このあいだ、
音楽業界の現状 ~CDが売れなくてもCDを出さなければならない理由~
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11272641119.html
をお書きしましたけれど、
今夜は同じく、同日のJFM系列「AVANTI」4月の放送から、
K-POPのお話を。
お話はラジオDJでテレビVJ、
韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨(まさゆき)さん。
私もFM COCOLOの番組を聞いたことがあります。
ちなみに彼の奥様は韓国人シンガーソングライターのHerminさんです。
韓国って、今もなお法的に不法ダウンロードも
やっぱりまだ多いし、表向き改善されているって言われていますけれど、
少なくとも、僕のの周りではリーガルにダウンロードしている人はあまり…
ですから、あえて音源っていうかその…、
音で稼ぐっていうつもりはないんですよ。
その、権利で稼ぐんじゃなくて、
あくまで音楽は一つのプロモーションツールなんですね。
――音楽がプロモーション?
音楽がプロモーション。
ですから、YouTubeにどんどんミュージックビデオをアップロードさせて、
とにかく、目で楽しむ音楽。
――YouTubeで見てる。全然削除されませんね。
削除されないですよ。
タダですし。
あんなものをタダで見られたら、
買いませんから、誰も。
それまで日本人っていうのは、
かなりその…、著作権関係が厳しいから、日本って。
自由にミュージックビデオをYouTubeで見られる環境じゃなかったですよね。
それがあの…、韓国からシャワーのように、
どうぞ見て下さいと言わんばかりに、
どんどんどんどん見て楽しむ音楽が来る訳じゃないですか。
相当ショックだったと思うんです。
それがきっかけになって、
K-POPの今のブームが始まったって言われています。
――へえ、ネットなんですね。
ネットですね。
今のその…、流行っているK-POPっていわれているのは、
ひと言でいうとアイドルですよね。
その…、今基本的にはですね、デビューしてから
2年以上経っている、韓国でもある程度地位を築いたグループ中心に、
進出していますよね。
2010年、2011年、2年間で30組ぐらい、
日本に進出しているんですよ。
じゃあ、そのうち何組成功したか、
何を以て成功かというところだと思うんですね。
韓国ではですね、オリコンチャートが成功の目安なんですよ。
オリコンで何位になったのか、
たしかに最近、オリコンのチャートを見ていると、
K-POPのアーティストが上位に、
まあ、FT Islandが1位獲ったとか、
少女時代がもうすぐミリオンか、とかね、
いろんな話が出てくるじゃないですか。
レコード大賞もKARA、少女時代獲ってましたし。
そう考えると、日本の音楽協会もK-POPに感謝している状況じゃないかな、
と思う一方で、じゃあ、その30組のうち、
はたしてそれだけ記録を残しているグループがどれぐらいいるかというとですね、
ほとんどいないんですよ。
――KARAと少女時代だけ?
ぐらいじゃないですか。
ヒットチャート1年間のそれこそセールスチャートを見たら、
やっぱりトップ10に食い込んでくるっていうのは、
その2強しかいないんですよね。
あとのグループは、やはり日本のアーティストと比較すると、
どうしても、やっぱり数字の面ではちょっと落ちてしまう。
――超新星とか? あと2NE1でしたっけ?
2NE1もそうですし、2PM、2AM、BEASTとか。
興業面では大成功ですよ。
ライブをやれば必ず入る。
ですから、何を以て成功かって考える訳です。
CDセールスの面では、やはりKARA、少女時代が圧倒している。
ただ、ライブはほんとに人が入りますよね、今は。
――どれぐらい入るんですか?
埼玉スーパーアリーナ、横浜アリーナ、武道館、
いっぱいに出来るぐらいですよね。
――凄いですね。
今はですけどね…
――何です? そんな冷たい。
いや、今年に入ってから、
ちょっと変わってきているんです。
――だって今年もまだ前半ですよ?
結局ねえ…、チケット高いんですよ。
――え、いくら?
1万円以上じゃないですか?
――凄いですねえ。
高すぎる。
いろんな理由があると思いますよ。
全員連れて来るのたいへんだとかね。
でも、バンドいないじゃん、
ってツッコむんですけどね、私。
今のK-POPのファンって、
じゃあ誰に頼っているかっていうと、
十代の女の子なんですね。
その十代の女の子が、
1万円をそんなポンポンポンポン出せるかっていうと、
出せませんよ。
僕も韓国で1回公演した時に、
韓国人の前で「こんな高いの知っていますか? 皆さん」
って言ったら「知らない」って。
韓国ではアイドルのライブっていうのは、
単独がほとんどなくて、単独出来ないんですよ。
人が入んなくて。
――ええっ!?
入んないんです。
ほんと、限られた人しか人入んないんで、
だいたいオムニバスライブなんですね。
アイドルたちっていうのは。
ほとんどタダなんですよ。
――だから…こっちからから韓国に行きますよね、みんな見にね。
行きますよね。
チケットも安いし。
…だから、日本で稼いでいるから、
生活、成り立っていると思いますよ、僕は。
――韓国じゃないんですか?
韓国は厳しいと思いますよ。
韓国で稼ぐっていっても、
先ほど言ったとおり、その、音源で稼ぐのは難しいから、
そうなるとCMとか? いわゆるモデル契約?
あとは…テレビ番組?
――歌手じゃないところで、報酬を得る訳ですね。
あとは営業。
廻るわけですよ。韓国国内を。
イベントとか。
そういう感じですよ。
だから、日本に来るんですよ、みんな。
――力入れてね。
そういう背景がありますよね。
私が中華圏の音楽を聞き始めた頃、
ファンキー末吉さんの番組が楽しみでした。
彼が語る中華圏での音楽事情の話なども聞けて、
日本とはずいぶんと違うものだと驚かされました。
中華圏でもそうですよね。
印税で生活しようなんていう発想がないのではないでしょうか。
でも、稼ぎはライブでという印象でしたけれど、
その後、変化はあったのでしょうか?
韓国国内では、なかなか興行で収入を得るのは、
難しいみたいですねえ。
でも、こういう韓国の音楽ビジネスは、
音楽の世界だけの話ではなくて、
内需の限界の問題を国外でという
韓国の国家としてのビジネス全体にも
通じる話だと思いました。

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