全国の都道府県のミステリーを科学で解明する企画、
今回、四国は徳島県です。
旧国名でいえば、阿波国。
これは穀物の粟がよく穫れたことが
その名の由来だとか。
阿波の国の夏といえば、阿波踊り。
徳島阿波踊り2012.08.14 阿呆連
今年も賑やかだったようです。
元はといえば不確かながら、直接的には戦国の頃、
蜂須賀家が徳島城竣工の際に、
蜂須賀家政が祝いとして城下の者たちに「好きに踊れ」としたのが
起源だとされています。
えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々
地元では、
この日のために1年間働いてきた
この日のために生きてきた
なんて言葉が聞かれます。
阿波踊りは徳島以外でも全国各地で踊られています。
徳島以外でも踊られるほどの
その魅力はどういうものなのでしょうか?
番組では阿波踊りを全く知らない埼玉県の保育園児たちが
玩具で遊んでいるところに、
阿波踊りの曲を流してみます。
すると、何の説明もないのに、
15人中7人が踊り始めてしまいました。
対照のために同じ条件で炭坑節でも実験。
しかし、踊り出す子供はいませんでした。
これは子供たちそれぞれの個性である可能性もありますので、
子供たちを入れ替えて別の14人でも、
同じ実験を行いました。
この14人では、阿波踊りでは9人が、
炭坑節では2人が踊り出しました。
なぜ、阿波踊りは自然に体を動かしたくなるのでしょうか?
日本大学芸術学部音楽科の川上央教授は、
その秘密は阿波踊りのリズムにあると考えられます。
たとえば、炭坑節の場合は、
"1・2・1・2"という2拍子で、
阿波踊りも基本は2拍子なのですが、
その中身はスキップをするような跳ねた感じのリズムになります。
このリズムにつられて興奮してくるというようなことは
あり得ることだと思います。
と説明。
このスキップするようなリズムでは他に、
この「ミッキーマウスマーチ」、
「アメフリ」などが挙げられます。
阿波踊りで誰もが陽気になり、
踊りたくなるのは、そのリズムが重要な要因であるようです。
さて、徳島県の隣にある淡路島。
これは阿波国への道、「阿波路」が由来だとされています。
この淡路島と徳島の間にあるのが鳴門海峡で、
鳴門名物といえば、渦潮です。
なぜ、こんなに大きな渦が海面に生まれるのでしょうか?
しかも、大小様々の渦が生まれては消え、
また次の渦が生まれています。
この渦は潮の干満で生まれています。
太平洋から移動してきた満潮は、
紀伊半島・四国島の間の紀伊水道をへやって来ます。
しかし、鳴門海峡は幅1.3kmしかありません。
北上する満潮はそのまま鳴門海峡を通り抜けられません。
そのうち、淡路島の大阪湾側を北上していく満潮は、
淡路島を北から回り込み、
瀬戸内海側から6時間かけて鳴門海峡へ辿り着きます。
しかし、その頃になると、
紀伊水道は干潮の時刻を迎えており、
こうして、満潮の海と干潮の海で水位差が生まれ、
高い方から低い方へと海水が流れ、
この速い流れの両脇に渦が出来ることになります。
かつて修行の地とされた四国には、
弘法大師・空海が残した足跡があるとされています。
それを辿る巡礼の旅がお遍路です。
(あるいは今も空海は四国を巡り続けているとも)
徳島には、四国八十八箇所霊場の第一番札所、
霊山寺(りょうぜんじ)があります。
お遍路の全行程は1200~1400kmだとされていて、
もしも、これを一気に徒歩で廻るとすれば、
約40日にもかかるとされています。
今はお遍路ブームともいわれていますが、
こんなに長い道のりを踏破するとは
余程の気力と体力が必要だと思われますが、
達成した人たちの話を聞くと、
気がついたら八十八箇所を廻っていたという声が。
それはそれぞれの札所でもらう朱印に秘密があるとか。
一つひとつ目前の目標を達成していき、
そして、大きな成果を得るお遍路だから、
あまり疲れなかったというのです。
実験で確かめます。
男女それぞれ2人ずつに協力してもらい、
東京の街で10kmの距離を歩いてもらいます。
そのうち男性1人、女性1人には
別々に10kmを寄り道せずに一気に歩いてもらいます。
他方、残りの男女2人も1人ずつ別々に歩いてもらいますが、
こちらは1kmごとにその場所付近で記念撮影をしてから、
先へ進まねばならないというルールにしてあります。
この記念撮影が一つひとつの身近な目標という訳です。
この日は真夏の太陽が彼らを苦しめたはずですが、
それぞれ歩き終えたところで、
疲労度を測定すべく、唾液アミラーゼを計測します。
実験前と実験後で、上昇した数値が大きいほうが、
より疲労していることになります。
真っ直ぐ目的地に直行した2人は、
このような変化になりました。
次に記念撮影を繰り返しながら目的地に辿り着いた2人は、
…こちらも大幅にアップしています。
一つひとつ身近な目標を達成しつつ、
大きな成果を得る場合では疲労度が軽減される、
ということではないのでしょうか?
実は、この実験ではもう一つ測定していたものがありました。
それは脳の血流です。
人間が疲労すると、この前頭前野の血流量が低下し、
疲労してなければ、血流量は増加します。
その値を実験の前後で確認していました。
直行の2人のデータです。
青い線が実験前、赤い線が実験後で、
このグラフからは血流量が低下していることがわかり、
つまり精神的に疲労していることが明らかになっています。
一方、記念撮影をしていた寄り道の2人は、
血流量に変化が見られないか、
あるいは上昇しています。
つまり、精神的疲労は感じていないといえるでしょう。
これが四国一周1400km、
40日間も歩き続けることが出来る秘密といえそうです。
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所さんの目がテン! 「47都道府県 ミステリー研究所~徳島編~」阿波踊り・渦潮・お遍路の科学
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