アフリカウシガエルです。
南アフリカ南部、
ここは冬の間は雨が全く降らず、
夏になると雨が多くなります。
この雨期にアフリカウシガエルの活動を見ることが出来ます。
12月下旬、今季最初の雨、
乾ききった土を雨が湿らせます。
すると、地面が盛り上がり、
姿を現したのがアフリカウシガエルです。
土の中で眠ること10ヶ月、
体が濡れることで、活動を始めるといわれています。
体長は最大で25cm、1.4kgにもなる巨大ガエル。
これはサッカーボール(Tango12)。
サッカーボールの最大は5号球で直径は22cmということで、
だいたいの縮尺を合わせて並べてみますと、
どれほどの巨体であるかがよくわかります。
目覚めたアフリカウシガエルがまずしなければならないこと、
それは食事。
土の中で、飲まず食わずでしたので。
ほとんどのカエルがそうであるように、
彼らも肉食です。
シロアリからネズミまで、
時には他のカエルもひと飲みです。
共食いもするなんて話もあります。
食事が終わると巣穴に入ります。
暑い日差しを土の中で避けることにします。
巣穴の直径は10cmほど。
奥行は25cmほどですが、奥行はともかく、
この大きさですと、大きな体を押し込まなくてはいけません。
しかも、彼らはお尻から巣穴に入ります。
また雨が降り出すと、
周囲数百mの大きな水たまりが出現します。
姿を現し、自慢の喉を響かせます。
この低い声でメスにアピールするんです。
しかし、他のオスたちも同じようにこの水たまりに集まってきていて、
オスたちが顔を合わせることで、
戦いが始まります。
この動画では、土中からの出現から始まり、
50秒辺りから戦いの様子が見られます。
戦いの基本は体当たり。
全身のバネを生かして頭から突撃します。
そして噛みついてくわえたままで、
プロレスさながらに後ろへ投げ飛ばします。
これはアフリカウシガエルの骨格標本を
正面から見たところ。
このように、はっきりした歯を持つカエルは珍しく、
そのため、相手をくわえて反り投げなんてことが出来るんですね。
こうしてオスたちが戦っている時、
メスは草陰に身を潜めています。
体の大きさはオスの半分ほど。
メスが隠れているのは、
弱いオスに見つからないようにするためです。
交尾は強いオスでないといけません。
また、強いオスはたくさんのメスと交尾することにもなります。
負けを悟ったオスは這々の体で逃げ出します。
追い立てる勝者のオス。
徹底的に周囲から他のオスを追い出し、
繁殖のための縄張りを作っていると、
姿を現すのがメスなのでした。
交尾からすぐに産卵し、受精させます。
交尾が済むとメスは退散、
しかし、オスはそこに留まり続けます。
孵化はおよそ2日後。
アフリカウシガエルの繁殖はとても慌ただしいんです。
アフリカウシガエルは子育てをします。
お父さんが単独で子供たちを守らなくてはなりません。
オタマジャクシが孵り、
お父さんはその中にいる訳なんですが、
なぜか時々頭を振るわせることがあるようです。
その意図は
子供たちとのコミュニケーションだという主張もあるようです。
お父さんが移動を始めると、
オタマジャクシたちもその後を追って移動します。
時には100mも移動することも。
お父さんは子供たちのために、
餌の多い場所へと誘導しているそうなんです。
オタマジャクシの数は数千匹、
この数千匹が微生物を食べていますので
一ヵ所に留まり続ければ、
すぐに微生物はいなくなってしまいますので、
移動しなければならない訳です。
しかし、お父さんはまともな食事は出来ません。
移動中にたまたま見つけた昆虫などを
食べられれば幸運という程度です。
子供たちがカエルになるまでは1ヶ月ほど。
こんなこともあります。
ウシです。
近くでは人間がウシを放牧していて、
水を飲みにウシがやって来ました。
ウシはただ水を飲むつもりでも、
子供たちが踏まれでもしたらたいへんです。
お父さんアフリカウシガエルは
自分の体重の千倍以上ある相手でも怯みません。
得意の体当たりをウシの鼻っ面にお見舞いし、
ウシを追い払うことに成功しました。
時にはゾウを相手に戦うこともあるお父さんなのでした。
お父さんが子供たちを誘導するのは、
比較的水深が浅いところが多いようです。
浅いところでは、日光により水温が高くなります。
水温が高ければ、成長が早まります。
いつ干上がるかわからない水たまりならではの工夫です。
では、水たまりではなく、
池などの干上がらないところはどうでしょうか?
ここには大きなナマズなど、
オタマジャクシを食べてしまう天敵たちがたくさんいます。
だから、水たまりで繁殖することになります。
そもそも、雨が降らなければ、
アフリカウシガエルは、土の中から出てきません。
そのまま次の年の雨期を待ちます。
記録では、最大7年間も土中に居続けた例もあるらしく、
それが出来るのは、40年という長い寿命、
そして土の中で分泌物から成る"繭"に覆われることで、
乾燥から身を守っているからなのでした。
水たまりに大ナマズはいなくても、
ヘビは現れます。
オタマジャクシを食べるため、
ヘビに対してもお父さんは立ち向かいます。
ヘビと睨み合ったかと思うと、
お父さんはヘビに飛びかかり、
ヘビに噛みつき、
激しくもがくヘビを飲み込んでいきます。
やがてヘビの体は見えなくなってしまいました。
さらに、お父さんが守らなくてはならないのは、
他の動物たちからだけではありません。
ここは水たまり。
雨が降らなければ、水深はどんどん浅くなってしまいます。
ここが干上がるまであと1~2時間。
これでは、大切な子供たちが干からびてしまうことに。
ここでもお父さんは立ち上がります。
これまでよりも遠くへと移動するお父さん。
そこは子供たちが行くことが出来ない隣の大きな水たまりでした。
なんと、お父さんは自らの足で、体で、
水路を切り開こうとするんです。
足で土を掘り、水を流すための水路を1.5m。
1時間ほどで子供たちの近くへと水は流れてきました。
しかし、お父さんの体力も限界に近く、
その動きは鈍くなるばかり。
やっと最後の頑張りでお父さんは子供たちの所へ
水を導くことが出来ました。
記録では、18mも離れたところから
水を引いてきたお父さんアフリカウシガエルがいたそうです。
お父さんが子供たちを守って1ヶ月、
オタマジャクシから姿を変えた子供たちが陸へ上がる日が来ました。
強くなければ子供たちは守れない。
そんなお父さんの命がけの子育ても
終わりということになります。
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