるあるな感じで、
視聴者の反感を買うのは脚本家の計算どおりだったのでしょう。

既に北条に納めていた歌の中で、
唯一の相聞歌だというのがこちら。

君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた

北条はこの歌が本歌取りの相聞であることに気付いていませんでした。

君が行く 道の長手を 繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも

万葉集の狭野茅上娘子(さののちがみのおとめ)の歌の本歌取りです。
あなたが行く長い道のりをたぐりたたんで、
焼き滅ぼすほどの火が欲しい
という詠み手の激しい思いが歌われています。
願望の「もがも」で終わっているところが味わい深く、
そこが貴司の歌にも重ねられているのかと思います。

短歌は三十一文字ですので、歌に込められる内容には限りがあります。

単なる本歌のオマージュという意味だけでなく
歌の三十一文字の外に意味を持たせたい、
厚みを持たせたい場合などに本歌取りは用いられます。
また、かつては自分の教養をアピールするため、
相手の教養を推し量る意味もあった気もします。

ただ、歌の知識がないと、意味が伝わりません。
もちろん、本歌を知らなくても伝わるように詠めればいいのですが。
私もこの本歌を読んでいるはずですが、
ドラマの展開でようやく気付かされました。
貴司は舞の未来に希望が開けるよう詠んだだけでなく、
実は裏に激しい恋心を隠していたのでした。
北条は貴司の歌が本歌取りであることがわかり、貴司に
「これ、本歌取りなの…? 恋心が隠れる?」
「なんで隠すの…」
と、有能編集者・北条が呆れるわけです。

舞は舞で、貴司の熱狂的ファンであり舞の恋の元ライバルの史子から
歌の裏に込められた意味を知らされ、
お互いの思いが同じであることに気付かされるのでした。

桑原亮子さんの見事な脚本でしたね。
本作では3人の脚本家が担当しているのですが、
伏線を上手く使えていない印象がありました。
特に航空学校のパートを担当された佃良太さんが
東大阪のパートを担当した週があったのですが、
前フリもなく、話を展開させるものですから、
極めて粗雑なストーリー展開になってしまっていました。
その前に少しでも描写がなされていれば、

和泉節子さん風の羽野晶紀さんも、
松尾諭さんの土下座タックルももっと活きたかと思います。

君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた

この歌の初登場が桑原さんだったかは確認できないのですが、
本歌取りの長い伏線の回収には気持ちよさを感じた次第です。

 

 

こちらは俵万智さんのtweet。

「貴司くん(とリュー北條)に捧ぐ…」

千億の星の一つになりたくて心が空を舞いあがる夜

一瞬の君の微笑み永遠にするため僕は歌い続ける



吉田遠志「珠数かけの梅」


さて、昨夜の『リエゾン-こどものこころ診療所-』はまだ見ていないのですが、
前回の第4話は考えさせられました。
この回の患者はダイエットによる摂食障害だったのですが、
それとは別に、主人公の一人・研修医の志保が友人たちに
自分が発達障害であることをカミングアウトした後、

友人たちとの会話に気付かされました。

「でも、発達障害って空気読めないとか忘れ物が多いとか、
 そういうやつだよね。そういうことって普通にあるんじゃないかな」
「あるある。俺も職場で空気読めないって言われてる」
「俺、友達との約束、完全に忘れてすっぽかしたことある」
「たしかエジソンも発達障害だったって言われてるんだよね。天才に多いって」
「すげぇ、志保ちゃん天才肌だ」
と友人たちは善意で志保にこれらの言葉をかけるわけです。
友人たちは、自分たちにもこういうことがあるから、
志保だけが特別じゃないからと笑いながら、
「気にする必要ないよ」と言いたかったのです。

中座してトイレでハンカチを探す志保。
リュックのどこに入れたかわからず、時間がかかります。
友人たちのところへ戻って来た志保は、
リュックの中身をぶちまけます。

 

 

請求書を発見して
「ガス代、ずっと払うの忘れてたの今気付きました」
「高校生の時なんかもっと酷くて、
 ずっと前に買ったおにぎりがフリーズドライになって出てきました」
「鞄を逆さまにしたら謎の汁が出てきたり」
「でも、これってみんなも同じなんですよね?」
いろいろと自分なりに対策をしてきた志保。
それでも、上手くいかないことが多く、
そんな自分の苦しみが
「みんなと同じ悩みに見えちゃうのも…つらいです…」

「気にする必要ないよ」と言いたいがために、
この友人たちのような言動をしがちだと気付かされました。
志保はADHDですが、診断名はなくても、
人は大なり小なりの問題を抱えていて、
それぞれの問題に「自分も同じ」と言うのは、
よくよく考えた上でないといけないのかなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、2021年ぐらいからこちらでも、
「新型」をなんとかしろと言ってきましたが、
日本では法令上「コロナ2019」と呼称するようです。
もう「COVID-19」でいいような気もしますが。

 

 

アメリカではオミクロンのXBB.1.5が拡大し、
新規感染者の約8割がXBB.1.5とのこと。
私たちは、誰かを感染させないため、
自分が感染しないためにマスクを着けてきたわけですが、
それを、マスコミは「同調圧力」のひと言で片付けようとします。
「同調圧力」があるのは否定しませんが、
「同調圧力」だけだと決めつけられるのは、
私たちに対する強い侮辱かと思います。

CDCや産業衛生専門家会議のデータでは、
陽性者1人と非感染者1人がいる状況で、
双方が不織布マスクを着用している場合、
非感染者が感染するまでに60分の時間が稼げるとしています。
双方が布マスクですと、40分とのこと。


このデータ以降、変異が進んでいますので、
もう少し、時間が短くなっているかと思いますが、
「どこの国でもマスクなんかしてない」
というデマに惑わされないようにしましょう。

そして、マスクを着用するかどうかの基準は、

「ほかの国がどうか」ではないはずです。

 


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