Quantcast
Channel: テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

『五等分の花嫁』主人公は花嫁を選んでなどいない / 麻疹 -子どもの感染症死の半分は麻疹だった-

$
0
0

ここ半年間、「趣味は五等分の花嫁」状態の私ですが、
繰り返し読めば読むほど、あのゴールしかないと認識できます。

表面的には、あの作品の主題は主人公が「誰を選ぶのか?」ですが、実際は
「"彼女"に告白するのか? 誰も選ばないのか?」の二択なのでしょう。

この作品を見る限り、作家の春場ねぎさんは、
とても慎重な方かと思います。


作中、主人公は五女に向かって
「お前らのやることは本当に予測不可能だ」
と言っているのですが、よく読むと突飛に見える行動にも、
理由付けがあって、一読しただけでは気付かないかもしれませんが、
読み返すと「これが原因か」と思わせてくれます。

事象における因果の描写は人物の意思と関わらない「事故」にもあり、
わかりやすいところでは、島への旅行での出来事。
屋外で昼食の準備をするという五つ子の父の台詞に
「ただし、足下には気をつけよう この辺りは滑りやすい」
というものがあるのですが、このシーンには不要な台詞。

直後に次女が主人公にアピールを始めるし、
さらに晴天なのにその父は「雨が降ってきたね」と言って、
その場から去るという当時の読者には不可解な行動があり、
「滑りやすい」の情報は記憶に残りづらくなっています。
ただ、島を去る日に"彼女"がそこで足を滑らせていて、
ストーリーのキーポイントの一つである
「鐘キス」の「事故」が起きるという次第。

こういう姿勢はキャラクター設定から見られていて、

キャラクターの性格を特徴づける言葉づかい
― アニメ『五等分の花嫁』の分析 ―

https://tufs.repo.nii.ac.jp/record/5692/files/3-017.pdf

こういう一般論としての論文もあるのですが、
漫画ですから主要人物の「キャラ立ち」を考えるのは当然で、
五女であれば、丁寧語の口調、髪の左右に星形のヘアピンなどがそれ。
じゃあ、彼女はなぜ丁寧語でヘアピンを着けているのか、
その因果に意味を持たせていて、ストーリーに絡んできます。

登場人物の個性を言い換えれば、それはそれぞれの自我であるわけです。
その自我の描写こそがストーリーの肝で、
なぜ、その人物がその自我を内包し、表出させているのか、
あるいは、見えているそれは本当に"彼女"の自我なのか、
その全てが「花嫁は"彼女"」に向かっているのでした。

理論武装しているかのように、"彼女"以外ありえないと思える一方で、
もしも、ほかの姉妹が花嫁だとしたら…、
そんな想像も難しくないというもの不思議なところです。

おそらく、それは主人公が自身の気持ちをあまり語らない、
特に終盤はほぼ「不親切な語り手」だからでしょう。
また、"彼女"以外の4人を敗者にしなかった、
good loserにも見せなかったのも重要でしょう。

主人公が5人の誰に告白しても、作中のように、
姉妹は衝突しわだかまりを抱えつつも乗り越え、
二人を祝福し見守るのではないかと思わせてくれます。
その一つの形が、このゲームです。
ちなみにゲームでは「誰も選ばない」の先の未来も体験できます。

 

 

 

 

 


今、疑っているのは主人公の"妹"が暗躍していた可能性です。
五女と"妹"が下着売り場に行き、五女を残して兄のところへ戻って来ます。
これが怪しい。直後に兄の横にいた姉妹の一人を交えた会話が怪しい。
この頃の五女がしようとしていることと、"妹"の言葉があまりにも一致しています。

五女と"妹"が結託している可能性はないのでしょうか。

偶然に見える出来事にも、因果が設定されていて、
原因と結果を結びつけるのが、"妹"なのかもしれません。
おそらく、深読みしすぎなのでしょうが、
何しろ、いちいち説明しないのがこの作品です。
そんなことを思わせる作品なのでした。

なお、花嫁が誰かについて予測した論文もあります。

https://drive.google.com/file/d/1o8JbWk5SalcNZqAPXQdIfwfG7G3pgzQS/view

リンクにしてしまうと、プレビューで名前が見えてしまいますので、

テキストにしておきます。
予測は当たっているため、原作を読んでからにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 


ヘレン・ハイド「A Weary Little Mother」

 

 


さて、京阪沿線に住む私の地域にとっても脅威となりました。
ドラマ版では省かれたものの、原作の『JIN -仁-』で、
最初に主人公が直面した感染症が、1862年の麻疹の大流行でした。
家々に源為朝の手形などの絵が貼られ、
麻疹除のまじないで病魔がやって来ないことを祈るしかありませんでした。

日本の歴史では、10世紀の平安時代に
赤面疱瘡、赤斑瘡(あかもがさ)という記述があるらしく、
これが麻疹です。
麻疹で命を落とした中には、五代将軍徳川綱吉もいます。

数ある感染症の中で、最強の感染力を持つのが麻疹ウイルスです。
抗体を持たない人が感染者と同居していればほぼ100%感染し、
対症療法以外に有効な治療法はなく、
30%で合併症が起きます。

麻疹ウイルスの持続感染により、2~10年後、
知能障害、運動障害が進行する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)もあります。
現代医学においても、死亡率は0.1~0.2%ですので、
1000人感染すれば、1~2人亡くなるという怖ろしさです。

麻疹ワクチン2回接種が必要ですが、
麻疹においては、95%が集団免疫の目安なんだそうです。
しかし、東京都のデータでは2回目接種率は92.0%とのこと。

ワクチンがない時代、子どもの感染症死の半分は麻疹だとされ、
麻疹そのものか、麻疹後感染症で亡くなっています。
それほど、脅威だったのが麻疹で、
現代の日本が、非常にマズい状況になる可能性もあります。
抗体を持っているかどうかの確認、
ワクチン接種をお願いします。

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

Trending Articles