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山中伸弥教授、ノーベル医学・生理学賞受賞! iPS細胞研究の意義

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今まで、毎年のように日本人のいろいろな分野の先生方について、
今回こそは受賞されるのではないか、
そういう話が聞かされていて、
そして、受賞できたり受賞できなかったりしてきたんですけれど、
山中先生の場合は、毎年受賞ならずという報道を知らされても、
全くがっかりしませんでしたね。
今年ではなくても、いずれ必ず受賞されるということに、
疑いの余地はありませんでしたから。

先生が優れた研究者であるのは、
受賞前から明らかでありましたが、
人品骨柄も讃えられるべき方であろうかと思います。

臨床医であったころについて、
ご自身、不器用な医者だったとお話になります。
研修医時代、手術室では"ヤマナカ"ではなく、

ジャマナカ

と邪魔者扱いされていたとか。
臨床の現場から研究の世界に進まれる訳なんですけれど、
研究者でありながら、この研究を応用すべき患者さんを前にし、
常に臨床のことを考えておられるそうです。

だいたい、これだけの研究者が日本に在籍しつつ、
ということだけでも頭が下がります。
大阪市立大学で博士課程を修了された後、
カリフォルニア大学サンフランシスコ校で博士研究員となられますが、
やがてまた日本へ。
その時には日本での予算の少なさを実感され、
それはiPS細胞の研究においてもそうで、
やがて国も予算をつけるようになるんですけれど、
それでも、本拠地をアメリカとしたならば、
それ以上の規模の研究が出来るはずです。
常に、アメリカをはじめとする海外の研究施設から誘われていても、
日米を行き来しつつも、
彼は常に日本の一教授としてあり続けられました。
その先生が受賞の言葉として、

心の底から思ったのは名目上は山中伸弥ともう一人の受賞になっているが、受賞できたのは、日本という国に支えられたから。まさにこれは日本という国が受賞した賞だと感じている。感想を一言でいうと感謝しかない。

と仰るとは。
日本の誇りですね。



さて、再生医療や難病治療などに応用されることが
期待されているiPS細胞研究ですが、
ここであらためて、この研究について考えてみたいと思います。

体が再生する、といいますと、まず思い浮かべるのが
トカゲの尻尾です。
トカゲは尻尾がなくなっても、
やがて再生して生えてきますが、
特に脊椎動物の中でも再生能力が高いとされているのがイモリですね。
トカゲとは違い尾の中の骨までも再生します。
イモリは四肢、眼球のレンズなども再生することが出来ます。
人間にはこういう芸当は無理ですが、
ある程度の再生能力は持ち合わせています。
たとえば、私たちが皮膚を擦りむくなどして損傷しますと、
程度次第では時間が経てば元通りになります。
あと、特に再生能力が高い臓器といえば肝臓が有名ですね。
私たちの体でこのような再生による回復が可能なのは、
それぞの部位に幹細胞が存在しているためです。
この幹細胞に、どのような組織になるかがプログラムされていて、
それに従って、元通りの状態になろうとします。
この幹細胞があればこその再生ではありますが、
既にプログラミング済みのため、
肝臓の幹細胞を取り出して、
頭皮に移植しても、それが頭皮の再生の役に立つ訳ではありません。
そにあるのは肝臓のためのプログラムであり、
頭皮のためのプログラムは書かれていないからです。

どこの組織にでもなり得る細胞はないものか、
それは

胚性幹細胞(ES細胞)

として実現します。

私たちの体は、約60兆個の細胞で出来ていますが、
元を辿ればたった一つの細胞から細胞分裂を繰り返すことで、
60兆もの細胞による人体を形作ることとなります。
つまり、この「たった一つの細胞」は、
あらゆる組織になり得る細胞だということになります。

これで、人体でもあらゆる組織になり得る幹細胞を、
医療に使用できるようになるのか…、
ということなんですが、
ここで一つの大きな問題、
決して軽く考えることは出来ない問題が生じます。

人間はどこからが人間なのか?

受精卵は人間ではないのか?


という問題でした。
私たち自身も、それぞれ元を辿れば一つの受精卵です。
それを、実験や医療の道具として用いる訳にはいかない、
(現実には受精卵よりも少し先の段階の初期胚が必要であるし)
いや、根治出来ない疾患については、
不妊治療において母体に戻されず、
破棄されることが決定したものに限定するならば、
使用してもいいのではないかなど、
様々な議論が起こりました。

そんな中、2004年に韓国の生物学者の黄禹錫教授から、

体細胞由来のヒトクローン胚、および ES細胞の作製

が発表されます。
ついに難病への応用への道がと期待され、
また、未受精卵に患者の体細胞の核を移植することで、
オーダーメイドでクローニングが出来るとしましたが…
2006年1月、これが捏造であることを教授自身が認めてしまいます。

この時の事件は、
ES細胞や再生医療分野の研究の世界的な停滞をもたらした、
として世界中から非難される訳なんですが、
その研究は停滞するどころか、
その遥か先まで辿り着いていた研究者がいました。

2006年8月、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授が、
ES細胞のように分化多能性を持つ人工多能性幹細胞が樹立出来ると
発表したんです。

人工多能性幹細胞

Induced pluripotent stem cells


略して

iPS細胞

です。

誘導多能性幹細胞とも呼ばれるこのiPS細胞は
受精卵やES細胞からではなく、
体細胞、皮膚や血液などから
様々な器官に分化する細胞を得ることが出来ます。
それはこれらの体細胞に4種の遺伝子を導入すれば、
プログラムをリセット出来、
もう一度別のプログラミングを施すと、
そのプログラムに則った組織へと分化できるというものでした。
受精卵を使用することの倫理的問題がクリアされたのが、
このiPS細胞でした。

そして、このiPS細胞が再生医療や難病治療などに応用されることが、
世界中から注目され、
現在も新しい技術の開発の競争が行われています。

なお、

Induced pluripotent stem cells

なのに、

IPS細胞

と、頭を大文字にせず、なぜ小文字なのかについて、
山中先生は、ヒット商品

iPOD

からの着想だとされ、また、
ES細胞が2文字なので、それに近づけるためだとされています。


今日、明日に病気が治ると誤解を与えている部分もあるかもしれないが、実際は5~10年と時間がかかる。ただ、たくさんの研究者がいろんな技術を使って研究しているのも事実だ。時間との戦いと強く感じる。私たちの一日と患者さんの一日の違いは心している。

山中先生の言葉です。






ねてしてタペ



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