私たちは彼らのことをダンゴムシと呼んでいますが、
正しくはオカダンゴムシといいます。
元々日本にいたのではなく、
明治の頃に、遠く地中海周辺から貨物などとともに、
やってきたんだそうです。
日本にもダンゴムシはいて、
それはコシビロダンゴムシと呼ばれています。
ただ、オカダンゴムシよりも湿気がないと生きていけないため、
森の中などでしか見ることが出来ません。
イソガニ、そしてアメリカザリガニです。
今回のテーマであるダンゴムシは、
町でもすぐに見つけることが出来るありふれた動物です。
そのダンゴムシを捜そうとしますと、
私たちは日陰で湿り気のある場所で、
石の裏などを見ることになります。
ダンゴムシは甲殻亜門に分類され、
つまり、甲殻類ということで、
カニやエビなどと同じだということになります。
彼らが湿気の多い場所を好むのは、
その体が、水から離れられないからなのでした。
日中でも見ることが出来るダンゴムシですが、
彼らが活発に活動するのは、
夜間ということになります。
それも体か乾燥しやすい昼間は得意ではないからです。
ちなみに、
背中に黄色い点があるのがメスなんだそうです。
ダンゴムシは雑食性。
特にいつも食べているのは落ち葉です。
落ち葉を食べて、それを消化して糞として排泄し、
その糞がまた植物を育てる土となります。
なお、排泄時にはお尻から出した糞を、
一番後ろの脚で挟んで引きずり出すようです。
お尻といえば、ダンゴムシはお尻を濡れた葉っぱなどに
ちょんちょんと付けて、お尻から水を飲むそうです。
不思議な生き物ですね…
番組では以前から、子供たちへ向けて
ダンゴムシについての情報を募っていました。
まず紹介されたのが、ダンゴムシ歴4年の小学6年生の女の子、
森岡旭春(あさひ)さん。
彼女はダンゴムシの食べ物の好みを研究、
その成果は全国で表彰されたそうです。
彼女が用意したのは、塩、砂糖、昆虫、チーズ、
枯れ葉、花、青葉、ゴマ、肉、ご飯、モモ、かまぼこ、
キュウリ、卵の殻、ゆで卵の12種類。
中央にダンゴムシ50匹を放ち、
どれが一番人気かを調べました。
1匹も来なかったのが、卵の殻、花、塩でした。
ダンゴムシは他のどれも食べるようでしたが、
一番多くのダンゴムシを引き寄せたのはチーズです。
次いで肉、雑食性があらためて確認された訳ですが、
この中では特にチーズが好みだというのは発見でした。
さらに驚かされるのが、どうやら、ダンゴムシの個体ごとに、
好みがあるらしいのです。
同じように見えるダンゴムシにも、
食べ物の好みなどの個性があるようです。
また、続いてカレールー、ニンニク、タマネギ、
ワサビ、コショウ、トウガラシでも実験、
これら刺激の強い食べ物でも、
全てをダンゴムシが食べていました。
そして、一番人気はカレールーでしたね。
ところで、
こんなふうにダンゴムシが
コンクリートの壁などに張り付いている姿、
ご覧になったことはありませんか?
日中の場合、高温になりがちな壁を登ることはありませんが、
雨の日にはたくさん見られることがあります。
その理由の一つは、
ダンゴムシがコンクリートを食べるためだとされています。
よく観察すると、コンクリートをかじっている様子が確認出来、
そして、その後に排泄された糞には、
石のかけらを見ることが出来ます。
コンクリートにはほとんど栄養はありませんが、
ダンゴムシには固い殻があるため、
その材料となるカルシウムが必要となります。
そのため、コンクリートをかじりるというわけで、
やはり彼らは甲殻類なんですね。
なお、彼らはコンクリートを主食にしている訳ではなく、
食べるのはごく少量なので、
建材としての損傷を気にする必要はないようです。
ダンゴムシを捜していると、
殻だけになってしまったダンゴムシを見つけることがあります。
これは天敵に襲われてしまったダンゴムシの姿です。
ダンゴムシもただ黙って襲われている訳ではありません。
そのために、丸まります。
これはアルマジロなどと同じで、
体の外側の固い殻でアリの鋭いアゴから身を守ります。
丸まっている限りは、アリの攻撃はほぼ防ぎきることが出来るようです。
アリは複数で襲ってきますが、
丸まり続けていると、敵の数が減っていき、
機を見て、丸まりをほどいて、
歩き出します。
ただ、実はダンゴムシは歩くのがそんなに得意でありません。
よく転がったり、仰向けになってしまうことも。
そうこうしていると、またアリの目標とされ、
再び丸まらなければならないことに。
丸まるのが遅れればアリのアゴを隙間にねじ込まれてしまい、
命を落とすことになってしまいます。
こんな実験はご存じですか?
ダンゴムシの迷路実験です。
迷路の入口にダンゴムシを置き、
どのように、どれぐらいでダンゴムシが出口に辿り着くのかを見ます。
この動画をご覧下さい。
一度も迷うことなく、
ダンゴムシは出口に向かっています。
番組では人間の子供たちとダンゴムシで勝負させていました。
大きさだけが違う同じ構造の迷路を用意、
子どもとダンゴムシを同時にスタートさせて、
ゴールまでの時間を競います。
結果はダンゴムシの
9勝3敗
7割5分の勝率です。
なぜ、ダンゴムシはゴールまで真っ直ぐに辿り着けるのでしょうか?
実は、これらの迷路には一つの特徴がありました。
どのような迷路でもダンゴムシが抜けられるという訳ではありません。
ダンゴムシには移動する時に一つの習性があり、
交替性転向反応
と呼ばれるこの行動は、
最初に障害物に当たった時に、
たとえば右に曲がったとすれば、
次の障害物の時には左に、
その次はまた右に…、と左右交互に繰り返すという
不思議な性質です。
なぜ、こんな妙な習性をダンゴムシは獲得したのでしょうか?
それはアリなどから逃げる時に、
もしも、同じ方向に曲がり続ければ、
元の位置に戻ってしまう確率が高くなります。
これではまた天敵に出会うことになるかもしれません。
そこで、左右交互に曲がることで、
少しでも敵から遠ざかろうとするため、
このような習性になっているのでしょう。
ただし、この習性が崩れる時があります。
ダンゴムシ歴6年、中学3年生の森岡舞さんの実験では、
迷路で最初は左、次に右、
その次は左に曲がるはずなんですが、
この時は右に曲がりました。
この時、その曲がり角の右に腐葉土を置いていたんです。
逃走中、交替制転向反応に従って進路を決めていても、
途中に腐葉土などの隠れる場所があれば、
そちらを優先するという臨機応変さが
ダンゴムシにはあるのかもしれません。
次はこれ。
青いダンゴムシです。
これはイリドウイルスに感染し、
病気になっているダンゴムシだそうで
こうなると、その命は数日だけなんだとか。
(ヒトには感染しません)
ダンゴムシ歴7年の中学1年生、加藤朱莉さんは
この青いダンゴムシが異常な行動をとることを明らかにしました。
シャーレの半分を黒い紙で覆い、
その中にダンゴムシを入れますと、
暗い場所を好むダンゴムシは黒く覆われた中に入ります。
しかし、青いダンゴムシは、
明るく覆われていないほうに出てくるというんです。
彼女の仮説によりますと、
これはウイルスに行動を支配されているからだそうで、
このウイルスはダンゴムシが鳥に食べられやすくするために、
明るい場所へと移動させ、
鳥とともにウイルスは遠くへと移動、
そして、糞に混じってウイルスは地上へと戻ります。
それをダンゴムシが食べれば、
ウイルスの感染が広がるというものです。
加藤さんはこの仮説を学会で発表、
専門家たちもそれに注目したらしく、
そして、彼女はこの病気からダンゴムシを救うワクチンを
開発したいと考えているそうです。
あり得る話ですね。
寄生者が宿主の行動に影響を与える例はいくつもあり、
たとえば、カタツムリに寄生する吸虫レウコクロリディウムとか、
他の甲殻類に寄生する甲殻類のフクロムシなどか
そうだといわれています。
特にレウコクロリディウムは、
鳥に食べられるために、宿主のカタツムリを葉の表側へと向かわせます。
ご興味がございましたら、
レウコクロリディウムで調べてみて下さい。
YouTubeにも動画がありました。
いつか記事にすることもあるかもしれませんが、
レウコクロリディウムについては、
気色の悪さを保証します。
最後にダンゴムシのが赤ちゃんを。
なんと、ダンゴムシは赤ちゃんの状態で
生まれてくるんだそうですね。
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 49号 2012年 7/10号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 6/25号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 6/10号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 5/25号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 5/10号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 4/25号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp
ダーウィンが来た!生きもの新伝説DVDブック 2012年 4/10号 [分冊百科]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp